大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

憧れを現実に変える力

   

中学に入学して、
生まれて初めて部活動というものをはじめた時、
同じ部活の高校生の先輩が、
それはそれは素敵に見えました。

みなさん、それはそれはおとなっぽくって、
格好よくって、頭よさそうで、

あぁ、素敵だなぁ、と憧れると同時に、

自分なんか、絶対に追いつけないくらい、
果てしなく遠い、特別な存在に見えたものです。

 

しかし、

同じ学校にいて、同じ教育を受ければ、
もちろん、自分たちだって同じような高校生になります。

同じように自分たちに憧れる後輩もできました。

「MISUMIセンパイ、素敵」なんて、
女子校特有のハートの目で言われたとき、
憧れって、そういうことなんだと、妙に悟りました。

誰かに憧れ、自分にはとうてい追いつけないと思うのは、
彼らが自分にとって手の届かない、
未知の場所に立っているから。

 

エベレストの山頂に立つ人たちをただ見上げていれば、
彼らがとんでもなく強靱で
特別な人たちのように思えるでしょう。

憧れの対象との隔たりが、
物理的にも、精神的にも、縮まることがなければ、
憧れは一生憧れのままです。

 

自分自身が憧れの対象に近づきたければ、
もしくは、自分自身が同じような存在になりたければ、

彼らのたどった道を探し当て、
一歩ずつ、一歩ずつ、
山道を登っていくしかありません。

 

山頂までワープできる人は、ひとりもいません。

 

山頂に思いを馳せる。

いつか必ずあの地に立とうと決める。

小さな山を、ひとつひとつ登って、下って、
トレーニングを繰り返して、
筋力をつけたり、体力をつけたりして、カラダをつくる。

山登りのノウハウを、
さまざまな人に出会ったり、
さまざまな書物をひもといたりして身につける。

山登りに必要なグッズをひとつひとつ、丁寧に選ぶ。
集める。
使ってみる。

旅に必要なお金をつくる。時間をつくる。

家族の理解を求める。

地図を買う。

登山計画を綿密に練る。

ガイドを見つける。

チケットを買う。

パッキングをする。

出発する。

 

そして、登る。
一歩ずつ、登る。
一歩ずつ、一歩ずつ、登る。

 

憧れが憧れのままで終わってしまう人と、
自分自身がいつか憧れの対象になれる人の違いは、

結果を信じること。

ひとつひとつのプロセスに目を向けること。

行動すること。

あきらめないこと。

 

これに尽きます。

 

憧れを現実に変える力は、
選ばれた人だけが持つ、特別な力なんかじゃない。
誰もが平等に持っている、人間の本質的な力。

そう信じて今も疑いません。

 - Life, 夢を叶える

  関連記事

「目障りなヤツ」で行こうっ!

「あいつ、なんか目障りなんだよな。 なにがってわけじゃないんだけど、なんか態度が …

「歌うのが嫌い」という人の本当のわけ

「音楽に興味がない」「興味が持てない」という人は、ときどきいますが、 「音楽が嫌 …

プロの世界で活躍できる子たちの5つの違い

学年の終わりが見えてくるこの時期、 口には出さないけれど、みんな、心の中で 将来 …

小さな選択の連続がやがて大きく流れを変える。

人生にはいわゆるターニングポイントというのがあります。 それがいつ訪れるのかはわ …

まず、やれ。文句を言うのはそれからだ。

「あの程度のコード進行の曲なら、その気になれば何曲でも書けるぜ。」 「こいつ、こ …

人生は「パッション」がつくるのだ。

ある時期、心から夢中になって、 一度でも自分のカラダの中を通り過ぎたものは、 自 …

「自分じゃなくなりたい」?

「自分が、○○だったらよかったな。。。」   こんな風に思ったことのあ …

バンドやりたい。

若者の頃に出会ったメンバーと、 生涯バンドを続けて行く。 これって、初恋の恋人と …

「あと一周」のベルが、まだ聞こえない。

出版に向けラストスパートに入りました。 え?まだスパートかけるの?という街の声が …

「売れ線狙い」は劣化コピーを生む。

「これ、今、売れてるから、この路線で行こう!」 そんな風に言うおじさまたちが、一 …