大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「弾き語り」は自分の存在感をアピールできる、 最高にクールな飛び道具だ!

      2015/10/31

カナダはトロントの郊外の、とあるエージェント宅に居候していた時のことです。

週末になると内外のミュージシャンたちが集う、その家の裏庭には、
たき火ができるスペースがありました。
 

家主のマイケルが日本で覚えてきた乾杯の流儀をゲストたちに説明しながら、
日本酒を鉄のポットに入れ、たき火でぐらぐらに煮立たせたものを
たき火を囲むそれぞれの人たちが捧げ持った小さな杯に注ぎます。
 

やがて、指名された誰かが乾杯のスピーチを終えたところで、
「それでは・・・」というマイケルのかけ声で、全員が大きな声で
「ハイッ!」と唱和したかと思うと、杯を飲み干す。
 

なんか違うなぁと思いながら苦笑する私に、
マイケルはウィンクしながら、
「日本酒を飲むときは、日本流にやらなくちゃね、MISUMI」と言ったものです。
 

さて、宴もたけなわ、
それぞれが思い思いのものを飲んだり、燻らせたりするうちに、
やがて、その中の一人、ジェフがおもむろに、
さりげなく置かれたギターに手を伸ばします。
 

もちろん、裏庭にギターが「さりげなく」あるわけはないのですが、
これはマイケルの粋な演出のひとつ。
 

たき火の炎を見ながら、みんなの会話が弾む中、
ジェフはギターを不思議なチューニングにしたかと思うと、
いきなり、ギターを奏でながら、とんでもなくいい声で歌いはじめるのです。
 

初めて聞いたときのショックと感動は、とても文字では書けません。
 

心地よいギターの音色とグルーブ、
そして、たまらなくセクシーで深い味わいのある声に、
完全にノックアウトされました。
 

後にカナダでスーパースターになる
The Tea partyのジェフ・マーティンとの出会いでした。

 

さて、いきなり、今日のテーマです。
 

普通の女子なら、ここでジェフ・マーティンの虜になってしまうのでしょうが、
私はもちろん違っていました。
 

心の中で叫んだことばは・・・
 

「わ。弾き語りって、飛び道具〜〜っ!!」
 

そう。弾き語りというもののパワーに、激しい感銘を受けたのです。
 

だってね。どんなにマイケルが小洒落た演出をしたとしても、
裏庭に「さりげなく」ピアノを置くことはできません。
 

どれだけ歌がうまくたって、
「みなさん、手拍子よろしくね」じゃ、そもそもロックじゃないし、
 

どんだけ「さりげなく」歌い出しても、
いきなりアカペラで、ひとり、歌いだしたら、なんだかちょっぴりイタい。
(ただしコーラスは別ですけどね)
 

「弾き語り」は、いつでもどこでもさりげなく自分の存在感をアピールできる、
最高にクールな飛び道具なんだ!!
 

実に衝撃的な気づきでした。

 

海外に一人で暮らしながら、
自分の歌をアピールするチャンスを狙っていた私にとって、
最もネックだったのは、歌を披露するチャンスが非常に限られていたことです。
 

デモテープを渡して聞いてもらうか、
聴いて欲しい人に、カラオケを流して歌える場所に来てもらうか、
限られた、ピアノがある場所で、超絶稚拙なピアノ伴奏で歌を聴いてもらうか・・・
 

いずれも、条件がそろわなければ無理。
 

一方で、「弾き語り」なら、
 
ギターはそれほど上手じゃなくても、
歌がカッコよければ、感動してもらえるし、
 
反対にギターがカッコよければ、歌はそこそこでも、それなりに感動してもらえます。
 
モテにも最高のツールです!!(^^)
 

“F”で挫折していたあなた。
ギターでモテたいあなた。
もう一度、トライしてみてはいかがでしょうか〜?
 

今日はのんびりだったので、ゆるめのブログになってしまいました。
悪しからず!

 

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