ヴォーカリスト必読!マイクとモニターの超絶役に立つお話!!!〜後編〜
たくさんの反響をいただいた昨夜のブログ、
『ヴォーカリスト必読!マイクとモニターの超絶役に立つお話!!!』の続編です。
ここまでは、モニターが聞こえてこない原因や、
マイクの指向性、そして種類などについてのお話でした。
次に岡田さんはライブハウスの音響経費について言及されています。
「ボーカリストであれば最高の音質でライブがしたいと願うでしょう。しかし現実はそう簡単ではありません。では一体、何が難しくしているか?
それは機器のグレードとかテクニックではなく、ライブの「運営経費」。
予算があれば性能の良い機器が使えます。会場も長く使えるのでリハーサルに時間を掛けられます。機器を調整するエンジニアも余裕で準備出来ます。私のような熟練エンジニアを呼べる・・ ナンチャッテ (*´∇`*)ゞ・+:.
ライブハウスは儲かっているようで実はギリギリです。
経営者が音や照明のプロではないので、そこそこ恥ずかしくない機器で揃えようと考えます。そこに問題があるのです。
そこそこ使える機器って・・ そこそこ音が出るだけなんです。つまり無理が利かない余裕もなし。ですからアコースティック・ライブなら大丈夫・・的レベルと思ってください。
※著名ライブハウスは違います!
結局は金か〜〜・・と嘆かないでください。安心してください! 解決する「テクニック」があります。」
さて、ここからは会場と音響の関係です。
「マイクとPAシステムの関係で大きく作用するのが「場の空間面積」。
広い会場で難しいのは客席向けの音響システムであって、舞台上は広く自由度も高い。
大きな音のドラムやエレキギターも数m離れれば邪魔になりません。逆にドラム等はマイクで拾わないと駄目な程、小さな音の部類になります。」
ホールなどでお仕事をしたことのある人なら、わかると思います。
ホールとライブハウスでは音響条件が全然違うんですね。
「では逆にライブハウスのように狭いとどうなるか?
狭いと周りの楽器音も大きく感じてしまい自分の声が邪魔されます。<要因:自分>の割合が逆になってしまう場合もあります。
皆で楽しみにしていたライブなのにドラマーやギターさんに「すみません・・小さい音で演奏してください・・」と頭を下げなければなりません。
実は、プロ歌手のライブの場合、既に最初からこのスタンスで始まっています。
自分を呼んでくれた事務所(歌手)の邪魔にならない演奏を心掛ける・・ これがプロの大前提。
ですからアマチュアライブは更に更に劣悪な環境に至るのです。・・・」
さぁ、ここからが本稿の最重要ポイントですよ!!!
必見!必見!ひっけんんんん〜〜〜!!!!
「口元とマイクの距離は「5cm」と申しました。では10cmになったらどの位音量が下がるのか? 数値では約ー6dB。そう1/4に下がります。逆に2,5cmに近づけたらどうなるか? 数値では+6dB。何と4倍にアップします。ミキサーのフェーダー目盛りで換算すれば12dB上げたのと同じ音量になってしまうのです。
★大切なポイント・・ φ(。_。*)メモメモ…
マイクを使う際は、口元との距離を2,5cmから10cmと変化させると、ミキサーさんがフェーダーで24dBも上下させているのと同じ数値だけ変化していると考えてください。これって凄い事と思いません?
歌いながら自分で声の音量を調節で出来るんです!
ミキサーさんにお願いしなくてもオーケーになります。
最初に「5cm」の音量を基準に合わせれば、自分の声がもう少し大きくしたいと思ったら・・マイクを近づければ済みます。
相手の声や楽器が聴きたいと思ったら・・少しマイクを離せば解決します。こうなるとミキサーさんも安心して音創りやバランス調整に集中出来ます。
ミキサーさんに余裕が出来るとライブ全体の音創りも完璧になります。
その為に、ボーカリストは口元とマイクの距離を調節する事で、モニターやハウスに対して「一定の音量を保つ訓練」を行ってください。
これによりミキサーのレベルも自然と固定されます。
コーラスやバンドとのバランスはどうするのか?という疑問を抱くと思いますが、そこがプロとしての資質が問われる部分でしょう。
ミキサーさんがバランスを整えるのではなく、アーティスト側が皆と話し合ってバランスを整えることが最も大切なんです。マイクが良い悪いではなく、ミキサーさんのスキルでもありません。」
つまり、「聞こえないわよ」と文句を言う前に、
自分自身のマイキングのテクニックを見直せ、
バンドとのアンサンブルを考えろ、ということ。
音響さんは、私たちの演奏をグレードアップしてくれるものであって、
あかんアンサンブルや演奏の底上げをしてくれるものと考えてはダメなのです。
「先日担当した「ゴスペルコンサート」は、ワイアレス・ボーカルマイクを10本使いました。リハーサルで各マイクの音量は合わせましたが、その後、一切フェーダーには触っていません。クワイア側が自分達で音楽バランスを整えながら歌ってくれました。ソロの楽曲もフェーダー操作はほんの僅かで済みました。コンサートの一ヶ月前に口元とマイクの距離に関する研修会を行いました。そこで「目からウロコの作用」を習得していただきました。」
マイク使いのテクニックは、実は非常にシンプルです。
一度カラダにたたき込めば、一生忘れません。
音響さんとよいお付き合いができるヴォーカリストを目指して!
「是非、皆さんも覚えてください!」
は〜〜い。岡田さん!
ためになる長文、本当に、本当にありがとうございました〜〜〜!!!
*岡田辰夫さんのブログ。最近は車のお話が多いそうです(^^)
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Comment
私は、ビッグバンドを背に歌っています、
会場の音響は信頼できるPAさんにお任せ。
モニターを気にした事は今までないですね・・実は・自分の高い声は問題ないのですが、低い声を出す時の音程を確実にしたい為、いつも左の耳に耳栓をして歌っています、会場内でどう聞こえているのかは全てPAさんにお任せです。
とても勉強になりました。有難うございます。これからはこれを参考に練習に励みます。
>佐々木孝子さん
ありがとうございます!
>井上恭男さん
音楽によって状況は全然違います。信頼できるエンジニアさんにおまかせするのが一番ですね。
いつもウンウン、そういう手があるのかと、プロの方のスキルを楽しくはいけんしています。
近々、年一回の発表会がありますが、バンドの音量にどう、対処すべきか、と考えていました。
good timing のマイクの使い方、大きな声より、響く声のお話、とても参考になりました。
>Nomura NANIさん
コメントありがとうございます。お役に立てて幸いです。発表会がんばってくださいね!