大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「声が届かないって、こんなに自己肯定感を下げるものなんだ」。

      2022/12/25

何年か前のこと、
風邪をこじらせて、声がカッスカスになってしまいました。
よほど気合を入れないと音にならない。
こんなこと、一体何十年ぶりだろう・・・。

受講していたセミナーのグループディスカッションで発言しても、
みんなの注意はカットインしてくる他の人の発言に向いてしまいます。
いやーん。いいこと言ってるのに。

会食の席で、普段なら大爆笑を取るはずのジョークを飛ばしても、
なんか、いまいちウケない。
端の席の人は振り向いてもくれません。

肝心なところで聞き返されたり、
今のとこ、ホントは聞こえなかったのに、
テキトーに相づち打ってるんだなーと感じたり、
ガツンと啖呵を切るようなシーンでも、
全然迫力出なくて、ついつい弱気になってしまったり。

自己肯定感がた落ちで、だんだんことば少なくなって、
自分が日頃、この声にどんなに助けられているのか、
声の悩みを持つ人たちが、日々どんな思いで暮らしているのか、
痛感したのでした。

声の悩みは本当にさまざまです。

小さすぎる、高すぎる、低すぎる、細すぎる、
枯れやすい、こもる、つまる、がさつく、
キンキンする、ことばがハッキリしない・・・

どんな症状でも、やるべきことは、たったひとつ。

カラダを、
あるべき状態に戻して、
あるべき使い方をしてあげること。

いい声って、誰でも、ちゃんと出せるものなんです。
そういう風に、私たちはできています。

だから、あるべき状態というのを確認して、
その状態にカラダを置けない原因を取り除く。
あるべき使い方を思い出す。

もんのすんごいシンプルなことで、
自然に自分本来の声を取り戻すことができるんです。

錆びついた自転車のサビを取って、油を差すようなものです。
長年乗っていないと、最初はちょっと緊張するけれど、
カラダは自転車の乗り方をちゃんと覚えていて、
最初はぎこちなくても、気づけばスイスイ運転できるようになりますね?

要は、「自転車は走る」と信じるように、
「自分のカラダはいい声を持っている」と信じられるか、否か。

自己肯定感と声はニワトリと卵です。

 

MTLのビジネス向けトレーニングはこちらです。

 - My History, ビジネスヴォイス, 声のはなし

  関連記事

やっと話せる、熱い想いを聞いてください①

来月、本スタートのオンラインコース。 教材制作や、システム関係の準備もほぼ終了し …

結果が出るまで、やる。~SInger’s Tips #14~

高い声が定着しない。 声量がいまひとつ上がらない。 ピッチがなかなか安定しない。 …

「空気読め」とか、違くないか?

生まれて初めてアルバイト情報雑誌を買って、 バイトを探した時は、 一体みんな、何 …

とっさの時の声、出せますか?

日頃、衝動的に出そうになる声を押さえつけることが習慣化していると、 とっさの時に …

「強制OFF日」=ジャミーデーをつくる

命の次に大好きな音楽が仕事になった20代の頃は、 24時間音楽のことが頭から離れ …

自信、自信、自信。

こどもの頃から声が大きくて、 大勢で騒いでいても、 友達の話に相づちを打っている …

気にならない人は、それでいいじゃん。

多くの人が、何かしらのストレスを感じて、初めて自分の「声」の存在に気づきます。 …

フェイスシールドって、ハウりません?

ずいぶん昔のお話です。 サポートコーラスのお仕事で、 大きな会場を何本か回るとい …

「まったくおなじ音」は2度と出せない?~SInger’s Tips #19~

長年歌をやっていて、 もっとも難しいと感じることにひとつに、 「おなじ音をおなじ …

やっぱり私、変態でした。

ちょっと前から自分が、 いわゆる”変態”なのかも?と、 うっすら自覚 …