大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

言い切ったもんが勝つ。 そして、言い切れるやつは本気でカッコいい。

   

「自分を信じる力を才能という」

かのジョン・レノンの名言として、
とある雑誌で紹介されていたこのことばに、
ガーンと胸を打たれたのは高校2年の頃だったか。

自分を信じる。
では、一体、自分の何を信じる?

才能がある人間だから自分を信じられるんじゃないのか?

信じるに足る自分自身が見出せないから、
凡人は凡人と言うのではないのか。

アマチュア時代はもちろん、
プロになってからも長い間、
思う方向にキャリアが転がっていかないジレンマに苦しんでいた私は、

さまざまな人のことばに翻弄されながら、
常に、そんな自問を繰り返していました。

20代の終わり頃だったか、
レコーディングの仕事でロンドンに行ったときのことです。

ふらりと入った美術館で、
ポップアートの展覧会をやっていました。

ポップアートというものをよく知っていたわけではありません。
正直、なんじゃこりゃ、という作品が並んでいます。

そして、その「なんじゃこりゃ」が、
ものすごいエネルギーを放っているんですね。

洗剤の箱。
スープの缶。
汚れた靴。
トイレの便器。
ハンバーガー。
使用済みのティッシュやコンドームが詰め込まれたゴミ箱。
さび付いた工具。

どこにでもあるものが、
どこにでもあるように転がっている。

でも、アーティストは、
それが気になって、
そこにパワーを見出して、
「爆発だ」とばかりにつなぎ合わせて、
タイトルをつけて、
「これ、アート作品だから」と言い切る。

国立美術館に、持ち込む。

「すっげーーーー」と心の中で叫びました。

いや、もう、「すっげー」しか出てこなかった。

これこそが、「自分を信じる力」です。

言い切ったもんが勝つ。
そして、言い切れるやつは本気でカッコいい。

「AはBである」とか、「BはCである」とか、
そんなことを言い切る才能は、
私にはないかもしれない。

でも、

「あたしはAが好きである。
だから、Aには価値がある。」なら、
確実に言い切れると強く思いました。

で、
「なんか、文句ある?」だよなと。

今も、自信が揺らぎそうになると、
アートを見に行きます。

そして、そんなときは、ルールも秩序も超越した、
ポップアートを見るのが一番効きます。

自分の「好き」に敏感になる。
「好き」を信じる。
「好き」を貫く。

自分にとっての真実って、
それがすべてです。

◆【ヴォイトレマガジン『声出していこうっ!me.』】
ほぼ週1回、ブログ記事のインサイドストーリーなど、1歩進んだディープな話題をお届けしているメルマガです。無料登録はこちらから。バックナンバーも読めます。

 - B面Blog, Life, 本, 映画, アート...etc.

  関連記事

「気になる人」。

これから有名になろうという人、 活躍する人に共通の資質は、 「気になる人」である …

「答え」が違うのじゃない。そもそも「質問」が違うのだ。

ずいぶん昔のお話です。   雑誌の付録に「美人顔の条件」というようなの …

「極上の挨拶」は多少の不出来を凌駕する。

夏の終わりを楽しもうと、 愛犬と一緒に郊外のドッグプールに行ってきました。 施設 …

音楽だけじゃ不安だから、やっぱ就職しちゃおっかなぁ〜?

「音楽を仕事にしたいけど、食べて行かれるのかどうか不安。」 「将来のことを考えれ …

「あたり前」を極める

「自分があたり前にやっていることで、 他の人が絶対にマネできないことに注目しなさ …

ああ、テクノロジぃい

音楽家ってのは、(いや、ヴォイストレーナーってのもそうか。)ゴールデンウィークと …

心のブレーキをぶっ壊せ。

初めてシーケンサーを手に入れて、 ひとりで音楽をつくりはじめたのは、 22〜23 …

マンツー vs. グループレッスン

「歌のレッスンはマンツーマンじゃなくちゃ」とは、 非常によく言われることです。 …

人は「声の高低」でワクワク、感動する。

全っ然、キャラじゃないんで、 あんまり言わないんですが、 こう見えても、 ディズ …

キャリアの棚卸し中。

学生時代にアルバイトをしていた本の取り次ぎ店では、年に1度、棚卸しという日があり …