「私はドジでのろまなカメです」
「私はドジでのろまなカメです」
これは、『スチュワーデス物語』という、
めちゃくちゃ昭和なテレビドラマの中で、主人公が使う決めぜりふでした。
「そもそも、自分のことを”ドジでのろまなカメ”呼ばわりしているから、
ドジでのろまな自分なのよね。。。」
そう気づいたのは、ずいぶんおとなになってから。
私自身、口に出してこそ言わないけど、
「どうせ私は・・・」の塊みたいな人間でした。
いや、こういうと完全に過去形に聞こえるので、
かっこ悪いのを承知で勇気を出して訂正しておくと、
今でも、ちょっと気を許すと、すぐに「どうせ私は・・・」モードが入ります。
仕事がうまくいかないのも、いじめられるのも、認められないのも、
ぜ〜〜んぶ自分が「ブサイクで頭が悪くて垢抜けない」から。
何をやっても今ひとつ突き抜けないのは、
ど〜せ私が「アクが強くて中途半端で平凡だ」から。
この、「ど〜せ私は・・・」は自虐的なことばでありながら、
悲劇の主人公の決めぜりふさながらの、自己憐憫の甘美な香りがします。
あぁ、仕方がないのよ。どうせ私は・・・
いえいえ、無理なのよ。だって私は・・・
結局、そうして自分を貶めて、必要以上に卑下することが、
何をやってもうまく行かない免罪符になったり、
努力をやめてしまう言い訳になったり、
しまいには、
「そんな可哀想な自分に、無理難題を振りかける世間って酷すぎる!」と、
逆恨みの材料になったり。
だから、いつまでたっても「ドジでのろまなカメ」なのに・・・
そんなカメぶりに酔っているのは、ホントにダサい。
ってか、そもそも、カメで何が悪いんでしょう?
人にはそれぞれの成長のスピードがあります。
誰よりも苦手なことがあれば、必ず誰よりも優れていることがある。
地球上の動物で、時速100㎞超という、最速で走るチーターの寿命は12年程度。
「ドジでのろま」よばわりされるカメは、30年〜40年生きるものもざらで、
中には100年以上生きものさえいる。
長寿に価値を見出せば、
「生命力のひ弱な」チーターはけして人気者とは言えないはずです。
他人の土壌で、他人のルールで、ゲームをするから勝てないのなら、
どうやったら自分のルールでゲームができるのかを、
本当に頭の皮が痛くなるほど、考えるしかないんです。
手当たり次第、とにかく当たって砕けろとばかり、
やれることを精一杯やってみるしかありません。
そうやって、時には、自分を「可哀想」呼ばわりしながらも、
自分がもっとも生きやすい場所を、
自分の能力を遺憾なく発揮できるゲームを、探す。
「伝説のチーター」として早世するよりも、
「最強のカメ」として現役を守り続ける。
そんな風に戦うカメであり続けるのも、いいかもしれません。
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