大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

雑草には雑草の生き方があるんでござんす。

   

芸歴30周年、40周年なんてお祝いをしている人たちが周囲に増えてきて、
ふと自分自身の芸歴って何年なのかと考えていたら、めまいがしてきました。

私くらい、ありとあらゆる現場で歌ったり、
お仕事させてもらったりしてきたヴォーカリストって、
すご〜くレアなんじゃないか。

大きなところから言えば、サポートコーラスとして経験した、
(恥ずかしいんで詳細はあんまり公表してないけど)
横浜スタジアム、日本武道館、大阪城ホール、名古屋レインボーホール、
などなどなど。

ヴォーカリストとしても、
中野サンプラザや東京厚生年金会館のステージを経験しました。

その一方で、
日本全国津々浦々、ライブハウスツアーもありました。

バンドの人数の方がお客さんより多い、とかね。
(しかもわざわざ飛行機で出かけたのにね)

昼間というのに人っ子1人歩いていないような街の、
小さなレストランとかね。

バンドのみんなと、
マネージャーの運転する車で高速飛ばして、
和気藹々おしゃべりしながらのツアーは、
まぁ、どんなにお客さん入らなくってしょぼくっても、
ホントに楽しいものでした。

都内のライブハウスは大きいとこから小さいとこまで、
いろんなバンドやイベントやセッションで出演させてもらったし、
地方のライブハウスや、野外イベントにもたくさん出演してきました。

イベントとか、営業系のお仕事もあって、

サンシャインシティでの華やかなイベントにお招きいただいたり、

原宿のオシャレなレストランで歌ったり、

そうそう、カップルのお客さんが3組だけ、なんていう、
港のそばの高級系レストランで歌ったこともあったっけ。

ちなみに、オシャレなレストランで歌うと、時々、
「もうちょっと静かなの歌ってください」なんて言われちゃったりして、
「誰呼んでそんなこと言ってんのよ」と、
半ばぶち切れそうになったこともあったりして・・・(^^)

フィリピンパブみたいなところで、
フィリピン女性たちの涙で潤んだ視線を浴びて歌ったこともあれば、
カントリー系のアットホームなライブハウスで歌ったこともある。

そうそう、ニューヨーク、トロント、ロンドン、
アイルランドのコークなんかでも、
ライブハウスのステージに立ちました。

スタジオのお仕事に関しては、
あちこちで書いているように、
500曲以上のレコーディングに参加しました。

これって、全然誇張した数字じゃなくって、
プロフェッショナルな現場で、
実際にお仕事として参加したレコーディングの数です。

主にCMとサントラ、ダンスミュージックなど企画モノ系の音源のヴォーカル。
自分のバンドのレコーディング。
そして、メジャーアーティストのコーラス。

アマチュア時代にお手伝いでやってきたレコーディングや、
インディーズ系の「友情出演系」レコーディング、
自宅でこつこつ作ってきた音源などは、
この数字に入っていないので、
まぁ、とにかくずぅ〜っとマイクの前に立って生きて来た感じです。

我ながら、百戦錬磨であります。

メジャーアーティストの演ずる大箱系現場と、
小さなクラブなどの営業系の現場は、
見える世界がとにもかくにも全然違う。

レコーディングだって同じです。

(最近、めっきり減ってきましたが)
最新機材がそろった、
スペースもたっぷりあるレコーディングスタジオと、

マンションの一室を改造したような、
小さな個人スタジオは、
見える景色も、音も、環境も、全く別物です。

一ヴォーカリストとして、
こんな振り幅でお仕事させてもらってきたことは、
人生における、本当に貴重な財産だと思っています。

正直、仕事ばっかりうまくいっても、
アーティストとしてうだつが上がらない自分に、
嫌気がさしたこともいっぱいあるし、

ミュージシャンズミュージシャンと言われるより、
もっと華やかな場所でちやほやされたいと思ったことも、
何度も何度もありますが、

振り返れば、こんなに豊富な経験ができたのも、
順風満帆じゃなかったおかげ。

スーパーメジャーな人たちの見ている景色は、
まだ見えていないかも知れないけど、
雑草には雑草にしかない、
底知れないパワーがあるわけで。

どこに出されても、
何をしていても、
あたし、なんとでもなりますと、
胸を張れるのも、
雑草ならではのしたたかさであります。

ぺんぺん草だって、タンポポだって、いいじゃないの。

少なくとも、後20年くらいは踏ん張って、はびこって、
生きたいもんでござんす。

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