「なんか好きじゃない曲」を歌わなくちゃいけない時のヒント
バンドをやってると、
「なんか好きじゃないな」という曲を
歌わなくちゃいけない時というのが、
少なからずあります。
いや、バンドだけじゃない。
ソロアーティストだって、
「プロデューサーに歌えって言われたんですけど、
こういうのやりたくて歌手になりたいわけじゃないのに」
みたいなこともあれば、
「大作曲家にお願いした曲が気に入らないって言えなくて」
みたいなことだって、いや、普通にあります。
そうそう、誰かのお祝いやパーティーで、
全然趣味じゃない曲をリクエストされて歌わなくちゃいけないとかなんて、非常にありがちです。
そんな時、鉄の信念を持ってる人や、
頑として自分のスタイルを崩さない人なら、
空気が悪くなろうが、顰蹙買おうが、
なんなら事務所をクビになろうが、
「嫌と言ったら嫌なんで」を貫くのでしょうが、
まぁ、なかなかそういうわけにもいかず、
家に帰って、曲を聴きながら、
「こんなの人前で歌うの、嫌だよなぁ」と、
悶々とするわけです。
こんな時、一番やっちゃいけないのが、
悶々とした感じを引きずりながら人前で歌うこと。
これはもう、お客さんにも、音楽の神様にも失礼極まりない。
まして「これは○○さんのリクエストで、
上手く歌えるかわかりませんが、とりあえず歌います」
なんていう、余計なMCをするなんて(結構いがちですが)言語道断です。
こんな時やるべきことは2つ。
ひとつは、歌いたくなるくふうをすること。
もうひとつは、
「この曲、歌いたくてたまらないぞ」と、
自分で自分を騙すこと。
歌いたくない歌には、必ず歌いたくない理由があるはずです。
ちなみに、私は、ちょっと古くさい、
下世話なサウンドが(弊社比)大の苦手で、
イントロがはじまった瞬間、
小っ恥ずかしくて逃げ出したくなります。
あと、いわゆる歌謡曲っぽい歌は、本当に苦手です。
そんな歌を歌わなければいけなくなってしまったら、
まず、自分はその曲のどこが無理なのかを
徹底的に探って、可能な限りそこを排除します。
例えば、バンドの人にお願いして、
コード進行を変えてもらうとか、
フレーズをちょっと変えて弾いてもらうとか。
歌謡曲的な歌なら、歌詞を全部英語に書き直して、
ちょっとR&B風な味付けで歌ってみるとか。
カバーバージョンを聞きまくって、
なんとか自分にしっくりくるアレンジや
歌唱スタイルのお手本をみつけてみるとか。
まぁ、そんな、あの手この手を試みても、
メンバーに、
「わかってないね」とか、
「ここ変えたらやる意味がない」などと取り合ってもらえないこともあるし、
「日本情緒が大事なんでしょ!」と、
オリジナル通り歌うことを要求されることもあります。
好きじゃない歌というのは、そもそも、
どこがいいのかわからないから、
自分がちゃんと歌えているか否かという判断基準もないわけで、
実際、人前で歌うのは、めちゃくちゃ恐いものです。
しかし、歌うからには、
とにかく、好きなところを、1箇所でも多く探す。
この5行目の歌詞は、そう言われれば悪くない、とか、
このフレーズを歌うときの自分の声がいいね、とか、
サビで盛り上がるみんなの顔が目に浮かぶとか、
オリジナルアーティストがいるなら、
YouTubeなどでお客さんが喜んでいる姿を見るとか、
そうやって、女優よろしく、
自分があたかもその曲を好きで
歌いたくってたまらない、という気分を演出するのです。
シンガーというものは、
多かれ少なかれ役者のようなところがあって、
自己暗示がうまいもの。
実はそうやって歌ってみたら、
意外なほど自分にハマって、
「あれ、なんだいい曲じゃん」となった曲もあったりします。
「好きじゃない曲」をやっている心当たりのある人は、
ぜひ試してみてください!

■無料メルマガ『声出していこうっ』。プライベートなお話からマニアックなお話まで、ポップな感じで綴っていきます!(ほぼ)毎週月曜発行!バックナンバーも読めますよ。
関連記事
-
-
ロックは毛穴で聴くんである。
誤解なきように言っておくと、 私自身はそれほどラウドな音楽が 好きだというわけで …
-
-
戦略的に自分というブランドを作る
この数年、ビジネスというアウェイなフィールドでたくさんの方に出会ったり、 いろい …
-
-
上澄みをすくい取って「わかった気」にならない。~Singer’s Tips#21~
ちょっと昨日のブログの続編的なお話です。 ひとつの曲が生まれて、 受け手の手元に …
-
-
無限の可能性の中から選び取る、 たった一つの音。
レコーディングなどで自分の声と向き合うと、 声というものの表現の無限の可能性に、 …
-
-
「自分のことば」になってない歌詞は歌えない!
役者さんがしばしばつかうことばに「セリフを入れる」というのがあります。 この「入 …
-
-
「生徒に誉められよう」という想いで歌わない。
ヴォイストレーナーという仕事をはじめた時から、 常に自分に言いきかせていることは …
-
-
歌の才能。
はじめてトレーナーのお仕事をしてから、 かれこれ20年。 下は小学生から、上は7 …
-
-
「同じに出す」が一番難しい。
同じ音を連続して弾くとき、 ピアノという楽器の完成度の高さを、 しみじみと感じて …
-
-
「ライブ直前って、何します?」
「ライブの前って何食べますか?」 「お酒飲みますか?」 「やっぱり結構声って出し …
-
-
外しちゃいけないフレーズがあるから「ポップ」なんだ。
10年ほど前のこと。 英語教材のレコーディングで、 外国人のシンガーたちの通訳件 …
- PREV
- MCって、どうしたらいいの?
- NEXT
- ヴォーカリストだって、もっと「音色」にこだわる!
