解釈は聞き手にまかせる
ずいぶん前のことになります。
アメリカ人の友人が主催する、
英語で書かれた詩ばかりを集めた同人誌の、
オフ会に参加したことがあります。
自身が書いた詩を、交代に朗読するのですが、
みなさん、一般の方たちですから、
流暢な朗読ばかりではありません。
特に感情も込めず、訥々と、淡々と、
自身の紡いだことばを読んでいく、
という人が多い印象でした。
しかしね。
これが、いいんです。
変に感情を乗せないからこそ、
伝わってくることばや思いがある。
そういえば父が昔、
テレビでプロの朗読する詩を聞いていて、
「こういう思い入れたっぷりなの、気持ち悪いなぁ。
詩ってのは淡々と語るもんだ。」
なんてことを言っていたっけ。
解釈は聞き手にまかせる、というのが詩、
と言うことでしょうか。
『まんが日本昔ばなし』で、
市原悦子さんと常田富士男さんの独特な語り口に、
感動を覚えた人もいると思います。
押さえに押さえた抑揚で、淡々と語られる物語。
だからこそ、想像力が膨らむ。
昔ばなしの世界に引き込まれる。
わかっている役者ってすごいなぁと、
こども心に感じたものです。
ことばは不思議です。
語り手の解釈と聞き手の解釈が、全然違うときもある。
だからといって、語り方が悪いわけでも、
聞き手がわかってないわけでもない。
それこそが、ことば。
生き物なんですね。
どんな命を吹き込むかは、
送り手、パフォーマーにかかっています。
その命をどんな風に受け取るかは、
受け手、オーディエンスにかかっています。
そうして、キャッチボールを繰り返すうちに、
化学反応が起き、新しいエネルギーが生まれる。
どんな風に表現するのも、
はたまた、なんにも表現しないのも、送り手の自由。
どんな風に感じ取るのも、
何にも感じ取らないのも、受け手の自由。
新曲の歌詞を書きながら、
そして、レコーディングをしながら、
そんなことを考えました。
伝えようとしなくても伝わる歌。
そんなものを目差しています。
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