カッコよければなんだっていいじゃん。
歌を指導する立場にいながら、
口が酸っぱくなるほど言い続けていること。
「カッコよければなんだっていいのよ。」
完璧な発声も、クリアなカツゼツも、
微塵も狂わないピッチも、
クロウトウケするアドリブも、
まぁ、職人的にお仕事する人には必要な「スキル」かもしれないけど、
ミュージシャンやヴォーカリストすべてにとっての
絶対条件かというと、そんなことは全くありません。
そんなことを言い出したら、
ボブ・ディランだって、
ロバート・プラントだって、
ジャニス・ジョップリンだって、
みんなアウトです。
少なくとも、ポップミュージックやロックミュージックシーンで、
「○○でなければならない。」は存在しない。
「完璧なお手本」などというものはないんです。
うんざりするほどお上手で、
うんざりするほど退屈なパフォーマンスをするくらいなら、
あっちもこっちもガタガタ、ボロボロだって、
フォームがぐちゃぐちゃだって、
カッコいい方がいいに決まってる。
ガーンと胸を打つエネルギーがあるものの方が、
少なくとも私にはずっといい。
お行儀のよい歌をうまそうに歌う優等生ばかりになったら、
あぁ、音楽はどんなに退屈でしょう。
だって私たちは、
「正しい歌」を歌うために歌を学んでいるのではなく、
自分自身が表現したいと思うことを、
ストレスなく表現できるカラダを持つために、
伝えたい想いを100%伝えて、聞き手の心を動かすために、
歌を学んでいるのではないのか?
少しでも、よいピッチで、
少しでも、いい声で、
もっともっと、カツゼツよく・・・
と、どんどん欲が出るのは、
なにも「完璧な歌」を歌いたいからじゃなく、
自分の頭に想い描く理想を声にするため、
音にするため、
そして、聞き手に、
そんな自分の理想の音を届けたいからじゃないのか?
誰かの「理想」を押しつけられることなく、
「正しさ」というひな形に押し込められ、
燃えさかるような想いを去勢されてしまうことなく、
心が叫ぶままに歌うのだ。
ヴォイトレはね、
そんな心のシャウターたちの、サポーターでしかないんですよ。
◆【メルマガ365】では「声の個性」について連載中。是非、チェックしてみてください。
「バックナンバーまとめ読み」もお勧めです!ご登録はこちらから。
関連記事
-
-
「このくらいデカい音出さなくちゃいい音出ないだろ?」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2016年1月、M …
-
-
つぎはぎ、修正、補正だらけの歌に、「パッション」は宿らない!
「1回しか歌わないわよ」 レコーディングのとき、そう言って、本当に …
-
-
「同じに出す」が一番難しい。
同じ音を連続して弾くとき、 ピアノという楽器の完成度の高さを、 しみじみと感じて …
-
-
どんなに「ふり」をしても、オーディエンスは一瞬で見破るのです。
「わからないことを、わかっているかのように、 できないことを、できるかのように語 …
-
-
キー設定にこだわり抜く
「キー、D♭でお願いします」 そんなことを言って、いい顔をしてくれるのは打楽器と …
-
-
インスピレーション
いい曲書こうと思って、何時間ピアノの前に座っても、何フレーズ書いても、ちっともし …
-
-
プロ、セミプロ、セミアマ?ミュージシャンの働き方
高校時代、一緒にバンドをやっていた仲間のひとりに、 フリーターをしながら、あちこ …
-
-
そんなとき、 人はロックを聴きたくなるのではないか?
最近、妙にロックが聴きたくなります。 日々の息詰まるような閉塞感。 やり場のない …
-
-
うまいからプロになれるのか?プロになるからうまくなるのか?
うまいからプロになれるのか? プロになるからうまくなるのか? ニワトリとタマゴの …
-
-
「あの〜、お仕事あったら、よろしくお願いします。」
「あの〜、なんかお仕事あったら、よろしくお願いします!」 ミュージ …
- PREV
- 憧れを現実に変える力
- NEXT
- 「華がない」ってなんだよ?