大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「じっくり聴けない人」の3つの言い訳

      2016/09/30

歌の上達のポイントは、音源をじっくり聴いて、
そこから可能な限り、たくさんの情報を盗み取ること。

少し前に書いた、
『ヴォーカリストこそ、もっと、ちゃんと「聴く」!』でも触れました。

 

実際に歌うのは、それからです。

 

もちろん、どんなに一所懸命聞いても、
最初は、何を聞いたらいいのか、
どこを盗んだらいいのか、
なかなかわからないものですが、

集中して聞いて、何度もマネして、録音して、
自分の歌と、オリジナルを聞き比べて、
修正して・・・と繰り返していくと、
どんどん自分の中に取り込まれる情報量が多くなっていくものです。

こうやって練習して、うまくならないわけがない。
シンプルで、今すぐにでも実行できること・・・・なはずなのですが・・・

 

 

この「じっくり聞く」ことが、
苦手な人が意外なほどたくさんいるということに、
最近になって気がつきました。

 

今日は、『じっくり聴けない人の3つの言い訳』をお届けします。

 

まず1つめは、おなじみの、「すぐ一緒に歌いたくなる」があります。

時々、レッスンでも出会うのですが、

私がお手本を聞かせようと、
「こんな感じね」と歌いはじめると、いきなり一緒に歌い出す。

もちろん、うっかり一緒に歌い出してしまって、
おっとと、すぐに歌うのをやめる子が大半ですが、

何度やっても、私が1小節も歌わないうちに、
いきなり一緒に歌い出すという子に、一定の割合で出会います。

 

理由はおそらく、
・なんし、歌いたい!
・お手本聞くより、自分が歌った方がわかると思っている
・そもそも、こちらが歌っていることに気づいていない

などなのでしょうが、

これには、教えている方としては、なかなかイラッとするので、
「聞いてて!」とくっきり言ってしまいます。

 

聴けない人は上達しません。
これ、鉄則です。

 

2つめは、「音源が鳴り出すと、気持ちよくなってしまう」があります。

じっくり聞こうと思って音源をかけるのだけど、

ついついイントロが鳴り出すと盛り上がって、
気がつくと一緒にカラダを動かしたり、
口をぱくぱくさせてしまう・・・

 

音楽を聞くと、脳は快楽物質を出すと言いますから、
ある程度は、仕方ないとはいえ、
これでは、何回聞いても、肝心な歌の細部は、
頭どころか耳にも入ってきません。

学ぼう、練習しようと思うときに、
気持ちよくなっちゃいけないんですね。

あくまでも、クールにお願いします。

 

そして3つめ。
「つい、他のことを考えてしまう」があります。
まさか、と思うでしょうか?

実は、じっくりひとつのことに集中できない人は
びっくりするほどたくさんいます。

音を聞き出すと、思わず、「ついでに」メールをチェックしてしまう。

歌詞カードの汚れが気になる。

「そういえば、○○しなくちゃ」、と思う。

 

これでは、何回聞いても、音は頭に入ってきません。

 

聴くべき音に全神経を集中する。

集中は習慣です。
気が散る自分を許していては、絶対直りません。

 

いかがでしょうか?

思い当たる節はありませんか?
どれも、心がけ次第、気の持ちようで変えられることばかりです。

ここらで、じっくり、ちゃんと、音源を聞いてみませんか?

37257801 - young man in suit is listening music in headphone in office.

 

 - 「イマイチ」脱却!練習法&学習法

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


  関連記事

人前に立つ前の「MUST DO!」〜ビジュアル・チェック編〜

昨日のブログ、人前に立つ前の「MUST DO!」〜ムービー/チェック編〜の続編で …

「ピッチが悪い!」を直すロジカルシンキング

「ピッチが悪い!」 年間通して、いや、1週間に、 このことばを、何回口にするでし …

ネックの曲がったギター vs. 姿勢の悪いヴォーカリスト

姿勢やフォームが悪いヴォーカリストは、 ネックの曲がったギターに例えるのがもっと …

練習するのは、全てを忘れるため

「テクニックなんかどうでもいいんですよ、歌は。」 ピッチだ、リズムだ、表現力だと …

歌の学校やレッスンに通う 5つのメリット

「そもそも、音楽やるのに、 なんで学校なんか行く必要があるわけ? 自分の問題なん …

がんばれないのは「ご褒美設定」がうまく行っていないから。

誰だって、がんばってもがんばっても、なんのご褒美のない、 不毛な努力はできないも …

「最後に頼りになるのは自分の耳!」って、言いたい。

世の中には、耳のいい人というのはいるものです。   バンドがどんがらが …

「声質なんか似ないでしょ?」〜歌の完コピ〜

私のプロフィールに書かれている「300曲以上完コピした」を読んで、 「結構、盛っ …

「じゃ、”ハモる”って、どうするの?」コーラス上達法②

さて、昨日の投稿『きみ、ホントに、よくプロになれたよねぇ。』②でも、 紹介したと …

「ツボ」をはずした練習は、単なる自己満足であり、時間の無駄。

実は私、とっても足が遅いのです。   いきなり、しかもB面で何を言い出 …