大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

コンサートの楽しみ方は、ホントにいろいろ

   

仕事柄いろんなコンサート会場に足を運んできました。

その度に、コンサートの楽しみ方というのは、
本当にいろいろあるなぁと、関心したり、驚いたりいたします。

 

今日はお休みということで、ゆる〜く、
『コンサートの楽しみ方は、ホントにいろいろ』という、
あるあるネタでお楽しみください(^^)

 

生まれてはじめて行ったコンサートは
ベイシティローラーズの日本武道館。
こんなこというと年がバレバレでしょうが、
まぁ今さら、どうということはないでしょ(^^)
 

大好きな曲が何曲かあって、
すでにバンドに興味があった私としてはじっくり聴きたかったのだけど、

メンバーが登場した瞬間に絶叫しはじめた女の子たちの声に
「マスキング」されて、
どの曲も遠〜くでこっそり鳴っているラジオのような状態。

2日間くらい耳鳴りしていたのは、けして音響のせいじゃありません。

 

ある程度の年齢から上の外タレ・コンサートは、
盛り上がる曲になると立ち上がって、
バラードになると座って・・・というのが定番で、
この手のライブに行き慣れた身としては、安心感があります。

 

しかし・・・

15年くらい前になるでしょうか。

もう名前も思い出せないのだけれど、
イギリスのロックバンドにハマって、
ひとり新宿のリキッドルームにライブを見に行ったことがあります。

オールスタンディングということで、早めに行って、
真ん中の柵の前に陣取って、余裕で見るつもりだったのですが、

バンド登場と共に、後ろからど〜〜っと観客が前に押し寄せて、
柵にカラダを思いきり押しつけられて窒息寸前。

さらに上からどんどん人が降ってきて、
蹴飛ばされそうになるわ、頭打ちそうになるわで・・・。

周りの観客は、もう恍惚状態で誰も気にしていないようすです。

命からがら抜け出して、一番後ろの扉を入ったところから、
こっそり見たという経験があります。

 

ベイシティローラーズの観客が絶叫していたのと、
心理としては変わらないのかもしれません。

 

一方、日本のコンサートシーンは、
これまたユニークな、ガラ系のコンサートになっています。

全員で盆踊りのような振り付けをしたり、

お約束の(と思われる)ペンライトを振りかざして飛び上がったり、

はたまた(グッズの売り上げを上げるためと思われますが)
タオルを思いっきり振り回すシーンがあったり・・・実にガラ系(^^)

 

ハマってしまえば、さぞかし楽しいのだろうと、
目を細めて見ておりますが、
さすがに、自尊心が邪魔をして、一緒に踊れない自分がいます。

 

 

さて、私のコンサートの最大の楽しみといえば、
やっぱり知っている曲は一緒に歌いたい。
だって、ポールやミックやティナやシンディや・・・
 

そんな大好きな人たちと、一緒に歌える時間は、
もう、とにかく、なんて言ったって、幸せ過ぎる時間なわけで。

 
しかし。

 

告白します。

あるとき、突然、それは周囲へのご迷惑となることを知りました。

 

若い頃は、そんなことなかったです。
クラプトンも、トトも、ボブ・ディランも、
み〜んな一緒に歌ったけど、
誰にもご迷惑をかけていなかった自信はあります。

 

あれは、95年のローリングストーンズの来日コンサートのときのこと。

大親友で、高校時代、一緒にバンドをやっていたユキエに、
「MISUMIぃ、ストーンズ、前から10番目のチケットあるのよ〜!」
と誘われて、見に行った時のことです。

ドームですから、ものすごい音量です。

 

お客さんも、コンサートがはじまると同時に総立ちになって、

私もすでにいいオトナでしたが、
なにしろ一緒に行ったのが高校の同級生。しかもバンド仲間。
それはもう大はじけで、一曲目から、大騒ぎでした。

高校の友達というのは、
なぜこうも、人をただの高校生に戻してしまうのか。

彼女も私も一応バイリンガルというのに、二人して、
思いっきりカタカナで「キぃ〜スぅ〜〜ッ」「ミックぅ〜〜!」と騒ぎ。

ヒット曲になると、それはもう、
ステージ上で歌うよりもさらに気持ちよく、

そしておそらく、(なんと言っても単なるワンフーですから)
ものすごく音痴で、ものすごく大きな声で、
ミックと一緒に歌いまくっておりました。

 

何曲目だったでしょうか。

目の前の人が、振り返って、「うるせぇなぁ」と。
その声がハッキリ聞こえちゃったのです。

 

そこで、はっと気づきました。

自分の声がとんでもない音量であるということ。
正面のスピーカーの音量に完全にかき消されていると思っていた自分の声が、
前の人にはとんでもない声に聞こえていたであろうということ。

そして、同じお金を払ってコンサートを楽しみに来ていた、
私の席の周辺のみなさんに、
ベイシティローラーズのコンサートなみの、
不愉快なノイズを聴かせていたということ。。。

懺悔。

 

とはいえ、その日はもう、興奮しちゃってましたから、
私を止められる人はいなかったんですが。。。

 

プレミアムチケットになる前でよかった。。。(違うか)

 

その後、コンサートに出かけたときは、
蚊の鳴くような、適正音量で歌っております。(つもりでおります)

 

他にも、クラシック、ジャズと、
それぞれコンサート鑑賞の流儀はありますが、

他のお客さんに迷惑にならない範囲で
それぞれ、自由に楽しく盛り上がりたいものですね(^^;;)

 

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 - 音楽

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