自分の「イケてるところ」に視線を集める。
「しっかし、綺麗な顔してるわよね〜。
マジでどっこもいじってないの?」
「だからぁ、どこもいじってませんよ。
正真正銘、生まれつき、こういう顔なんですよぉ。」
「あ〜あ。神様は絶対不公平に人間つくるわよね〜。
そんな顔に生まれてたら、絶対絶対、違う人生歩んでるわよね〜。
完璧だもんね〜。その顔といい,スタイルといい。
あ〜、なんか、むかつく。。。」
人気女性雑誌のカリスマモデル、
Yちゃんのヴォイトレを担当していたとき、
ストレッチしながら、毎回お約束のように交わされた会話です。
「いやぁ。もちろん、私も恵まれてるなって思うところもありますけどね、
ホントはコンプレックスだらけなんですよ。
足とお尻がものすごくしっかりしてるから、バランスが悪くって、
着られない服とか結構あるんですよ〜。
モデルって、誰でもみんな、
すっごいコンプレックスあるんですから。」
そんな風に言うYちゃん。
まぁ、お約束なんで、私は毎回、
「ふん。そういう高次元なコンプレックス、
ただの贅沢か自慢話にしか聞こえないけどね〜。」
と交わしていたわけですが。。。
コンプレックスって、
何かに真剣に取り組めば取り組むほど、
どんどん浮き彫りにされ、自分に突きつけられるもの。
モデルさんのように、完璧に近いルックスの人たちでも、
仕事に一所懸命になったり、
ライバルたちとの争いが熾烈になったりするほどに、
どんどん、自分のイケてないところが見えてきて、
コンプレックスにうちひしがれそうになる。
ヴォーカリストだってそう。
自分の歌を追求しようと必死になるほどに、
ダメなところがいっぱい、いっぱい見えてきて、
変えられない弱点のようなものが浮き彫りになってきて、
もう、やめた方がマシ、死んだ方がマシ、
とまで思い詰める。
しかしです。
Yちゃんは言います。
「だから、ちゃんといろいろ計算して、
そういうところに、目が行かないように、
自信のあるところに視線があつまるように、
工夫をしているんですよ。」
もちろん、コンプレックスは、ふたをして、
見ないようにしているだけじゃ、消せません。
向き合うことも、ある程度は大切です。
けど、コンプレックスと向かい合って、
格闘している間に、
一番大切な、自分の売り、長所のようなものを見失ってしまったり、
なくしてしまったりするのでは本末転倒です。
コンプレックスと向き合うのは、
あくまでも、自分の「売り」、
「長所」をより素敵に見せるためであって、
コンプレックスと心中するためじゃありません。
まずは、自分の「イケてるところ」に視線を集める。
いかにそこを生かすかを考える。
コンプレックスと向き合うのは、それからです。
関連記事
-
-
今さら知りたい?「いたずら電話撃退法」
“Hello, Maria?”(ハロー、マリア?) ひと …
-
-
91センチの挫折
自己啓発書の普及の名作といわれる『思考は現実化する』には、 金が採れるといわれる …
-
-
「クリエイトすること」そのものに愛情を持てるか。
最近、わけあって、 Youtubeをあれこれサーフィンする機会が増えました。 今 …
-
-
死ぬほどしんどくなるくらい、やりたいこと。
音楽の道って、なんて苦しいんだろうって、 思っている人、たくさんいますよね? 歌 …
-
-
逆境に感謝を。逆境に陥れようとする「そいつ」にはリベンジを。
「絶対に、あいつの方が、オレより可愛がられてる。」 「なんで、あの子ばっかりチヤ …
-
-
「ペンは剣よりも強し」は、死語なのか?
ヴォイトレを担当している若者たちと話していて、 なにが驚くと言って、 物を書く習 …
-
-
バイブレーション
人は同調し合うもの。 長いこと一緒にいると、しぐさや話し方、果ては声まで似てくる …
-
-
「音楽はひとりではできない」の本当の意味
サポート・コーラスのお仕事で日本全国をツアーしていた頃。 ツアー先の地方の会館に …
-
-
自分の中心を確認する
やらなくちゃいけないことが多すぎる。 会わなくちゃいけない人が多すぎる。 忙し過 …
-
-
音楽を「職業」にしないという選択
若い頃から音楽を志して、寝る間も惜しんで練習や創作、 ライブ活動に打ち込んで来た …

