「対バン」の流儀
「対バン」。
学生時代からあまりに当たり前につかっていることばなので、
この言葉にすぐピンとくる一般の方が、
どのくらいの確率でいるのか、もはやわかりませんが・・・。
ライブハウスで、
一緒に演じる別のバンドのことを、
このように呼びます。
昔は、何バンドか一緒にやることを、
「対バンあり」みたいに言っていましたが、
最近は、「ワンマン」に対して、
「ツーマン」(2バンドで一緒にやること)、
「スリーマン」(3バンドで一緒にやること)、
などと言うようです。
めっちゃ和製英語です(^_^)
「対バンあり」でライブをやる大きな理由は、
「1バンドでお客さんが十分集められない」ことですが、
その他にも、
「友だちのバンドと一緒にライブをやりたい!」
「お互いのお客さんにアピールして集客力を上げたい」
「レパートリーが少なくて、ワンマンをする自信がない」
などの理由があるようです。
お店のキャパに対して、
自分たちのバンドが集客できる人数が少ないとき、
自ら「対バンあり」を選択する、
または、お店に「まずは対バンありでやりましょう」
のように言われたりします。
対バンは自分たちで直接お願いする場合も、
お店がマッチングをする場合もあります。
お店が対バンを選ぶ場合、
当日になるまでどんなバンドか、
ハッキリとはわからないのがミソ。
「なんでこのバンドと対バン!?」と、
楽屋でお化粧をしながら、
がっくり来たことが何回もあります。
ブッキングする人はよかれと思って選んでくれるのでしょうが、
やっぱりお客さんのためにも、
自分たちのためにも、
あまりにも音楽性や実力に違いがある対バンは避けたいものです。
「対バン」はいわゆる、
「オープニングアクト」とは意味が違います。
「オープニングアクト」は、
新人バンドなどが、
「メインアクト」のお客さんに、
自分たちをアピールする、
覚えてもらう、などの意味合いで、
努める場合もありますし、
ローカルのバンドが、
「メインアクト」を盛り上げる、
会場をウォーミングアップするなどの、
役目を受け持つ場合もあります。
しかし、対バンの場合、
どちらが「メイン」という考え方はありません。
「お互いがイーブンな立場で集客しましょう」
というのが暗黙の了解です。
ところがね。
この「イーブンに集客」というのが、
なかなか難しい。
そもそも、対バンをやる時は、
集客のプレッシャーは半分、
または3分の1、4分の1であって欲しい。
そういう願いをこめて「対バンあり」をやるのに、
当日、ふたを開けてみたら、
対バンのお客さんが限りなくゼロに近かった、
なんてことが、何回もありました。
対バン相手が集客力があると、
ついつい甘えて、告知にあんまりチカラを入れず、
気がついたら相手に迷惑をかけていた、
なんてことも、はい、もちろん、あります。
せっかく対バンをやるのだから、
相手のお客さんにもアピールしたいという、
気持ちは、誰にでもあるものですが、
いやー。これもね。
対バン相手、そして対バンのお客層によっては、
裏目に出ることも多々あります。
あるときなど、
ライブハウスにブッキンブされたバンドで、
「僕ら最初にやらしてください」と言うので、
「どうぞ」とゆずったら、
自分たちの出番が終わるなり、
インターミッション中に機材をどーっと搬出し、
お客さんごと、ごっそり会場から消えた、
なんていう、超マナーの悪いバンドもいました。
こうなると対バンの「やり損」です。
会場を全然違う空気感にされて、
おまけに、客席の寂しさが際立って、
「むしろ、最初からガラガラの方がよかったな」
なんて時もありました。
また、対バンは
同じ音楽性ならいいというものでもなく、
ヘビーなサウンドのバンドが続けばお客さんの耳は疲れてしまいますし、
似たようなバラード系が続けば、差別化もままなりません。
かといって、70年代中心のロックバンドと、
超ポップなティーンエイジャーバンドというのも、
来るお客さんに申し訳ないし、
いやいや、ほんっとに難しいものです。
その点、決まったテーマの元に
バンドが集まる「フェス」のようなものは、
わかりやすい。
ポップな新人オリジナルバンドばかりのフェスや
トリビュートバンドばかりのフェス、
学生バンドのフェスというのも、
わかりやすくてよいですね。
ただし、「フェス」までなると、
大がかりでスタッフサイドが大変になる。
出番も少なくて、アピールできるシーンが少ない。
それぞれのバンドの固定のお客さんは敬遠する。
などというデメリットもあります。
いやはや、ほんっとに難しい。
結局、対バンを成功させるには、
よきプロデューサー、
スタッフの存在が不可欠なのです。
お店側のスタッフでも、
バンド側のスタッフでもいい。
とにかく、対バン相手と密に連絡をとって、
情報や理解を共有する。
お互いに一所懸命集客して、
ライブを一緒に盛り上げようという意識を持つ。
何ごとも「無言の了解」くらい、
もめ事の原因になることはないんですよね。
ま、なにより、
いつでもどこでも、
ワンマンで十分集客できるというのが、理想です。
がんばろ〜。
お〜っ!
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