大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

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視点を変えると価値観が変わる〜from USA②〜

   

ニューヨークに暮らしはじめて、真っ先に感じたのは身体の中に流れ込んでくる街の音。

この音が、サイモンとガーファンクルやビリー・ジョエルの音なのだと気づいて、
ドキドキしたのを覚えています。

それまで特別で、クールな、外国の音楽と感じていた音たちが、
一気に、肌感覚レベルで腑に落ちた瞬間でした。

以来、同じことを世界各地に出かけるたびに感じます。

もちろん東京にも東京の音があります。
そして、それら、街の音は時代と共に変化していくのです。

海外に暮らし、英語を話し、たくさんの友人ができて、
大きく変化したのは、なにより自分自身。日本という国に対する考え方でした。

物心ついたときから聴く音楽は洋楽一辺倒。
読みあさった小説は圧倒的に海外小説で、
毎晩のように洋画を見て、ひたすら英語の勉強をし・・・
若かりし頃の私は、実に「アメリカかぶれ」「外国かぶれ」の嫌なやつでございました。

こどもの頃から、どこにいても、だれといても、ずっと違和感を感じていて、
いつか外国に暮らすようになったらその違和感は消えるに違いないと、
心の底から信じていました。

同時に母国日本が好きにもなれず、日本人であることにプライドも覚えず、
可能なら「外人になりたい」くらいに思っていました。

ところが、海外で暮らすようになって、その想いは一転します。

イギリス、カナダ、ブラジル、アルゼンチン、フランス、ドイツ、マレーシア・・・
さまざまな国からやってきた友たちと真っ先に共有したのは、

自分は誰で、どんな国のどんな家族の元に生まれ、
なにを信じ、なにをしてきて、今、なにを夢見てここにいるか。

そんなことを明確に言語化しようとすることで、
自分の中にあった曖昧なものや、生きることに対する甘えのようなものが、
そぎ落とされていく感覚がありました。

自分の血の中に脈々と流れる日本人のDNAに誇りと愛情を感じるようになったのです。

 

視点が変わることで、価値観が転換する。
気づけなかった可能性や掘り起こせなかった真実を発見することができる。
さまざまな場所を旅し、さまざまな人と出会うことの最大のメリットはここにあると言えます。

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昨日は愛して止まないメトロポリタン美術館を時間を気にすることなく、
たっぷり堪能してきました。

さまざまな視点から世界を見つめ、
自分自身の意識とアートを改革してきたアーティストたちの作品。

あふれるほどのエネルギーを受け取って至福の時間でした。

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今日はAmtrakでワシントンDCに向かいます。
わくわくは続いています(^^)

 - Life, My History

Comment

  1. 浩子 より:

    いつも素晴らしい投稿ありがとうございます。
    すごく勉強になります!
    もっと色々なお話が聞きたかったので何度かメルマガ登録させていただいたのですが、記事が来ないので携帯のメールアドレスを入れたり、他のパソコンのアドレスを入れようとしたりしましたが上手く行きませんでした。
    一応最初に登録したアドレスの迷惑メールフォルダに間違って入っていないかチェックをしたのですがそちらにも入っていなかったので、どうすれば良いか教えて頂きたくコメントいたしました。
    現在はご多忙のことと思いますので落ち着かれてからよければこの先の手順をお教え頂きたいてす。
    お手数おかけしますが、よろしくお願いいたします。

  2. otsukimisumi より:

    浩子さん

    メッセージ、ありがとうございます。
    すみません!メルマガ、かなり気ままにやっていて、しばらく発行しておりませんでした。
    それで届いていないのだと思います。
    近々発行します!しばらくおまちくださいね。

  3. 浩子 より:

    ご回答ありがとうございます!
    私はネットの仕組みに疎いので、何かしていけない操作をしてしまったのだろうか?と考えたりして少し不安だったので、ご回答頂けてホッとしました。
    楽しみにしていますね!

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