「お前は一体、どんな行動をして、今の状況を気に入らないと言っているんだ?」
2015/05/24
週末なので、インサイドストーリー的お話を。
生まれて初めての音楽の仕事は、音楽学校の同級生に頼まれました。
小さな、グラビアアイドルのライブのコーラスのお仕事でしたが、
音楽でお金をいただいた最初の仕事です。
次のお仕事は、初めてのツアーサポートの仕事になりました。
同じく、音楽学校の同級生に、トラを頼まれたことがきっかけでした。
トラ、つまり代役で、1回だけのつもりで参加したお仕事だったにもかかわらず、
トラを頼んできた彼女の現場での態度などに問題があるという理由から、
私がトラで出演したその日に、彼女のクビが決定し、
私がレギュラーに抜擢された形になりました。
ハッキリ言っておきますが、私がその仕事をすることになったのは、
「うまかったから」でも「可愛かったから」でも絶対ありません。
単に私が、「そこにいたから」なのです。
「そこにいた」のは、
彼女たちのいた音楽学校に、私も在籍したことがあったから。
まだ音楽学校が珍しかった時代。
当時、できたばかりだったその学校には、即戦力になる優秀な生徒や、
勢いのある先生方がたくさんいました。
エネルギーのあるところに仕事は集まります。
当時の仲間でミュージシャンとなった人は、本当に多かったように記憶しています。
ボーカルを習うために、その音楽学校に入ったのは大学4年のとき。
それまでは、あちこちの大学のバンドに招かれては、学祭を歌い歩いていました。
そこそこ実力のある人もいた。
盛り上がっているサークルもありました。
でも、学生のサークル活動には自分の出口はない。
苦し紛れに、大学をやめて渡米することも考えたりしました。
そんなとき、
「お前は一体、どんな行動をして、今の状況を気に入らないと言っているんだ?」
という父のことばがありました。
「行動とは、能動的に、自分の意志で選び取って、カラダを動かすこと」。
行きたかった大学に通っていたわけでも、
入りたかったバンドやサークルで演奏していたわけでもない。
元々ギターリスト志望だった私にとっては、歌さえ、第2、第3希望の夢でした。
なにひとつ自分で行動していないくせに、
今の状況だけは気に入らないという。
それで、軽い鬱になって、登校拒否になって、
学校をやめて、海外に行きたいなどという。
卑怯者の逃避行動以外のなにものでもありません。
そう気がついた私は、大学4年の1年間を
「能動的に、主体的に、自分の頭を使って行動する1年」と銘打ち、
やりたいことには片っ端から挑戦する、という決意をかためました。
大学4年にして、突然、美術系のサークルに入り、
18段変速の自転車を購入して、輪行仕様に改造し、
その自転車を背負って、友人と小笠原諸島を旅しました。
卒業の単位も危ないのに、謝恩会の幹事に立候補し、
大学のゼミで男ばかり10人のチームと1週間にもおよぶ社会調査旅行をし、
テレビを題材に卒論を書きました。
そして、他大学の音楽サークル関連の付き合いを一切断ち、
土日返上のバイトで稼いだお金で、
その音楽学校のボーカル科に入ったのです。
やっていることはすべてめちゃくちゃです。
大学4年生のやることではありません。
でも、自分の中では、すごく筋が通っていました。
すべて、自分の意志で選び取った行動です。
何が起きても絶対に後悔しない、
人のせいにしない、
というコミットメントもありました。
毎日を、ワクワク、ドキドキ、
人と関わって、たくさん学んで、たくさん傷ついて、
必死に振り切って生きていました。
結局は、この思い切った行動が、
音楽学校での出会いのみならず、
その後の人生を大きく変える、さまざまな出会いをくれることになります。
運命を切り開くのはポジティブな意志に基づく行動だけ。
今でも、信じて疑わない、私のモットーです。
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