歌詞の理解を深める~Singer’s Tips #12~
2021/04/26
どんなことばで語られようと、
心ない政治家の原稿丸読みの演説や、
稚拙な役者のセリフというのは、
心動かされないばかりか、
ちっとも頭に入ってこないものです。
理由は明白です。
今、自分が語っていることばの意味が、
語り手の腑に落ちてないから。
ことばには心が乗ります。
上っ面だけで心が乗っていないことば、
語り手が理解できていないことばというのは、
聞き手の心に響かないのです。
歌の歌詞もおなじです。
歌詞を理解するというのは、
単にことばの意味がわかる、ということとは、
決定的に違います。
何年か前に流行った「Let it go~ありのままで~」を、
「どうやらうちの娘は、『蟻(アリ)のまま』と思って歌っているようだ」と、
笑い話のように話す人がいましたが、
では、「ありのままで」ということばを、
腑に落ちるまで解釈して歌っていた人がどれだけいたか?
“Let it go”ならなおさらです。
意味のわからないことばは、単なる音。
それでは伝わりません。
歌詞の意味を理解するのは、
ごく当たり前のこと。
1歩進んで、
自分の中にあるリアルなことばと、
歌詞の世界をどれだけ結びつけられるか。
自分と歌との関係性をどれだけ築けるか。
簡単なことではありません。
正解のない旅ですが、
このことを心に留めるだけでも、
歌の深みは全然違ってくるものなのです。
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