生きるって、信じることなんだ。
何年くらい前のことでしょうか。
世界の舞台で活躍した、某有名シンガーとお話をする機会があり、
心から尊敬の念を伝えました。
私が夢に見ることしかできない景色を、
実際に自分の目で見、全身で感じた人、
羨ましいという感覚さえ麻痺するほどの、
遠い遠い夢を叶えたその人です。
おそらく、数えきれない人たちから、
同じような賞賛のことばを受け取ってきたに違いないその人は、
恐ろしくクールに、こう言いました。
「みんなそう言ってくれるけど
俺にとってはもう終わったことなんだよね。
ひとつの通過点というか。
あれが自分の人生のピークだったとは思いたくないんだ。」
「経歴」という言葉に思いをはせる時、
いつも心によぎるのは、
登山道の途中に置かれていた積み石のイメージです。
道を歩いた証がひとつ、
またひとつと積み上げられていく積み石。
やがて、その積み上げられた石は、
後を歩く人たちの道しるべになるかもしれない。
先を行く人たちへの、
羨望や憧れのシンボルとなるかもしれない。
しかし、通り過ぎていく人たちにとっては、
そこは、ただの通過点。
立ち止まることもないし、
記憶に残る特別な場所ですらないかもしれない。
ただ石を積んで、通り過ぎただけ。
人生の通過点に過大な意味づけは、たぶんいらない。
後から来る人たちが勝手に評価するだけ。
自分のペースで、
自分の信じる道を、
一歩。また一歩。
ちっぽけな足跡をひとつ、
ちっぽけな石のかけらをひとつ、
残しながら。
飽きることなく。
腐ることなく。
ただ、淡々と。
登り続けるしかない。
きっとね。
生きるって、
信じることなんだ。
まだまだ行こう。
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