「歌がうまい」って、なんなのよっ!?
歌なんか、習うもんじゃない。
ウンザリするほど聞いたことばです。
正直、私もずっとそう思っていました。
バンドでギターをやっていた頃は、
けしていいとは言えなかった耳に全集中して、
耳コピしようとしたり、
楽譜を探して楽器店を走り回ったり。
後はひたすら練習する。
習いに行くなどという選択肢は、
自分の中にはありませんでした。
バンドをがんばるほどに、
肝心のギターじゃなく、
ヴォーカルでばかりお呼びがかかるようになり、
歌でしかプロになる道は開けないと悟ったとき、
はじめて、音楽学校というものに興味を持ったのでした。
練習に行き詰まったわけではありません。
どうしてもできないことがあったというわけでもありません。
歌がうまいって何なのか。
自分の歌って一体どうなのか。
プロになるって、どうしたらいいのか。
そんな、いわば、もっと手前のところが、
大いにわからなくなってしまったからでした。
その点、楽器はわかりやすい。
「音楽は心」という沼の手前に、
弾けないフレーズや、
押さえられないコード、みたいのが明らかに存在します。
譜面通りの音が出せなかったり、
あるべきテンポで弾けなかったり、
他の楽器とずれていたり。
そういう、シロウトでもちゃんとわかるポイントがいくつも存在します。
ところが歌はそうではない。
毎日歌っていれば、
どんなメロディもそこそこ歌えるようになるし、
声だって出るようになる。
早口で歌えないとか、高い声が出ないとか、
よほど分かりやすいポイント以外は、
すぐに歌えている気になる。
そして、それ以上どうしたらいいのかわからない。
それでは、どこにでもたくさんいる、
「そこそこ歌える人」というポジション、
今ならさしずめ「カラオケのうまい人」ポジション止まりで、
「あの人の歌、聞いた?」と噂になるレベルにはなれません。
音楽のわかっている人からの評価も上がりません。
だからね、
「歌がうまい」と「そうでもない」の差を理解することなしに、
本当の意味で「聞く価値のある歌」を歌うことは、できないわけです。
しかし、スクールやレッスンに通えば、
その答えがすっきりわかるのでは?と期待したら、大間違いでした。
わかったことは、自分の歌はなってない、ということ。
ピッチが悪いと言われる。
グルーヴがないと言われる。
表現力がないと言われ、歌がつまらないと言われる。
でもね。
ピッチが悪いって、本当はどういうことなのか、
グルーヴって一体何なのか、
表現力って、どういう意味なのか、
はたまた、歌がおもしろいとか、つまらないとかって、
どんな基準で言ってるのか、
肝心のところがわからないんです。
「そんなこともわからないの?」
「だからダメなのよ。もっと感じて!」
そんなことを言われて、何度も落ち込みました。
わからないから、習いにくるんじゃん。
どうやって感じたらいいのか、教えて欲しいんじゃん。
ダメなことは、自分が一番よくわかってるよ。
心の中でそんな風に叫びながら、
毎週、毎週、足を引きずるような気持ちでレッスンに通った日々のことは、
今も頭から離れません。
結局、答えは自分で探すしかありませんでした。
歌を教えることになったときに、真っ先に思ったことは、
私はそういうことを、
すべて言語化できるトレーナーであろう、ということ。
どうやったら聞こえるのか、
どうしたら感じられるのか、
目指すべきはどういうことなのか。
言語化する。数値化する。見える化する。触覚に訴える。
わかるまで、根気よく伝え続ける。
結局最後は自分ががんばるしかないのは、もちろん、同じなのだけれど、
悩んだり、迷ったり、苦しんだりする時間を少しでも少なくすることはできる、
いつもその悩みや迷いに寄り添ってあげるメソッドをつくることは可能なはずだと。
そんなことに取り組み初めて、
かれこれ20年近くが経とうとしています。
まだまだ果てしない道ですが、
想いは少しずつ形になっている。
レッスンにやってくるシンガーたちの歌を聴いていると、
そう信じられるのです。
いやーー、果てしない。

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6日間を1日にぎゅっと凝縮、ダイジェスト版は1月28日です。
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