ホンモノか?ニセモノか?
「あいつはホンモノだよ」
「なんか、あの子、ウソくさいのよね」
一般の人たちがどのくらいの頻度でこの言葉を口にするのか、
知るよしもありませんが、
ギョーカイでは、実によく耳にすることばです。
ホンモノか、ニセモノか。
どんなシーンでも、
プロフェッショナルがもっとも気にするのって、
そこなんじゃないか?
表面をどんなに繕っても、
どんなに上手に見かけを整えても、ダメ。
ニセモノ感は縫い目のすき間からにじみ出てくるんですね。
大昔、バンドでディズニーランドのオーディションを受けたことがあります。
おとぎの国からドア一枚隔てた裏側には、
蛍光灯が煌々と点った、
ごくごくあたり前のオフィス・ルームが並んでいました。
あぁ、そうよね。
どんなに精密につくられていても、作りモノは作りモノ。
ホンモノかニセモノかは、裏側に回ればすぐわかる。
ニセモノには、「ほころび」があるんですね。
ディズニーシーのヴェニスの街しかり、ハウステンボスしかり、
ユニバーサルスタジオしかり、映画村しかり・・・・
一方、本物は、ほころびがない。
フォトジェニックなメインストリートだけじゃなく、
路地裏も、レストランの厨房も、公衆トイレさえも、
ヴェニスは紛れもなくヴェニスだし、
アムステルダムは紛れもなくアムステルダム。
ホンモノは、どこを切っても、どこから見ても、
美しいところも、醜いところも全部含めてホンモノなんです。
表面をスルッとなでて、
わかったような気になるのは、
海外旅行も音楽もおんなじ。
バッキンガム宮殿やエンパイアステートだけ見て、
ロンドンやニューヨークを語るようなもの。
わかってねぇなー。となるわけです。
ホンモノは、取り繕わない。
裏側だって、内側だって、
どっからだって、どうぞ、ご自由にご覧くださいと、言えるかどうか。
美しいところも、
醜いところも、
全部含めて、「あたしです」と胸を張って言えるかどうか。
ホンモノへの道は、あぁ、とてつもなく険しく遠いのです。
◆ワンランク上を目指すシンガーのためのスーパー・ワークショップ“MTLネクスト”、キャンセル待ち受付中。
◆6日間で基礎を終わらせる。【MTL ヴォイス&ヴォーカル レッスン12】、第9期のお申込み受付中。
関連記事
-
-
オレの方がすごい?「優越感シンドローム」
ある程度キャリアのあるプロフェッショナルなら、 誰しも、自分自身の仕事や能力にプ …
-
-
ただ、情報としてそこにあるだけでは、 何の価値もない。
自分自身の音楽の世界を広げるためには、 慣れ親しんだ音楽ばかりを繰り返し聞くだけ …
-
-
マンツー vs. グループレッスン
「歌のレッスンはマンツーマンじゃなくちゃ」とは、 非常によく言われることです。 …
-
-
歌をはじめる黄金期?
歌をはじめるのに、 早すぎることも、遅すぎることもない。 これは私の持論でありま …
-
-
結果が出るまで、やる。~SInger’s Tips #14~
高い声が定着しない。 声量がいまひとつ上がらない。 ピッチがなかなか安定しない。 …
-
-
多感なこどもたちにジョークは通用しない
小学生の音楽の授業のときの話です。 「ではこの曲を、誰かに歌ってもらいましょう。 …
-
-
「正しく気づけない」から上達しないのだ
「神は細部に宿る」と言われます。 細部の大切さは誰もがわかっているはずなのに、 …
-
-
ちゃんと寝ろっ!
「えぇええ〜〜っ!MISUMIさんともあろう方が、 今さら、そこですかぁ〜〜〜っ …
-
-
「道場破り」「ゲリラ戦」「修行」・・・?
アマチュア時代、ちょっとでも自分の顔を売りたくて、 いろんな人のセッションやライ …
-
-
一瞬一瞬を大切に、大切に生きる。
ブログを書くようになって、 日々、自分の過去の記憶をたどっています。 ところが、 …
