大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

生きるって、信じることなんだ。

   

何年くらい前のことでしょうか。

世界の舞台で活躍した、某有名シンガーとお話をする機会があり、
心から尊敬の念を伝えました。

私が夢に見ることしかできない景色を、
実際に自分の目で見、全身で感じた人、
羨ましいという感覚さえ麻痺するほどの、
遠い遠い夢を叶えたその人です。

おそらく、数えきれない人たちから、
同じような賞賛のことばを受け取ってきたに違いないその人は、
恐ろしくクールに、こう言いました。

「みんなそう言ってくれるけど
俺にとってはもう終わったことなんだよね。
ひとつの通過点というか。
あれが自分の人生のピークだったとは思いたくないんだ。」

 

「経歴」という言葉に思いをはせる時、
いつも心によぎるのは、
登山道の途中に置かれていた積み石のイメージです。

 

道を歩いた証がひとつ、
またひとつと積み上げられていく積み石。

やがて、その積み上げられた石は、
後を歩く人たちの道しるべになるかもしれない。

先を行く人たちへの、
羨望や憧れのシンボルとなるかもしれない。

しかし、通り過ぎていく人たちにとっては、
そこは、ただの通過点。

立ち止まることもないし、
記憶に残る特別な場所ですらないかもしれない。

ただ石を積んで、通り過ぎただけ。

人生の通過点に過大な意味づけは、たぶんいらない。
後から来る人たちが勝手に評価するだけ。

自分のペースで、
自分の信じる道を、
一歩。また一歩。

ちっぽけな足跡をひとつ、
ちっぽけな石のかけらをひとつ、
残しながら。

飽きることなく。
腐ることなく。
ただ、淡々と。
登り続けるしかない。

きっとね。
生きるって、
信じることなんだ。

 

まだまだ行こう。

第3期(0期から数えて4期目)のインストラクター養成コースの受講生を募集を開始いたします。締め切りは4月末日。詳細はこちら

 - Life

  関連記事

未来人たちよ。「リアル」に触れよ。

自分が高校生、大学生だった時代を振り返ると、 あぁ、ずいぶん未来までやってきちゃ …

「型」か?没個性か?

日本の幼稚園の先生たちは、 「さぁ、みんなでブランコに乗りましょう。」 「次はお …

当たり前に続けることが、「特別な力」になる。

中学、高校と、 6年間も練習をしまくったにも関わらず、 ピアノもギターも「残念」 …

「らしくない」を排除すれば、「らしい」が見つかる

情報がどんどん入って来るこの時代に、 自分のアイデンティティ、つまり個性を見出す …

「苦手なことは、時間と共にますます苦手になる」悪循環を断つ3つの方法

人は、得意なこと、適性があることを、 好んでやる傾向があります。 また、自らは、 …

歌と「向いてない」とクソまずいケーキ

「歌がうまくなりたいんですけど、なにをしたらいいですか?」 と質問されると、反射 …

今さら知りたい?「いたずら電話撃退法」

“Hello, Maria?”(ハロー、マリア?) ひと …

no image
安心領域から出る

「自分の年収は親しい友達10人の年収の平均だ」という説があります。 親しい人とい …

”想い”を形にする

ゆりかもめに揺られてお台場をながめるとき、 いつも、いつも、心によぎる思いがあり …

Pay it forward〜恩送り〜

今まで生きて来て、お世話になったなぁと思える人は、 何人ぐらいいるでしょう? そ …