大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

ロックは毛穴で聴くんである。

      2020/05/19

誤解なきように言っておくと、
私自身はそれほどラウドな音楽が
好きだというわけではありません。

まぁ、
ラウド(音がでかい)か、そうじゃないか、と言うのは、
あくまでも主観の問題なので、
大きな音が苦手な方にとっては、
私は十分「でかい音好き」に思えるでしょうが、
少なくとも、自分の中では、そう思っています。

しかしです。

なんかね。
妙に「でかい音」が恋しい。

歌詞カードの整理なんかをしているものだから、
いろんなライブで浴びた爆音が、
脳内フィードバックしているのかもしれません。

我が家には防音室もあるので、
そこそこ大きな音量を出すこともできます。
ヘッドフォンも、
密閉式の立派なヤツがあるので、
その気になれば、どかんという音だって聴けます。

でもね。
違う。違うんですよ。

ロックは、全身で浴びるように聴きたい。

カラダ中の骨という骨を震わせたい。
空洞という空洞を鳴らしたい。
毛穴という毛穴で感じたい。

あの全身が総毛立つ感覚は、
箱鳴りのするようなラウドな音じゃないと、
やっぱりダメなんですね。

そういえば、こんなに長い間、
爆音を聞かなかったのは、
高校時代にバンドを初めて以来、
一度もなかった気がします。

あぁ、ぞわぞわしたい。
毛穴で音を感じたい。

ロックは毛穴で聴くもんだと、
初めて感じた今日でした。

◆【ヴォイトレマガジン『声出していこうっ!me.』】
ほぼ週1回、ブログ記事から、1歩進んだディープな話題をお届けしているメルマガです。無料登録はこちらから。バックナンバーも読めます。

 - B面Blog, Live! Live! Live!, バンド!

  関連記事

声を伝えるのに必要なのは「デリカシー」。「気合い」じゃないんですよ。

音の波形ってみたことありますか? 音は空気の振動。 特殊な装置をつかうと、 その …

練習するのは、全てを忘れるため

「テクニックなんかどうでもいいんですよ、歌は。」 ピッチだ、リズムだ、表現力だと …

人生は「パッション」がつくるのだ。

ある時期、心から夢中になって、 一度でも自分のカラダの中を通り過ぎたものは、 自 …

ベーシストって、すごいんだ。

「いやー、とにかく憧れていたんだよね。」 「こどもの頃から習ってたから。」 「家 …

「対バン」の流儀

「対バン」。 学生時代からあまりに当たり前につかっていることばなので、 この言葉 …

「ケツカッチン」で、劇的に成果を上げる

延ばせないデッドライン(締め切り)のことを、 業界用語で「ケツカッチン」と言いま …

だから、「でかい声」を出したいわけじゃないのよ。

お年寄りが大きな声で話すようになったら、耳が遠くなってきたことを疑えといいます。 …

「マネをする」という選択も、自分のオリジナリティの一部なんだ。

人に習うと、自分のスタイルが確立できないとか、 人のマネをすると、オリジナリティ …

「失敗の記憶」をリセットする

心もカラダもリラックスした状態で物事に取り組み、 自らのポテンシャルを最大限に発 …

「他者基準」で自分をジャッジしない。

才能あふれる若者たちを教える機会に恵まれています。 レッスンのたびにワクワクした …