大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

ちゃんと「1x人数分」の声出てますか?

      2016/10/05

「赤信号 みんなで渡れば恐くない」

昭和の時代に流行ったジョークです。

 

1人でやるとドキドキすることも、みんなでやれば恐くない。
まさに、集団心理をついた、絶妙なことばですね。

 

しかし、実際は、
びゅんびゅん車が行き交っている赤信号の道路なら、
10人で渡ろうが、100人で渡ろうが、やっぱり恐い。

少なくとも、誰かが大けがをするか、
下手をするとご臨終になってしまうか。
大勢で危険なことをしたからといって、
自分が危険に会う確率が、人数分の1になることはありません。

乱暴に言えば、自分の身になにか起こるか否かの確率は、
どんなときだって2分の1なんです。

 

さて、
一般の方にグループレッスンをすると、
ゴスペルチームやコーラスグループに参加している方に、
一定の割合でお目にかかります。

多くの方が、ある程度のキャリアがあって、
さまざまな場所で歌ってきた方たち。

 

ところが、1人で歌うということになると、
いきなり、自信がなくなって、緊張して、
声まで出なくなってしまうのです。

 

ゴスペルチームにいれば、
大勢の人の前で歌ったこともあるでしょうし、
大きなステージでライトを浴びて歌ったこともあるでしょう。

それなのに、です。

 

たくさん練習して、しっかりいい声が出るはずの場面でも、
緊張のあまり、声が震えたり、ひっくり返ったり、音が定まらなかったり・・・

 

 

日頃、人前で歌っているときと、違うとこと言ったら、
「ひとり」ということだけ。

いかに、「赤信号・・・」の真理で歌っているかがわかります。

 

大勢で歌うと、
1人では、うまく声が出ないところや、音程が取れないところも、
他の人の声が上手にカバーしてくれます。

だから、歌えている気持ちになって、自信もわく。
堂々と振る舞うこともできます。

 

しかし、それでは、何人いても、人数分の声の迫力は出ません。

しっかり歌っている一握りの人に、
よりかかって、いい気持ちになっているだけでは、ダメなのです。

ひとりひとりが、ソロシンガーとして成立する歌を歌う。

1人で歌っても、何人で歌っても、
ひとりひとりが自信を持って、
精度の高い、クオリティの高い歌を届ける。

だからこそ、人数分の、
いや、ときに、その何倍ものパワーが出るのです。

 

まずは、1人で成立するパフォーマンスを。

 

大勢で歌う時も、ソロのつもりで思い切って歌いましょうね!

16091821 - african woman wearing church choir gown and singing

 - イケてないシリーズ

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

  関連記事

抜本的に、根本的に、ミュージシャンは、まず、そこ!

一定のレベル以上のミュージシャンになると、 そこから上の実力の差は、 一般の人の …

「ど〜せ私はイケてない・・・」からの脱却法

学年にひとり、ふたり、いや、クラスにひとりくらいはいたでしょうか? 誰が見ても可 …

誤解だらけの「ロック声」。そのシャウトでは、危険です。

ハスキーで、ひずんだ感じの、 いわゆる「ロック声」には、いろいろな誤解があります …

教える人のやる気を奪う「イケてないリアクション」

生徒やクライアントのポテンシャルを引き出すのが、 トレーナーや講師の仕事。 しか …

「はい、はい。わかった、わかった。」

「あんた、あんたって、、、んん〜〜っもう、ったくぅ〜〜。 く・・・くやしいぃいい …

「曖昧なこと」「わからないこと」を放置しない

歌や楽器の上達のために必要不可欠なことは、 「曖昧なこと、わからないことを排除し …

バンド仲間の悪口は言わない

もう何十年も前のこと。   大好きなメンバーと、かなり楽しくやっていた …

「君、あんなもんでいいの?判断基準甘くない?」

「ま、君は、リズム、もうちょっとシビアにがんばった方がいいね」   1 …

現実が自分にフィットしないときに、 なぜ、自分を合わせに行こうとするのか?

生涯を共にできるようなメンバーになかなか巡り会えず、 日々バンドの人間関係に悩ん …

「練習しなくちゃ」と思ってしまう時点で、 ダメなんです。

「やらなくちゃいけないってわかっているんですけど、なかなかできなくて・・・」 & …