「あきらめていた夢」を、もう一度追いかけるということ
「音楽は、何才で始めなくちゃいけない」、なんていう制限はありません。
「好き!」「やりたい!」と思った時が適齢期。
歌だってピアノだってギターだって、
そこそこ真面目にやれば、70才からだって、80才からだって、
そりゃあ、若者のようなスピードというわけにはいかないけれど、
絶対の絶対に上達します。
だから、もう遅すぎる、なんてつまらない理由で、
はじめることをやめるのは、やめてください。
はじめなければ絶対に上達しません。
そして、時は前にしか進まない以上、
はじめるのが1日遅ければ、その分、上達のスピードも遅くなる。
だから、本気でやりたいなら、今、はじめるべきなんです!
「音楽をやってみたい」という人には、
いつもこうアドバイスしています。
しかし、一方、
「真剣に音楽をやりたい」「プロになりたい」
という人たちには、さまざまな質問を投げかけた上で、
非常に慎重に対応します。
音楽が大好きだったのに、
学校で相手にされなかった、
親や周囲に反対された、
自信が持てなかった・・・
そんな理由で長いことあきらめていた夢を、
ある日突然、何らかの理由、
たとえば、20代の終わり、30代の終わりなどの、人生の節目を迎えて、
叶えたいと思うようになった。
そんな人たちに一定の割合で出会います。
音楽の世界で活躍している、同世代の、輝いている人たちのように、
自分も華やかなステージで、輝きたい。
たくさんの人たちの拍手を浴びたい。
有名人や芸能人に囲まれて、きらきらした生活をしたい。
もちろん、人生何が起こるかわかりません。
祈ったり、描いたり、引き寄せたりすれば、
不可能はないかもしれません。
しかし、忘れて欲しくないことは、
音楽の世界で輝いている人たちが、その場所に到達するまでに、
どんな場所で、どんな思いで、
どれだけの時間を過ごしてきたかということ。
華やかで、輝いている時間は、過ごしてきたつらい時間に対して、
ほんの一瞬です。
これは、どんなに有名な人も、
どんなに成功している人も、みんな同じです。
1年間に、50本のツアーをやるようなアーティストだって、
人前に出るのは、200時間にも満たない時間。
どれだけテレビで露出があると言っても、
ミュージシャンで、1年365日、毎日1時間出ずっぱりのような人は、
まず、1人もいません。
200時間の輝いている時間を支えているのは、
8000時間を越える、日常と、苦悩の時間です。
輝く時間が華やかな人ほど、
残りの8000時間、誰よりもがんばって、がんばって、
ありとあらゆることと戦い、耐えて生きています。
単に、そうした人たちほど、影の時間は、見えてこないだけなんです。
それは、彼らが有名になる何年も、何年も前から、
ずっと続いていて、この先も一生続く戦いです。
夢に燃えて、希望に燃えて、
音楽への夢を志す人たちに水を差したいわけではありません。
でも、ある道を極めるには、
その8000時間をコミットする必要があります。
しかも、むやみやたらと、
なりふり構わず走り抜ければいいというものではない。
これまで、音楽から離れていた時間を取り戻すのは、
並大抵のことではありませんから、
明白なゴール設定、そこまでの道筋、距離、
到達できるまでの時間を徹底的に、
頭が痛くなるほど考えなくてはなりません。
それを見つけることができるのは、自分だけ。
そこに自分を連れて行くことができるのも、自分だけ。
「何があってもやり抜くのだ!」くらい、
腹をくくらなくては、まず到達できるところではありません。
それは、どんなトレーナーに習おうが、
どれほどコネのある人と親しくなろうが、同じ。
トレーナーにできるのは、
ゴールまでの道のりを少しでも短く、
到達するまでのスピードを少しでも速くできるよう、
お手伝いをすることだけなのです。
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