いい加減、「ピッチが悪い」をどうにかしません?
「ピッチが悪い」というと、専門的に聞こえますが、
実は、ごく一般の人でも、無意識に、歌い手のピッチの善し悪しを聞き取っています。
それが、
「へたくそ」
「なんか、ぱっとしない」
「暗い」
などの抽象的なことばで表現されるものです。
こうした、本能的に感じることを口にする、実は一般の人たちの意見が一番コワい。
専門家はそれなりに、
「声はいいけど、ピッチが悪い。」
「表現力はないけど、熱意は伝わってくる・・・」
などと、いい面と悪い面のバランスを取って聞くものですが、
たとえば、うちの80才を越えようという母などは、「面白くない歌ね」と一刀両断です。
そして、たいがいが的を得ている。
ピッチというのは、
例えば楽器やオケなどのチューニングに対してあわせるもので、
つまり、基準が明白にあります。
この基準に対して、上に乗っかる歌の、音の波形が、
気持ちいい関係性を保てるかどうか。
簡単に言ってしまえば、これが、ピッチがいい、悪いの基準になります。
そして、この、気持ちいい、悪いは、
多くの人が、本能的に感じられるものなのです。
エレキギターのチューニングをしたことのある方ならわかると思うのですが、
2本の弦で同じ音を弾いてチューニングをあわせるとき、
チューニングがずれていると、ぽーん、ぽーんと弾いた2つの音が、
よよよよよよよよ〜〜ん、と震えるように響きます。
これが、2つの音がぶれている時に、起こること。
そうして、少しずつチューニングをあわせていくと、
やがて、
よよよよよよよ〜ん、が よよよ〜〜よ〜よ〜よ〜よ〜〜〜〜〜〜〜〜、と
1つの音に聞こえるようになったとき、チューニングがあうわけです。
このよよよよよよよ〜〜んは、誰でも感じます。
それが耳というものだからです。
たくさんの楽器が同時に鳴っている中で、
さまざまな音程、さまざまな音を、さまざまな音色で歌われるわけですから、
そう簡単に、「よよよよよよ〜〜ん」は認識できませんが、
無意識のうちに、こうしたピッチのズレを拾って、
「気持ち悪い」「へたくそ」と感じるわけです。
日本人は、しかし、こうしたハーモニー意識みたいなものが、
世界的に見て、まだまだ弱い。
だから、日本にはプロと言われる人たちにも、
ピッチのよくない人は、まだまだたくさんいます。
とはいえ、よほどルックスがいい、いい曲や歌詞を書くシンガーでも、
ピッチの悪いシンガーは、なかなかメジャーな現場に出て行かれないもの。
真剣に取り組まなくてはいけない課題のひとつです。
あぁ、口が酸っぱい。。。
明日12時ころ発行予定のメルマガno.123では、これまでピッチに関してアップしてきた記事から、「ピッチをよくするためのトレーニング」のまとめを抜粋してお送りします。バックナンバーも読めますので、よろしければ是非下記から登録してくださいね。
http://magicaltraininglab.com/information/1578/
関連記事
-
-
残念な人
ずいぶん前にちょっとだけ一緒にやったことのある、 かなり腕のいいドラマーがいまし …
-
-
「シロウトが一番怖い」
「シロウトが一番怖い」とはよく言ったものですが、 その真意がわかるようになったの …
-
-
バンド仲間の悪口は言わない
もう何十年も前のこと。 大好きなメンバーと、かなり楽しくやっていた …
-
-
早急になんとかしたい、姿勢・筋力・体力。
「最近の若者は・・・」などということが言いたくなるのは、 お年をめしてきた証拠で …
-
-
条件が不利な人ほど、熱意がある
優秀なボイストレーナーのレッスンに通い、 思う存分自主練習を積み、めきめき上達す …
-
-
「一生うまくならない人」
いろいろなところで、「歌は誰でもうまくなる」と書き続けてきました。 今でもそれを …
-
-
「なんとなく」や「しかたなく」でキーを決めない。
作曲、作詞、アレンジ、レコーディング・・・ 作品づくりにはさまざまな過程がありま …
-
-
あなたのパフォーマンス、「政治家の謝罪会見」や「大根役者」になってませんか?
声の表現力について説明するとき、必ずやって見せる、 「政治家の謝罪会見」と「大根 …
-
-
テンポが速い曲の練習方法~Singer’s Tips #26~
「ゆっくり目の曲はうまく歌えないんです。 テンポの速い曲の方が得意です。」 時々 …
-
-
解像度を上げろ!
歌で伸び悩んでいる人や、思ったように評判が上がらない人に、真っ先に疑って欲しいの …

