「最後に頼りになるのは自分の耳!」って、言いたい。
世の中には、耳のいい人というのはいるものです。
バンドがどんがらがらがっちゃ〜ん、みたいな音量で演奏しているのに、
「え〜と、30小節目のギターとキーボード、ぶつかっているんだけど」とか、
「ギターの3弦のチューニングが気持ち悪いから」とか、瞬時にわかっちゃう人。
私自身、本格的に楽器をはじめたのは中学になってから。
高校生になるまで、「聴音」ということばすら知らなかったくらいですから、
ある程度の相対音感が身につくまでは、相当苦労しました。
ですので、耳のいい人は、いまだにちょっと怖い。
絶対音感の人には、コンプレックスすら感じます。
絶対音感とは、コップをチーンってしただけで、
「あ、A♭だね。」な〜んて音の高さがわかってしまう人。
会話が音符で聞こえるという人もいます。
絶対音感に関しては、生まれつき説や、
2~3才頃の英才教育説など、あるようですが、
どちらにしても、ある程度の年齢を越えたら、
脳の性質上、どんなに努力をしても身につけるのは無理、といわれています。
この絶対音感があるかないかで、
有利不利の差が歴然と出る楽器もあると言われていますし、
楽器をつかわずにすらすら譜面が書けたり、
音を瞬時に聞き取れたりと、持っていると何かと便利なもの。
絶対音感の人たちは、音楽の世界ではエリートに属するといえます。
じゃあ、「耳の負け組」は、音楽家としても負け組になってしまうのか・・・?
というと、意外に、そうでもないようです。
学生時代のバンド仲間に、
「あの人は絶対音だから」と噂されていたヴォーカリストがいましたが、
ピッチも歌自体もものすごく残念なのに驚いたことがあります。
また、とあるソロヴォーカリストが大勢出演するイベントのリハーサルで、
バンドがキーを変えているのに気づかず、
自分1人「譜面通り」の音で歌っちゃったという、
超ツワモノ「絶対音」歌手にあったこともあります。
「ヴォーカリストに絶対音は邪魔なだけ」ときっぱりと言い切る、
絶対音感を持ったミュージシャンもいました。
実際、クラシックの世界のことなどはわかりませんが、
少なくとも、ポップス、ロックの世界では、
絶対音感の人は、やはり珍しい。
絶対音感があるということと、
よいシンガー、よいプレイヤーであるということは、
イコールではないようです。
もちろん、持って生まれた才能ですから、
絶対音感の方には、どんどんその才能を生かしていただきたいし、
恩恵にあずかってもらいたいと思いますが、
なによりも、大事なのは相対音感。
そして、自分自身のプレイの精度をジャッジする耳。
これらは、学習速度の差こそあれ、
訓練すればいくらでも鍛えられるはず。
めげず、くさらず、地道にがんばりましょうね。
こちらの記事も参考にどうぞ。
『音楽家なら必ず鍛えたい「耳」のお話』
関連記事
-
-
「とにかくやる」
「やりたくないときほど練習をすると、やってよかったと思えるわよ」 …
-
-
やっぱ、最後はエネルギー。
歌の指導をしていく中で、 心がけているのが、 感覚的な説明に終始したり、 精神論 …
-
-
苦手な「リズム感」や「タイム感」を徹底的に磨く3つのポイント
「リズムが悪い」「タイム感が悪い」と自覚している人や、 「自覚はないけど、人にそ …
-
-
歌がうまくなる“地獄聴き”のススメ
歌がうまくなりたくて、がんばっているのに──どうにも伸び悩んでいる気がする──。 …
-
-
バンドとカラオケは全然違うっ!
カラオケ育ちの若者たちは、バンド内のコミュニケーションが実に苦手です。 &nbs …
-
-
リズムの「点」に意識を向ける
リズムのある音楽には、必ず「点」がある。 これが、私の解釈です。 …
-
-
1つの曲に含まれる驚くべき情報量
「普段、どんな音楽を聴いているんですか? やっぱり、レコードとか、CDとか、たく …
-
-
オリジナリティは模倣から生まれる
オリジナリティって、どんなことをいうのだろう・・・? そんなことを考えています。 …
-
-
「本を読もう!」
「本読んでる?」 なんだか国語が通じないなぁ、と感じる生徒に出会うと、 思わず言 …
-
-
で、「グルーヴ」ってなんなん?
「あいつのプレイ、グルーヴしてないんだよね」 「もっとグルーヴ感じて歌わないと〜 …
- PREV
- 「ひどいことを言われた」と感じたときこそがチャンス
- NEXT
- 「あ!あれね」

