「存在感」を研ぎ澄ませ!
だいぶおとなになってから、生まれて初めて「セミナー」というものに出席した時は、世の中には、なんちゅうアウェイな世界、アウェイな人々が存在しているのだろうと、違和感に身の縮む思いがしたものです。
ところがだんだん慣れてくると、あぁ、実は講師というお仕事もシンガー、パフォーマーという仕事となんら変わらないんだな、と気付くようになりました。
講師が登壇した瞬間、一声発した瞬間に、これからはじまる講演で、どのくらい心が動かされるのか、真の学びを受け取れるのか、無意識に予測できるようになったのです。
シンガーがステージに登場した瞬間、「この人の歌は、こんなもんだろうな」と8割方予測できるのと同じ。
動物が出会い頭、本能的に序列が決まるのとも非常によく似ています。
こんな話をすると、「それってオーラがあるかどうかってことですよね」と言う人がいます。
もちろん、持って生まれるスター性、いわゆるXファクターの存在を否定するものではありませんが、どんなに才能を持っていても、磨かれなければそれまで。
某大スターにデビュー前会った時、「すっごい地味な若者で、こいつは絶対に売れないと思ったものだ」と話す人がいました。
世界の大スターたちにも、
「黒人たちのカッコいい動きを徹底的にマネした」とか、
「毎日鏡を見て、自分がカッコよく見える表情とポーズを研究した」とか、
「どうやったら目立つか悩んだあげく女性用の服を着てみた」なんてエピソードが数え切れないくらい残っています。
そんな試行錯誤が、ステージプレゼンスとなり、説得力となるのです。
最も大事なのは、「登場した瞬間に勝負は決まる」という事実に気づけるかどうか。
どんなにいい曲も、歌い手に魅力がなければ、聞く人の心に響きません。
どんなに内容のある、すばらしいスピーチも、話し手のパワーがなければ、聞く人の心を動かすことはできないんです。
アウェイだった私は、今、セミナー講師やビジネスエグゼクティブにも、日々、トレーニングをしているわけですが、
聞き手になると、無意識に、登場した刹那、話し手を値踏みするものなのに、自身が話し手となる時には、そこに意識の行く人が本当に少ないことに日々驚かされます。
どう登場するか、どんな声で話すか。
人前で話す人なら、一度は向き合って欲しい、あまりにも大事なことです。
6月17日の美崎栄一郎さんとのコラボ講演では、そんな、ちょっとレアな視点で「話す」の説得力について、お話します。
自分の話し方はどうなのか、チェックテストもやります。
人前で話す人はぜひ。

関連記事
-
-
ギター&ヴォーカルは、なぜみんな姿勢が悪いのか?
北は札幌から南は沖縄、いや奄美大島まで。 日本各地から、ヴォイトレにやってくるア …
-
-
ピッチが悪いの、気づいてます?
少し前のこと。 知人に誘われたとある会社のパーティー会場の片隅で、 いきなりジャ …
-
-
よく目にする、「イケてないライブパフォーマンス」
おなじみ、イケてないシリーズ。 今日は、よく目にする、イケてないライブパフォーマ …
-
-
「シロウトが一番怖い」
「シロウトが一番怖い」とはよく言ったものですが、 その真意がわかるようになったの …
-
-
「練習しなくちゃ」と思ってしまう時点で、 ダメなんです。
「やらなくちゃいけないってわかっているんですけど、なかなかできなくて・・・」 & …
-
-
本質で語れ!
ヴォーカリスト、作詞家、歌の先生とキャリアを重ねて、 なかなかの「いいお年」にな …
-
-
早急になんとかしたい、姿勢・筋力・体力。
「最近の若者は・・・」などということが言いたくなるのは、 お年をめしてきた証拠で …
-
-
「イケてないアンサンブル」を打破する方法(準備編)
大学や専門学校のカリキュラムの中には、 与えられた課題曲を、バンド形式で演奏する …
-
-
「高い声が出ない」という理由だけでキーを決めてませんか?
どうしてなんでしょうね? どうして、「高い声が出ない」という理由だけで、 みんな …
-
-
「完璧なパフォーマンス」ができても、「蚊の鳴くような声」じゃ、やっぱりダメなのよね。
ずいぶん前のことになります。 あの子、歌がめっちゃ上手いんですよ〜。 素晴らしい …
- PREV
- ちゃんと元取れっ!
- NEXT
- 「がんばるのが好き」なんてヤツが世の中にいるのか?
