大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

カッコよければなんだっていいじゃん。

   

歌を指導する立場にいながら、
口が酸っぱくなるほど言い続けていること。

「カッコよければなんだっていいのよ。」

 

完璧な発声も、クリアなカツゼツも、
微塵も狂わないピッチも、
クロウトウケするアドリブも、

まぁ、職人的にお仕事する人には必要な「スキル」かもしれないけど、

ミュージシャンやヴォーカリストすべてにとっての
絶対条件かというと、そんなことは全くありません。

そんなことを言い出したら、

ボブ・ディランだって、
ロバート・プラントだって、
ジャニス・ジョップリンだって、
みんなアウトです。

 

 

少なくとも、ポップミュージックやロックミュージックシーンで、
「○○でなければならない。」は存在しない。

「完璧なお手本」などというものはないんです。

 

うんざりするほどお上手で、
うんざりするほど退屈なパフォーマンスをするくらいなら、

あっちもこっちもガタガタ、ボロボロだって、
フォームがぐちゃぐちゃだって、
カッコいい方がいいに決まってる。

ガーンと胸を打つエネルギーがあるものの方が、
少なくとも私にはずっといい。

お行儀のよい歌をうまそうに歌う優等生ばかりになったら、
あぁ、音楽はどんなに退屈でしょう。

 

だって私たちは、
「正しい歌」を歌うために歌を学んでいるのではなく、

自分自身が表現したいと思うことを、
ストレスなく表現できるカラダを持つために、

伝えたい想いを100%伝えて、聞き手の心を動かすために、

歌を学んでいるのではないのか?

 

少しでも、よいピッチで、
少しでも、いい声で、
もっともっと、カツゼツよく・・・

と、どんどん欲が出るのは、
なにも「完璧な歌」を歌いたいからじゃなく、

自分の頭に想い描く理想を声にするため、
音にするため、

そして、聞き手に、
そんな自分の理想の音を届けたいからじゃないのか?

 

誰かの「理想」を押しつけられることなく、

「正しさ」というひな形に押し込められ、
燃えさかるような想いを去勢されてしまうことなく、

心が叫ぶままに歌うのだ。

ヴォイトレはね、
そんな心のシャウターたちの、サポーターでしかないんですよ。

 

◆【メルマガ365】では「声の個性」について連載中。是非、チェックしてみてください。
「バックナンバーまとめ読み」もお勧めです!ご登録はこちらから。

 - The プロフェッショナル, 音楽

  関連記事

「キー決め」の3つのポイント~Singer’s Tips #25~

キーを決める時、 「高いところが出ないから下げる」、 「低いところが歌えないから …

「もっと心をこめて歌ってよ」!?

「歌は心」的な話は苦手です。 心をこめて歌おう、 情感たっぷりに歌おうとがんばる …

パフォーマンスは「鮮度」と「完成度」が命!

「僕は自分の過去には一切興味がないんです。 だから自分の作った作品も全部処分しち …

楽器はプレイヤーの「心」なんだっ!

昨今、SNSで楽器が盗難に遭ったというニュースが次々に流れてきます。 昨年末も、 …

「ライブ前にやらなくちゃいけないこと」なんて、なんにもない!?

「ライブ前に、絶対しなくちゃいけないことってありますか?」   そんな …

音楽ソフトが使いたい!でも、PCが苦手?

最近昔話ばっかりで恐縮です。 生まれてはじめて、 自分でオリジナル曲を録音した時 …

ヴォイストレーナーという仕事

自分にできないことは教えられない。 いろいろな考え方があるでしょうが、 私は、歌 …

学ぶ姿勢

誰かから何かを学ぶときは、 ひととき自我のスイッチを切り、 その人の言うことを、 …

「送り手」になりたかったら、「受け手」と同じことをしていたのではダメです。

「歌が好きだから、毎日歌っているんですよ」という人は、たくさんいます。 毎週のよ …

感動を引き起こすのは、人の心に眠る「ストーリー」

学生時代、父と2人、よく軽登山に出かけたものです。 汗だくで、4〜5時間かけて、 …