大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

解像度を上げろ!

   

最近、レッスンや講座でよく使うことばに「解像度」があります。

「解像度」とは、めちゃくちゃ簡単に言うと、「対象をどれだけ細かく見分けられるか」ということ。
カメラなら“画素数”みたいなものです。

かつての一般的なガラケーのカメラは、300万〜500万画素程度。
対して、最新のiPhoneは4800万画素。

ガラケーで撮った写真を現代のPCで見ると、ザラザラ、ボケボケで、
「こんな写真を撮って喜んでたのか?」と驚きます。
それもこれも、高解像度の鮮明さを知ってしまったから。

解像度の低い状態で見ていた時は、単に「山」としてしか認識できなかったものが、
解像度を上げていくことで、次第に木々の一本一本、その葉の一つ一つがくっきり見えてくる。
やがては木々の個性や、葉の微妙な色味の違いまでわかるようになる。
一度この世界を体験してしまうと、もう元には戻れません。

歌も同じです。

解像度が低いと、ミュージシャンたちの演奏も「オケ」にしか聞こえません。
人の歌も、自分の歌も、まるっと「歌」として聞いてしまう。

何に注意を向けたらいいのか。
何を改善し、何を伸ばしたらいいのか。
それが見えなければ、いつまでも精度は上がりません。

解像度を上げるために、今日からできることを3つ:

  1. 歌の要素を徹底分解する
    メロディ、リズム、ことば…それだけでは、まだまだ大ざっぱ。
    細かいピッチ、フレージング、音色、ダイナミクス…。
    「メロディ表現」の中にさえ、フォーカスすべきポイントは無数にあります。
    最初はぼんやりとしか聞こえなくても、「そこに音はある」と信じ、集中して聞く習慣をつけること。
    それを繰り返すと、拾える情報がどんどん増えていきます。

  2. 精度の高い完コピをする
    「完コピ」は、単に歌のハマリや節回しを真似ることではありません。
    オリジナルの魅力を“そのまま再現できる”ところまで、研究すること。
    録音して、チェックして、微調整する。
    この作業が、解像度を一気に引き上げます。

  3. 解像度の高い人にアドバイスを受ける
    音楽のわかる人からのアドバイスで、一気に鮮明に見えることがあります。
    私も、先輩ミュージシャンや現場のディレクターたちから、
    「立ち上がり、もう少しシャープに」
    「他の音色で歌って」
    「ブレスのタイミング変えて」
    そんな詳細な指示を受けながら、自分自身の解像度を上げてきました。
    ただし、説教じみたことを言う人、マウントを取る人には近づかないこと。

この他にも、試せることはたくさんあります。

見える世界が変われば、練習の質が変わる。
練習の質が変われば、結果は必ず変わります。

あなたなりの方法を見出して、ガンガン解像度、上げて行きましょう!

※こうした「聴き方・考え方」の話、メルマガでもときどき書いています。
▶︎ メルマガ登録はこちら

 - The プロフェッショナル, 「イマイチ」脱却!練習法&学習法

  関連記事

伸び悩んだらやるべき3つのこと

長い音楽人生。 「伸び悩む時期」は何度も訪れます。 技術の伸び悩み。 キャリアの …

練習を「単なる時間の無駄」で終わらせないための3つのポイント。

歌を志すことになったのは、 私にとって、ある種の「挫折」でした。 そんなことを言 …

「できる人」が集まる環境に身を置く

音楽のセンスや、ことばのセンスを磨いたり、 きらりと光る知性を身につけたり、 楽 …

カラダをつくる~Singer’s Tips #23~

どんなに歌を練習しても、 肝心の楽器であるカラダがへなちょこでは、 いい音、いい …

『コーラスをするときにこだわる10のこと』

今日の夜は明後日のライブに向けてのコーラスのリハーサルでした。 みっちり4時間か …

練習環境を整えることこそ、練習の最重要課題!

先日、毎月ヴォイトレを担当している、 某事務所の若手声優たちのワークショップを …

「人前で歌うとき」の理想的な状態

人前で歌うとき、パフォーマンスするときに、 重要だと考えていることは3つあります …

口コミしたくなる仕事をするのだ

ミュージシャンでも、著者でも、セミナー講師でも、 フリーランスとして仕事をする人 …

あなたを上達させられるのは、あなただけ。

また新たに、アイドルグループのボイトレを担当することになりました。 年齢も実力も …

「キー決め」の3つのポイント~Singer’s Tips #25~

キーを決める時、 「高いところが出ないから下げる」、 「低いところが歌えないから …