アイドルは一日にして成らず
「しかし、へったくそだなぁ。。。。」
音楽好きの父は、本当に歌手に厳しく、
母がテレビで歌謡番組にチャンネルを合わせるたびに、
登場する歌手を次々とこき下ろしていたものです。
そんな、よく言えば耳が肥えた、悪く言えばひねくれた父の影響で、
すっかりアンチ歌謡曲に育ってしまった私。
小学校高学年で洋楽に目覚めて以来、
まったくといっていいほど歌謡番組を見ることも、
いわゆるJ-POPを聴くこともなく過ごしました。
さて、そんな私も、トレーナーのお仕事をはじめたことで、
さまざまなJ-POPアーティストたちとのご縁をいただき、
ここ数年は、女性男性問わず、
アイドル的なアーティストやグループを指導する機会さえいただくようになって・・・・
はじめて、
アイドルになるということ、
アイドルで居続けるということの本当の大変さ。過酷さを知ったのです。
アイドルは、顔がよけりゃなれる。
アイドルは、歌が下手でも関係ない。
アイドルは、スタッフの言われるままに仕事をこなすお人形だ。
アイドルは。。。
アイドルは。。。
そんな偏見のすべてが覆されました。
可愛いだけの子、イケメンなだけの子はいっぱいいる。
そんな、「ルックスがいい子」の中で、
いかにアーティストとして、アイドルとして立っていくか。飛び抜けていくか。
常に本気度を試される真剣勝負の厳しさに、
めげず、腐らず、あきらめず、必死に食らいついていくものにしか、
チャンスは巡ってきません。
食らいついても、食らいついても、
芽の出ない子もたくさんいる中で、
「選ばれしもの」になることが、どれだけ大変なことか。
そして、選ばれたら選ばれたで、
歌のレッスン、踊りのレッスン、
イベント出演、レコーディング、撮影、SNS・・・
学業の傍ら、大忙しのスケジュールを、
文句ひとつ言わずにこなさなくてはなりません。
コンサートが決まれば、
20曲近い曲の振り付けをすべて覚えて、
曲も歌詞も覚えて、
MCの準備もして・・・
何千人、何万人というお客さんに向けて、
最高の自分たちを見せ、さらなるステップアップを狙わなくてはなりません。
代わりはいくらでもいる。
下から追いかけてくる子たちもたくさんいる。
そんな空気の中で感じるプレッシャーは、並大抵のものではないはずです。
彼らのがんばりには、日々、頭が下がるばかりです。
一回一回、一瞬一瞬が真剣勝負。
リアルなアイドルの姿には、
ちゃらちゃらした、ぽっと出の、お人形さんの影はありません。
教えられているのは、いつも、私のほうです。
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