大槻水澄(MISUMI)ブログ 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「クリエイトすること」はゴールではない

      2015/12/25

「どんな仕事に携わっていても、何をクリエイトしていても、
大切にすべきことの本質は同じなのだ。」

音楽業界という枠を飛び出し、
さまざまな業種の人たちと仕事をするようになって学びました。
アウェイな世界で自分の頭をクールダウンすることで、
客観的に自分自身や、
自分が身を置いていた世界を見つめ直すことができます。

そこから、驚くほど、新たな気づきが生まれました。

 

アーティストとして認められたくて、
ひたすら曲を書き、歌詞を書き、歌い続けてきた私にとって、
最大の気づきは、

「何かをクリエイトするということは、はじまりであって、ゴールではない。」
ということを学んだことでした。

『スティーブ・ジョブズ 1995~失われたインタビュー~』の中で、
スティーブジョブズは、こんなことを言っています。

『彼らは(自分が去った後のapple社の人間は)
アイデアを出せば作業の9割は完成だと考える。
そして、考えを伝えさえすれば、社員が具体化してくれると思い込む。

しかし、すごいアイデアから優れた商品を生み出すには、
大変な職人技の積み重ねが必要だ。

製品に発展させる中で、アイデアは変容し、成長する。

細部を詰める過程で多くを学ぶし、妥協も必要になってくる。

だから製品をデザインするときには、
大量のコンセプトを試行錯誤しながら組み替え、
新たな方法で繋ぎ、望みのものを生み出すんだ。

そして未知の発見や問題が現れるたびに全体を組み直す。
そういったプロセスがマジックを起こすのさ。」
一人の成功したアーティストを製品とするなら、
優れた曲があり、
優れた歌手がいて、
でも、それは単なる部品に過ぎないわけです。

大量のコンセプトを試行錯誤しながら組み替える。
時には、一からすべてを作り直す。

そんなプロセスが、マジックを起こす。

さらには、そこから対外的にそれを売っていくチームが、
その製品を違うステージに連れて行く。

曲をクリエイトすることばかり、
いい歌を歌うことばかりに熱中していても、どこへも行けない。
何も起こらない。

なぜなら、それらは、単なる部品に過ぎないから。

最後に、スティーブジョブズの名言をもうひとつ。

“Real artist ships”
(真のアーティストは作品を出荷する)

*今日のブログは、アーティストとして、何らかのキャリアを求めている人にのみ
当てはまることです。念のため。

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 - The プロフェッショナル

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