大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

1音にこだわる!~Singer’s Tips #6~

   

歌のトレーニングの基本中の基本であり、
上達のために最も重要なことのひとつは、
1音のクオリティを高めることです。

ところが、
フレーズやリズム、高い声の練習に明け暮れ、
この1音の安定感をないがしろにしている人は、
意外なくらい多いもの。

歌い出した瞬間に、目的のピッチを捕らえられているか?
声が揺れたり、かすれたり、音色が意図せず変化したりと、
不安定にオヨヨヨと揺らいでいないか。
かすれたり、ガラついたり、カサカサとしたりしていないか。

1音のクオリティがあがらないと、
歌全体のクオリティは絶対にあがりません。
リズムがどうとか、フレージングがどうとか、
言う以前の問題です。

別にきれいな声を出しなさいとか、
パワフルに歌いなさいとかと、
言うことではありませんよ。

楽器にたとえるとわかりやすいと思うのですが、

ピアノなら、ぽーんと鍵盤も叩いた時、
ギターなら、弦をびーんとはじいた時、

その瞬間にいい音がしない楽器だとしたら、
何個音を重ねても、
どんなに巧みに弾いても、
いい演奏にならないのは当然だと思いませんか?

間違ったものはいくつ集まっても間違ったものです。

出た瞬間に、目的の高さを、
意図した音色、音量で出す。
すべてのコントロールはここからはじまります。

まずは歌いやすい、楽な音を、
確実に、揺るぎなく出せるよう、練習してみてください。

今は、ピッチや音量、音色を測定する、
よきアプリが無料でたくさん出回っています。
活用しない手はありませんね。

◆一生に一度、集中的に学ぶだけで、”自分で自分に教えること”を可能にするMTL 12。毎週日曜日10時〜Youtubeにて公開中。
毎週月曜発行中!声に関するマニアックな情報やインサイドストーリーをお届けする無料メルマガ『声出していこうっ』。バックナンバーも読めます。

 

 - B面Blog, Singer's Tips, 「イマイチ」脱却!練習法&学習法, 声のはなし, 歌を極める

  関連記事

「長期記憶のゴールデンタイム」にあなたは何を記憶しますか?

「受験生といえば、まずは『でる単』」。 『でる単』、すなわち、『試験に出る英単語 …

「とろい」って言うなっ!

「キミは運転、向いてないねー」 この人生、 「向いてない」と言われたことは数々あ …

カラダに染みこませたものは裏切らない。

若かりし頃から、使った「歌詞カード」を 大切に取っておく習慣があります。 「ネッ …

歌と「向いてない」とクソまずいケーキ

「歌がうまくなりたいんですけど、なにをしたらいいですか?」 と質問されると、反射 …

昭和音楽大学で、姿勢と呼吸を熱く語ってきました

昭和音楽大学で特別講義をしてきました。 テーマは姿勢と呼吸。 11月に大学のショ …

批評家目線を捨てる

「Aさんって、うまいんですか?」 生徒の口からは、いわゆる本格派といわれる歌手で …

ルーティンワークで「微差」をつかまえる。

鰻屋を営んでいた母方の祖父は、 生前、お昼ごはんに、 毎日お店の鰻重を食べていた …

迷う余地なく行動できるよう自分を追い込む

あれは中学生くらいのことだったでしょうか?   新しい学年がはじまると …

自意識の暴走を屈服させる

ボーカリストも、ミュージシャンも、役者も、ダンサーも、 おそらくはパフォーマーと …

なんで、「できる」って言っちゃうんですか?

まだ小学生の頃だったか、 おとなたちが屋外で音楽をかけながら、 パーティーをして …