大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

この曲、なんかのパクリ?

   

曲や歌詞を書いていると、
「ポンと鮮明にアイディアが降りてくる現象」というのに、
しばしば遭遇します。

あ!あれ、なんだっけ?
え〜っと・・・
そうそう!!!
こんなメロ!
こんなアレンジ!
こんな歌詞!

・・・と、
まるで、知っている曲を思い出すかのように、
曲や歌詞が浮かんでくる。

あまりにも鮮明に浮かんでくるので、
こりゃ、誰かの曲をパクッちゃってるに違いないと、
思い当たるアーティストのアルバムを、
隅々まで聞いてみたり、
歌詞カードを読んでみたりするんだけど、
結局、どこにも見つからなくて・・・

それでも、そのメロディや歌詞は、
どんどん鮮明に、
「これっきゃない」とばかり、
頭の中を占領してしまう。

作品ができる時の話をしていると、
どんな作家も多かれ少なかれ、
同じような体験を語ります。

アーティストの横尾忠則さんは、
「新しい展覧会をやろう!」と企画するとき、
「すでに霊界で開いた過去の展覧会を思い出す」
という形でスタッフ会議を開く、
という話を聞いたことがあります。

そこまで行くと、だいぶ振り切れていますが、
やっぱり、クリエイターって、
似かよったところがあるんだなと、
折に触れ、その話を思い出します。

とはいえ、それは、
「本当に誰かの作品を思い出しているだけ」という危険性も、
常にはらんでいます。

人生のどこかの時点で、
何気なく聞いたことのある曲が耳に残っていて、
知らず知らず、そのメロディや歌詞を
いただいてしまっていた、

・・・なんてことが起きる可能性は、
ハッキリ言って、50 x 50(フィフティxフィフティ)
くらいじゃないでしょうか?

世界の有名ミュージシャンの多くの作品が、
「盗作」よばわりされてきたのは、
単なる他人のそら似とは限らないわけです。

なんと言っても、
現代音楽の音は12個しかない。
その順列組み合わせ。

歌詞だって、もういい加減、
出尽くしているとも言える。

完全無欠なオリジナルなんて、
もう生まれてこないと言っても、
過言ではないかもしれない。

それでもなんでも、
それがもし、過去のどこかで聞いた曲の、
引用の寄せ集め的なものだったとしても、

完成した形がカッコよくて、
人の胸を打って、
「おぉ、こんなの聞いたことない!」となれば、
それで、よいのではないか。

かつて読んだ本の中で、
(たしか、茂木健一郎さんの本だったと記憶しているのですが)

人は、なにかを無から創り出すのではなく、
自分の脳の中にプールされたさまざまな経験や記憶が、
あるとき、スパークを起こして、
新しいものを創造するのだ、
というようなことを言っていました。

だから、新しいものを創り出したかったら、
感動するもの、
記憶に残るものにたくさん触れる。

スパークを起こす種は、
音楽ばかりとは限りません。

それは、
絵画かもしれない。
本かもしれない。
海外で出会った、ある風景かも、
友だちとの会話の中にちりばめられていたことばかもしれない。

感動をたくさん経験した人が、
人を感動させられる曲をたくさんつくる。

「ポンと鮮明に降りてくるアイディア」を求めて、
今この瞬間も、
うんうん唸っているアーティストたちが、
世界中で眠れぬ夜を、
目覚めぬ朝を、
過ごしているのだろうなぁ。。。

 

◆【ヴォイトレマガジン『声出していこうっ!me.』】
ほぼ週1回、ブログ記事から、1歩進んだディープな話題をお届けしているメルマガです。無料登録はこちらから。バックナンバーも読めます。

 - B面Blog, クリエイト, 音楽

  関連記事

「なにがしたいか」にフォーカスする!

はじめて、音楽制作のために買いそろえたのは、Rolandのキーボードとシーケンサ …

カラダという楽器 〜 Singer’s Tips #9 〜

ピアノでも、ギターでも、 「さぁ、弾こう」という前に、 弾き手が必ずするのがチュ …

「心」じゃなくって、「耳」で聞くのだよ。

こんなことを書くと、また誤解されそうですが・・・ 音楽ファンや愛好家はともかく、 …

ノドを痛めるのは「大きな声を出すから」ではなく「出し方が悪いから」

「大きな声=ノドを痛める」と思っている人が、 あまりに多いことに、いつも驚かされ …

幸せと。寂しさと。そして嫉妬もちょびっと。

自分の仕事の評価を何で計るか? 稼いでいる金額? メディアで取り上げられた数? …

関係性がつくれないから上達しない。

ここ数年、芸能事務所や音楽事務所の 新人育成ワークショップを担当させていただく機 …

声の優先順位が低いなら、気にしないのが一番。

「自分の声の印象って、どうなのだろうと気になる」 という人はたくさんいるのに、 …

「フォームは乱れるもの」と心得る。~Singer’s Tips #1~

どんな名プレイヤーも、 長期間試合に出続けていると、 急に成績不振になったり、 …

あなたはどのタイプ?ミュージシャンの特性チェック!

「ミュージシャンには、3種類いるよね。」 先日そんな話を、アーティストであり職業 …

「なめたらあかんぜよ」

先日、勢いでiPhoneを10から15にしたおかげで、今までiPhoneを繋げる …