大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

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「腐ったリンゴ」を手に入れる/『腐ったリンゴ』

      2022/12/25

こんな人と付き合った方が得じゃないか?

もっと、こんな音楽をやった方がいいんじゃないか?

あの事務所に入れたら、いいことあるんじゃないか・・・?

プロを目差している時代や、駆け出しの時代は、
とにかく、ガツガツと仕事や人脈ほしさに行動してしまいがちです。

しかし、「欲」が行動基準になると、判断を誤ります。

一緒にいるべきでない人と、我慢に我慢を重ねて時間や若さを無駄にし、
欲しくもないものに取り囲まれて、作り笑いを浮かべ、
やがて、「こんなはずじゃなかった未来」にがんじがらめになります。

では、どうしたらいいか?
今日は、そんな風に悩む人の、ヒントになったらいいな、と思って書いています。

 

アンデルセンの『腐ったリンゴ』という童話を知っていますか?

家畜の馬を有益なものに代えようと市場に出かけた男が、
その道中で、馬を牛、牛を羊、羊をガチョウ・・・というように、
次々と、取り替えて、最後には袋いっぱいの腐ったリンゴを持ち帰る、という話。

物語のラストは、「そんな腐ったリンゴを持ち帰っても奥さんが大喜びしたら、
樽いっぱいの金貨をやる」という大金持ちの男との賭に勝って、
結局、金貨を樽いっぱい手にすることになります。

この話を読んで、非常に興味深かったのは、
男が目先の金銭に惑わされず、自分のインスピレーションに従い、
欲しいものに手を伸ばし、それを次々と手に入れていくところ。

端から見ると、彼はビジネスチャンスを失っている。
または価値あるものをより無価値なものに、次々と代えている。

しかし、彼は欲しいものを手に入れるプロセスを楽しみ、
より理想的な未来を思い描きながら、進んでゆきます。
やがて、その、ポジティブな未来像が、
本当に価値あるものをもたらすことになるのです。

この物語の教訓を、冒頭の例と照らしあわせてみてみましょう。

 

1. 自分自身の価値基準を見失わないこと。

他人の基準を自分の基準にしてはいけない。
ものの値段は絶対的な価値ではないはずです。

物語の最後で金貨をもらうことになるわけですが、
これは、おそらく、あくまでも、読者目線での、わかりやすいご褒美。
男にとって、どのくらい価値あるものと感じられたかはなぞですね。

損得ではなく、好き嫌いを基準にすることが、
やがては、自分の利益になるということなのでしょう。

 

2. インスピレーションに従うこと。

これが欲しい。
これが好き。
ここに行きたい。

そんなインスピレーションに従うと、必ず、面白いことが起こります。

インスピレーションはサインなのです。

忠実に従っていくと、思いもかけない方向に道が開けたりするものです。

頭で考えるのではなく、心に従う。

時に、難しことですが、本当に大切なことでもあります。

 

3. ポジティブな未来を描くこと。

「どうせうまくいかない・・・」

ネガティブに物事を考えると、行動にブレーキがかかます。

やらないで後悔するくらいなら、思いきり、楽しんで行動する方が、
何倍も人生は楽しい。

最高を望み、最善を尽くす。

明るい未来を引き寄せるのは、ポジティブな思考です。

 

昔話や童話には、さまざまな人生のヒントが隠されています。
こどもの頃聴いた、たくさんの話の中で、
心に残っている単語やイメージは、
なにかしら、自分の人生に影響を与えているもの。

時に読み返すのも、面白いものですね。

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