タイムプレッシャーを逆手に取る
2016/06/08
「どんなときに名曲が生まれるんですか?」
というインタビューに、
坂本龍一は、「締め切りの前日」と答えたそうです。
火事場の馬鹿力ではないけれど、
人は崖っぷちに立たされると馬鹿力を発揮するもの。
「これが当たらなかったら引退」と思っていた曲が売れに売れて、
一躍スターになった、という話もよく聞きます。
なんでもうちょっと早く、がんばれないかね〜。。
期末試験の前夜におもむろに教科書を広げて、朝まで詰め込み勉強した頃から、
いや、小学校の宿題の絵日記を、8月31日に猛烈な勢いででっち上げていた頃から、
締め切りプレッシャーで力を発揮するクセは、なかなか直りません。
これは、脳科学的にきちんと理由を証明できるようですが、
その辺は専門家の方々の本を読んでもらうとして・・・
(私は茂木健一郎さんファンでもあります)
せっかくできあがった作品なのに、
ろくにチェックする間もなく、プレスに出さなくちゃいけなかったり、
肝心のイベントの当日に、
疲れ切って、思いきりエンジョイできなかったり・・・
そんな崖っぷちのもう少し手前から、力をぐいぐい出していく方法はないものか。
たとえば、締め切りを1週間早いのだと思い込むのはどうか。。。
スタジオ仕事を次々とやっていた時代、
いつも中途半端な、「5分遅刻の女王」だった私。
遅刻しないよう、時計を進めてみたり、
手帳に早めに時間を書き込んでみたりしたものの、
心の中の「この時計は15分進んでるからね」が消せない以上、
そんな方法は、なんの効果もありません。
カレンダーに書き込んだ締め切りを眺めながら、
結局、実際は、+1週間のスケジュールで動くことになるのです。
さて、では、もっと早く自分にエンジンをかけて、
余裕を持って締め切りを迎える方法はないのか・・・?
とある英詞の作詞のお仕事を受けた時のことです。
スタジオに、コンサートサポートに、自分のライブにと、
びっちりスケジュールが詰まっていた時期で、
しかも先方にもらった締め切りは、相当タイト。
もちろん、無理すればできない仕事ではないけど・・・、
そこで思い切って、先方に、
「締め切り、もう1日余裕をください」と申し出たところ、
何度かお仕事させていただいてたクライアントだったせいもあって、
すんなり、私の締め切りを先方が飲んでくれたのです。
すると、どうでしょう。
その1日の余裕のおかげで、精神的にすごくリラックスできて、
なんと、約束の期日の2日も前に歌詞ができあがってしまったのです。
しかも、作品は、なかなかにいいできでした。
もちろん、先方は大喜び。
私は「締め切りの2日前に仕事を上げる女」として、ちょっと株が上がりました。
実際は、当初の締め切りの1日前に仕上げたに過ぎないのに、です。
すっかり気をよくした私。
以来、めっぽう締め切りや待ち合わせに強くなりました。
「タイムプレッシャーを逆手に取る」。
ポイントは3つです。
1.自分の締め切りは自分で決める。
誰かが決めたタイムスケジュールに追われているから、ギリギリまでできない。
自分で締め切りを設定し、先方にオファーする。
もちろん、ある程度の信頼関係がないと、できないので注意。
2. 締め切りにはいつも余裕を持たせる。
「このくらいの時間があればできる」と思う作業時間に、
1〜2日程度のバッファーを乗せる。
ただし、その際、「余裕」とは、ゆったり作業時間に使う時間であって、
着手しない時間は「余裕」にはならないので注意。
3.締め切りより早めに作業を終えて「ご褒美」をゲットする。
人に誉めてもらうのも、十分なご褒美。
作業に当てる予定だった1日を休日に設定して遊びに行ったり、
待ち合わせの時間より1時間早くついたら、ひとりで美味しいランチをしたりも。
いかがでしょう?
あくまでも、あまのじゃくな私だから効くのかもしれませんが、
締め切りに追われている人は、一度試して見てくださいね!
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