大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

10回のリハより1回の本番

      2024/05/22

「10回のリハより1回の本番」
ミュージシャンたちが、異口同音に言うことばです。

高校の文化祭で生まれてはじめて人前で歌ったあの日から、のべ1000回以上、小は教室の片隅から、大は横浜スタジオアムまで、サポートのお仕事で、バンドで、イベントで、ありとあらゆるステージに立ってきました。
最早、老兵の領域です。

それでもいまだに、本番は、いつだって死ぬほど怖い。
怖いからめちゃくちゃ準備します。
練習したり、リハしたり、イメトレしたり、いろんなことを確認したり。。。

ところが、やっぱり歌詞は飛ぶ。
構成は間違えるし、ギターのコードなんか、きれいさっぱり忘れることすらあって、
悔しい思いをしたことは数知れず。

それがね、1回本番やると、どんだけがんばっても、覚えられなかったことが、すっとカラダに入ります。

スポットライトのど真ん中に立つときの崖っぷち感が、瞬間瞬間を記憶に強烈に刻むのか。
はたまた、1発目でやらかし倒すから、肩の力が抜けて、本当の意味での集中力を発揮できるようになるからか。
ずっとできなかったことが、本番でいきなり出来るようになったりします。

本番のマジックは、もうホントにすごいんです。

だから、2回目にライブをやるときは、精度がぐっとあがります。
「ツアーは2日目からだよね」なんて言ったりもします。

とはいえ、「2回目」なんか、いつもあるとは限らないし、ツアーの機会だって滅多にない。
何ヶ月も間が空いちゃえば、最早また初日。

「ツアー2日目感」の精度をいかに、初日から出せるか。

一生の課題です。マジで。

写真は先日のKIMICOKOのライブから。photo by Lindaゆうこ

 - Live! Live! Live!, The プロフェッショナル

  関連記事

出音=声にこだわるべ〜し!

出た瞬間の「音」が勝負。 いろいろなところで、そう書いてきました。 一流は「音」 …

「いつものあれ」でお願いしますっ!

ずいぶん前のこと。 たまたまつけたテレビに、 ホイットニー・ヒューストンが出てい …

確信だけが、人の心を動かす。

「MISUMIさん、バッチっす!OKです!」 レコーディングのお仕事では、 歌っ …

「曲が降ってくる時」?

世の中にはたくさんの優れた作品を残しているアーティストがいます。   …

「自分の名前」と、今一度向き合う。

作詞者は曲のタイトルを。 編集者は、本のタイトルを。 起業家は会社名を。 そして …

「これ、誰がOK出したの?」

仕事柄、たくさんのアーティストや、その卵たちから、 自主制作音源や、インディーズ …

カッコよければなんだっていいじゃん。

歌を指導する立場にいながら、 口が酸っぱくなるほど言い続けていること。 「カッコ …

リズムが悪いんじゃない。カツゼツが悪いんだ。

昨夜、ヒップホップグループN.W.Aの伝記的映画、 “Straigh …

ボイトレ七つ道具、公開(^^)

最近、講演やセミナーをするときだけでなく、通常のボイトレをするときにも、 声のし …

まずはライブハウスを押さえろ。話はそれからだ。

「いつか、ライブできたらいいなって思って」 レッスンでこんなことばを聞くと、反射 …