大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

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あがり症を克服する3つの方法

   

ビジネスボイトレを受講する人には、「あがり症」を訴える人が少なからずいます。

「人前でスピーチをする時、声が震える」という、誰でも経験があるレベルの「あがり」から、「毎朝『おはようございます』とオフィスに入っていく時すら、緊張して声が出ない」という重めのレベルまで。

「絶対に成功させなくちゃ」という気負いや、「失敗したらどうしよう」という不安から、頭が真っ白になって、プレゼンで言葉が出なくなってしまったり、大切な商談で声が震えてしまったり。

自信を持ってバリバリお仕事を頑張りたい人にとって、ここぞと言うときにエネルギーを奪う「あがり症」は自分の中に棲む最大の敵とも言えます。

あがり症の原因は、自律神経のバランス崩壊。
緊張や危機を感じると分泌される「アドレナリン」が暴走して、心臓のドキドキバクバク、手足の震え、呼吸の乱れ、声の震えなどなどを引き起す。

わかっちゃいるけど、アドレナリン。
どうやって、押さえ込んだらいいの?

知っておくべき重要なポイントは、「アドレナリン」そのものは、仕事の精度やパフォーマンスを上げるバディ、味方であるということ。

「よっしゃ!」と気合いがはいるとき、「やってやるぜ!」と戦闘モードになるとき、適度なアドレナリンは、集中力を高め、圧倒的な力を引き出してくれます。
自信のみなぎるパワフルな声も、全身から醸し出されるオーラも、アドレナリンの賜。

リラックスすることがどれだけ大切と言われても、自宅でパジャマのリラックスモードのまま、最高のスピーチやプレゼン、パフォーマンスをすることは不可能ということです。

適度な緊張は適度なアドレナリンを分泌させる。
つまり、むしろ歓迎すべきことなのです。

では、アドレナリンを味方につけるにはどうしたらいいか。
ポイントは3つです。

  1. 準備で不安を取り除く緊張の多くは準備不足から起こります。「あれは大丈夫か?」「これはうまくいくか?」
    頭の中を駆け巡る声は、すべて雑念です。
    雑念が浮かぶたびに、「あれだけ準備したんだから、失敗するはずがない」と完璧に自分を納得させることができるか。ポイントはここ。

    話すべきことが、自然に口から出てくるレベルまで頭に入っている。
    もしくは、プロジェクターやカンペなどの、準備や演出ができている。
    本番のシミュレーションや予行演習を怠りなくやっている。

    「一流は完璧に準備する」のは、「不安」を徹底的に排除するためでもあるのです。

  2. カラダからリラックスを演出する不安や恐怖を感じると暴走するアドレナリン。
    全身が緊張し、呼吸が浅くなり、頭に血が上り…緊張すればするほど、不安と恐怖はさらに募り、アドレナリンの暴走は、コントロール不能になる。

    そこで、カラダの状態を強制的に整えることで、脳に「あれ?もしかして、もう不安はなくなったの?」と勘違いさせる。
    これが効きます。

    膝をゆるめ、小刻みにカラダを上下させるようにして、血液を下半身に集める。
    上半身をぐにゃぐにゃとゆする。
    おへその下から、ゆ〜〜っくり息を吐くことからスタートして、深呼吸。
    呼吸は「先に吐く」、がポイントです。
    呼吸が整ったら、「はぁ〜」と声を出し、スマイルしながら気持ちよいため息をつく。

    こうすることで、脳が「あぁ、もうリラックスしていいんだね」と勘違いしてくれるわけです。

  3. 緊張で集中を呼び込む緊張と集中は同じ種類の心の状態。
    緊張してきたら、自分に
    「よっしゃ。いい感じで集中してきた!」
    「おしっ!高揚してきた!これでパワーが出る!」
    と言いきかせ、そう信じること。

    声に出して言うことで、だんだんと、緊張が自信と集中に変わっていきます。

いかがでしょうか?
緊張も大切な自分の感情の一部。
いい関係を築いていきましょう!

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