大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「バンドやりたい!」から、初ステージに立つまでの4万時間

   

「バンドやりたい!」
中学に入ったばかりの頃から、ずっと、そう思っていました。

時は英国のアイドルバンド、ベイ・シティ・ローラーズの全盛期。
「バンドやりたい!」と言っている子は、同級生にも少なからずいました。
放課後になると掃除用具入れから持ち出したほうきやバケツを楽器に見立てては、バンドごっこを繰り返す日々。

やがて、その中から、「本気でバンドやらない?」と言う子が出てきました。
密かに本物の楽器の練習をはじめていた、私をふくむ3人です。

「ドラムやってみたい」「私はベースがいい」
それぞれの担当楽器も決まり、「文化祭に出よう!」と盛り上がったのは高1の頃。

ところが、顔を合わせるたびに
「スタジオ借りたいね」「ドラム買わなくちゃ」などと盛り上がるものの。
そこから、一向に前に進みません。

毎日のように、せき立てる私に付き合いきれなくなったのか。
それとも他に理由があったのか。
結局、「本気のバンド」が実現することはありませんでした。

ごくごく普通の女子校です。
どこを見回しても音楽を真面目にやっているような子はいません。
そうなると、いつ誰から声がかかってもいいように、ひたすら練習するしかない。

うまくさえなれば、いつか誰かの目にとまる。
そう信じて、毎日必死でした。

ある日、一度も顔を見たことのなかった別のクラスの同級生が、いきなり教室にやってきました。

「ギターやってるんでしょ?一緒にバンドやらない?」

毎日ギターばっかり弾いている変な子がいるらしい。
そんな噂が耳に入ったのでしょう。
「私、ヴォーカルやってるの。友だちでベース練習してる子がいるから」

そこに、彼氏がドラマーだから、自分もドラムをやりたいという子と、
こどもの頃からエレクトーンをやってるという子が加わり、
やっとメンバーがそろいました。

初めて文化祭に出演したのは高校2年の秋。
「バンドやりたい!」と恋い焦がれて、寝ても覚めても音楽のことを考えるようになってから4年と7ヶ月。
およそ4万時間です。

けれども、この4万時間があったから、
コードもマトモに弾けなかった私が、ソロのまねごとくらいまではできるようになり、
バイエルからはじめたピアノで、ビートルズの曲を弾けるようになりました。

ビートルズ一辺倒だった私が、サイモンとガーファンクルを経て、ボブディランに傾倒し、
ツェッペリンにノックアウトされて、ハードロックにのめり込んで。
だから、バンドに誘われたのだし、人生初のライブを無事に乗り切れたのだと思うわけです。

「準備のできた人のところにしか縁はやってこない。」

以来、数え切れないくらい、この言葉を噛みしめてきました。

もっと軽やかに、華やかにキャリアを駆け上って行く人はたくさんいるでしょう。
そんな素敵な生き方は、一部の天才という人にまかせておいて、今日も匍匐前進。
それしかできないのだから、仕方ありません。

やがて、文化祭のステージ1回きりで解散することになるバンドのメンバーたちとの熱い夏。
これが私のバンド人生の幕開けとなりました。

あの4万時間があったから、今の私があります。

あなたの人生を変えた4万時間は、なんですか?

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