パッションこそが推進力
「ボーカル、どうしてやりたいの?」
かつて教えていた音楽学校で、こんな質問をしたことがあります。
「やっぱり、うまくなりたいんで。」
「なるほど。じゃ、なんでうまくなりたいの?」
「プロになりたいんです。うまいと言われたいし、
自分でもうまいと思えるようになりたいなと・・・」
・・・プロになりたい。うまくなりたい。
だから、一所懸命練習する、毎日レッスンや学校にくる。
とても真面目な考え方で、素晴らしい。
でも、ときに、そうした想いの背景にある、
自分自身の原初的な想いに立ち返ってみたい。
うまくなりたいのも、プロになりたいのも、
手段であり、プロセス。
本当の「理由」や「目的」や「動機」は、
もっと感情的なものではなかったか?
「ひょ〜〜っ!かっちょいい〜〜っ!」であり、
「この『熱い想い』を、外に出したい!」であり、
「女の子にモテた〜〜い!」であり、
「あんな音出せたら、絶対気持ちいいっ!」であり、
「『俺ってカッコいい!』『私ってイケてる!』と感じたい!」・・・
なのではなかったか?
そんな、想いを実現するため、表現するために、
「うまくなりたい」のではなかったか?
人を突き動かす衝動、感情の力は実に強烈です。
音楽の勉強を続けていると、
うまくなることや、巧妙な曲を書くことことが
目的のようになってしまって、
自己否定に終始するようになります。
自分自身の才能の限界を感じ、時間の限界を感じ、
どんどん苦しくなってしまうときがあります。
しかし、音楽への想いはパッション。
わくわく、ドキドキ、どっかぁ〜〜ん、です。
そんなパッションを押し殺したり、取り繕ったり、
置き去りにしたりしてはいけない。
まして、自分の「好き」を否定してはいけない。
パッションの力が一番強烈。
夢を叶えるのは、パッションです。
自分の衝動や感情を、もっともっと表に出していいのです。
好きな音楽に、ワクワク。
自分自身の可能性に、ドキドキ。
毎日の出会いに、どっかぁ〜ん。
煮詰まったときは、好きな曲をたくさん聞いて、
いい気分になって、
そんなパッションを全身で、思いきり感じたい。
練習じゃなく、思考でもなく、
パッションこそが、自分を前に進めてくれる推進力だからです。
関連記事
-
-
「向いてない」って、なんだよ?
つい数日前、はじめて訪れた耳鼻科の先生に、 「この声帯の形からすると、あなた、 …
-
-
行動しないで成功できる「成功法則」なんかないっ!
夢を叶えたいと思う人なら、 誰でも一度くらいは、 「成功法則」や「引き寄せの法則 …
-
-
『The ワークショップ Show』という挑戦
ヴォイス&ヴォーカルトレーナーとして、著者としての記事はB面、 ヴォーカリスト、 …
-
-
人生は「パッション」がつくるのだ。
ある時期、心から夢中になって、 一度でも自分のカラダの中を通り過ぎたものは、 自 …
-
-
「今さら?これから始めてモノになるの?」(ビデオレターのご感想から)
ビデオレターの課題を続々と送っていただいていますので、 一部になりますが、少しず …
-
-
この子、「化ける」かもしれません。
歌が本格的にお仕事になる前、 CMや映画などの音楽プロデューサーのアシスタントを …
-
-
準備せよ。そして待て。
道が開けないとき。 ツキがやってこないと感じるとき。 過小評価されていると思える …
-
-
死ぬかと思うくらい馬鹿なこと、いくつやるか。
MTL12でお世話になったシンフォニーサロン(昨年9月閉館)のHPに、 私のイン …
-
-
「うまくなる」の無限ループ
執筆を開始して、早半年あまり。 20万字くらい書いて、半分くらい直して・・・ な …
-
-
文化は「オタク」と「変態」、そして「ドM」がつくる
忙しがる人は好きじゃないのですが、 最近、自分もそんな、自分が好きじゃない類の人 …
- PREV
- 「情報過多」なのではなく、「思考過多」。
- NEXT
- 「目」にパワーを宿す