大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

頂点のその上って、どこなんだろう?

   

「ちょっと成功すると、みんな、そこで満足してしまう。
それで、ちょっとずつ失速してしまう。

本当に難しいのは、そこからさらに上にいくこと。
成功や栄光を忘れて、学校に戻って生徒になるように、
素直な気持ちで自分を磨き続けること。」

 

昨年公開になった、
『ロパートキナ 孤高の白鳥』と言う映画の中で、
伝説のバレリーナと言われる、
ウリヤーナ・ロパートキナが、そんなことを言っていました。

世界最高峰のバレエ団として名高い、
ロシアのマリインスキー・ バレエで20年以上もプリンシパルを務めるという彼女。

 

バレエがよくわかるわけではないのだけれど、
折りに触れ、バレエ映画などを見ては、
生まれ変わったらバレリーナになりたい。。。とため息をつく私。

美しいと思うバレリーナは今までたくさん見たけれど、

ロパートキナの踊りときたら、もう、それはそれは完璧。

無駄な感情表現や、
余計なアイデンティティをそぎ落として、

ポーズのひとつひとつが「完璧な型」なのに、
たまらなく、深い深い感情や役への想いが伝わってくる。

 

1ミリの隙もない「完璧な型」を再現することが、
人間にとって、どれだけ過酷なことか。

ほんの数分間の踊りに、
どれだけの美意識、プロ意識、
研究と探求、
そして、血のにじむような努力があるか。

 

世界の頂点に立つということは、けして妥協しないこと。

もっともっとと高みを目差し続けて行くこと。

一瞬たりとも、満足してはいけないということ。

 

レベルこそ違え、

プロというものは、
どんなときも、試されているものなのだと、
深く考えさせられた映画でした。
まだまだだな。。。
と、ひとりごと。

*ちなみに写真はロパートキナとは無関係です。
是非、映画を見てくださいね。

8465514 - chengdu - december 24: russian royal ballet perform swan lake ballet at jinsha theater december 24, 2008 in chengdu, china.

不定期メール・マガジン『声出して行こうっ!me.』
明日発行します。
ご登録はこちらから。
(システムの不具合でしばらく登録ができなくなっていたようです。再度お試しくださいね!)

 - The プロフェッショナル

  関連記事

好きで、得意で、何時間でもできることだけをがんばる。

かつては、何でもかんでも自分でやらなくちゃ気がすまない、 とりあえず、まずは自分 …

プロ、セミプロ、セミアマ?ミュージシャンの働き方

高校時代、一緒にバンドをやっていた仲間のひとりに、 フリーターをしながら、あちこ …

「欲しい本が見つからなかったら、自分で書け」

「わからないこと、困ったことがあったら本屋に行け。 世の中には、自分と同じことで …

「与えるチカラ」と「欲しがるチカラ」のパワーバランス

音楽は人に感動やエネルギーを与えるもの。   音楽家であれば、誰もが多 …

最後に「正解」を決めるのは誰だ?

とあるレコーディング現場でのことです。   ブースに入って、ソロプレイ …

期待にこたえるだけじゃダメなんだ。

「期待にこたえるだけじゃダメなんだ。 いい意味で期待を裏切り続けなくちゃダメなん …

「落としどころ」か?「限界突破」か?

完璧主義というほどではないですが、私はなにかと採点が辛いようで、 生徒やクライア …

口コミで仕事がくる人の秘密の習慣

音楽業界のような、入れ替わりの激しい、熾烈な場所で、 私のようなヴォーカリストが …

ヴォーカリスト必読!マイクとモニターの超絶役に立つお話!!!〜前編〜

昨夜のブログ、そしてメルマガにて、モニターやマイクのお話を書いたところ、 なんと …

「そういう素人臭いのじゃなくて、ちゃんとフレーズ歌って!」

「声くださ〜い」   音楽の現場に長くいるので、 この「声ください」と …