音楽家としての「表現の自由」を謳歌する
「テクニックを身につけるのは、選択の余地を増やすためである」
そんなお話をよくします。
選択の余地があるということは、自由であるということです。
音楽家として、ヴォーカリストとして、表現の自由を謳歌する。
テクニックはそのパスポートのようなものと言っていいかも知れません。
例えば、です。
ここのフレーズは、パキーンと高音を出したい。
もしくは、深〜い低音にビブラートをかけて、
聞く人の心を揺さぶりたい。
そんな風に音のイメージを描いても、
自分自身の音域に制限があれば、
裏声にせざるを得なかったり、
カスカスの声で、
低音を出している「ふり」をしなくてはならなかったり。
言葉をたたみかけるように、
攻撃的に歌いたいと思っても、
カツゼツがイマイチだったり、
ピッチが当たらなかったりすれば、
もこもこした、聞く人が気持ちの悪い歌になってしまうでしょう。
「ラストはが〜っとクレッシェンドして、
思いっきりオーディエンスの心を揺さぶりたい!」と思っても、
肝心の声量がそこまで届かず、
ショボい、尻切れトンボな終わりになってしまったり、
「声にディトーションをかけて、ロックっぽく歌いたい!」と思っても、
スカスカ&ガラガラの音程のない声になって、
仕舞いにはノドを壊してしまったり。
これでは「表現の自由」があるとは言えません。
何をしてもいい。
何だってできる。
さあ、何をしようか?
そんな状態にいることを「自由」であるとするなら、
表現に制限がある状態は、
がんじがらめにされて、
檻の中に閉じ込められている状態。
あれをしちゃだめ。
これもできない。
・・・そうやって、
自分の置かれた状況に絶望して、諦めてしまえば、
自由は一生手に入りません。
人類の長い歴史を見てもわかるように、
自由を手に入れる道のりは、
けしてたやすいものではありません。
自分には自由になる権利があると信じて、
戦い続けた人たちにしか、
自由は訪れません。
無理と決めつけてしまえば、
どんな可能性も開けません。
人は「絶対に無理」とわかっていることに対して、
努力はできないからです。
どんなにがんばっても、
絶対にできないことに費やす時間は無駄です。
それなら楽して、楽しく過ごして、
自分にとって無理な領域は見てみない「ふり」をしている方がいい・・・
そんな風に思ってしまうときこそ、
自分の胸に手を置いて、
もう一度じっくり考えてみるべきときです。
それは、本当に100%無理なことなのか?
自分が無知なゆえに、そう思い込んでしまっているだけなのではないのか?
無理と決めつければ、自分が傷つかないからと、逃げているだけではないのか?
努力すれば、いつかできると認めてしまえば、
これから立ち向かうべき壁が見えてしまう。
その壁に最初からひるんで、腰が引けているだけなのではないのか?
無理と決めつけるのは、自分が怠惰だからではないのか?
「どんなことでも100%可能である」という観点から考える。
そんな習慣を持つ人こそが、表現の自由を、
人生の自由を手に入れられるのではないでしょうか?
◆毎朝お届けしているMISUMIの書き下ろしメルマガ【メルマガ365】。
今日から、「100回歌っても同じ音が出せるようになるためのtipsシリーズ」がはじまりました。バックナンバーも読めますので是非。
ご登録はこちらから。
関連記事
-
-
ストライク率を限りなく100%に近づける
こどもの頃からずっと謎に思っていることのひとつに、 「ボーリングって、なぜゲーム …
-
-
「練習しなくちゃ」と思ってしまう時点で、 ダメなんです。
「やらなくちゃいけないってわかっているんですけど、なかなかできなくて・・・」 & …
-
-
「歌の表現力」ってなんだ?
表現力と言うことばを聞いたことがあるでしょうか? 「彼はテクニック …
-
-
「ピッチが悪い!」を直すロジカルシンキング
「ピッチが悪い!」 年間通して、いや、1週間に、 このことばを、何回口にするでし …
-
-
カバー曲の歌唱にオリジナリティをプラスする3つの方法
「オリジナリティ」と「クセ」は紙一重です。 「オリジナリティあふれ …
-
-
“なんちゃってコピー”は、いい加減卒業する。
賛否両論あると知りながら、 ここでたびたび完コピについて取り上げるのは、 今も昔 …
-
-
「お前、練習してんのか?」
先日、とある忘年会で、大先輩のミュージシャンに、 「MISUMI、ビジネスはいい …
-
-
「ボイストレーナーなんかいらない人」になるための3つのポイント
昨日、『MTL ヴォイス&ヴォーカル オープンレッスン12』初日、 Unit1と …
-
-
「歌われているように書く」で英語の歌は劇的にうまくなる
ちょっと怪しいタイトルですが、 今日はタイトルだけ読んでいただければいいくらい、 …
-
-
「誉めて!かまって!」症候群
誰かにかまわれたい、 誉められたい、 認められたいという欲求は、 人間である以上 …
- PREV
- 解釈は聞き手にまかせる
- NEXT
- 「自分が嫌い」の爆発的エネルギー

