大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「学校なんかいくら通ったって、 人を感動させられる歌なんか歌えるようにならないだろ?」

   

音楽やりたい、バンドやりたい、と思った瞬間を覚えているでしょうか?
お兄ちゃんがギターを弾いていて、カッコいいなと思った。

あるアーティストの音楽雑誌の写真に、ドキドキした。

音楽番組を夢中で見るうちに、自分も無性にバンドをやってみたくなった。

 

・・・などなど。

 

人の数だけ、音楽をはじめたストーリーがあります。

 

しかし、どんなストーリーにも、その背景に、
必ず、ワクワク、ドキドキ、ドッカ〜ンという自分の感情の動きがある。

 

音楽は、人の心を動かすもの。
人の心を動かせなければ、
どんなにテクニック的に優れていようと、
どんなにサウンドが凝り倒していようと、
どんなに予算がかかっていようと、

やっぱりダメなんです。

 

 

反対に、

ピッチやリズムがボロボロだって、
発声がてんでなってなくたって、
オケも録音もしょぼしょぼだって、

人を感動させる音楽は、山ほどある。

 

 

上手くなる必要なんか、だったら、ないじゃん?

 

・・・じゃあ、なんで、私は練習するんだろう?

 

 

 

そんなジレンマを抱いていた大学生の頃、

 

たまたま食事で同席した初老の男性に、こんなことを言われました。

「歌は心だろ?
学校なんか通っていっくら勉強したって、
人を感動させられる歌なんか歌えるようにならないだろ?」

 

その時に、とっさに口をついて出た答えが、
今も私を引っ張っています。

「伝えたい思いがたくさんあって、
表現したいことがたくさんあって、

でも、ことばがなければ、

私はただ泣くしかない。

ただ笑うしかない。

音楽の表現方法を学ぶって言うことは、
自分の思いをきちんと届けるためのことばを手に入れること。

いつも、表現したいことが、
ちょっとだけ自分の表現できる能力を上回っていられるように、

だから、私は、技術と、

自分という人間の両方を、

磨いて行きたいと考えているんです。」

 

 

来る日も、来る日も、
少しでも多くの人に、
もっともっと短時間で学べる、
もっともっと効果的なヴォイストレーニングを提供するには、
どうしたらいいかと考えている日々です。

 

ときどき、なにやってるんだろうと、
自信を失いそうになることだってあるけど。

 

本当のゴールは、ヴォイトレの先にある。

そのゴールまでの道筋を、照らせる光になれたらいいな。。。

 

そして、自分自身も、
音楽と出会ったときの喜びや、
ヴォーカリストとしてのゴールを、
どんなときも忘れずにいたいな。

 

そんな風に思う、日曜日です。

 

23426963 - beautiful woman in tense black and white light listening to music

 

メール・マガジン『声出して行こうっ!me.』
ご登録はこちらから。

 

 - プロへの突破口, ヴォイストレーナーという仕事

  関連記事

「練習」とは「工夫すること」

楽器や歌を習得したい。上達したい。   しかし、実際、何からはじめたら …

そのボイトレで本当にいいんですか?

かつて某大手プロダクションの新人育成を任された時のことです。 レッスンにやってき …

先生たるもの、いつだって「文句あるかい!?」くらい、気合いを入れて立ち向かわなくてはいけません。

世の中の「先生」と呼ばれる人や「学者」と呼ばれる人たちにも、 やっぱりパワーゲー …

Never say Never! 「できない」って言うなっ!

「あなたはコーラス向いてないから、やめといた方がいいわ」 「君は声出さないで、口 …

人は、人を「育てる」ことはできない。

レッスンを担当しているシンガーたちが、 ぐんぐん成長していく姿を見るのは、誰だっ …

「プロの理想」を押しつけちゃいかんのだ。

その昔、一緒に曲をつくるためよく入り浸っていた友人のギターリスト・K氏の家には、 …

聞いてもらう。

「とりあえずデモをつくれ!」というのが、 昨日のメッセージでした。 行動しないこ …

よどみなく、 迷いなく、 明確に。

「先生」と呼ばれる立場になって、 しみじみ、「先生」というもののあり方を考えるよ …

それで、いい声、出せますか?

先日、とある生徒さんのレッスンをしていた時のこと。 ずいぶん小柄な彼女なのに、 …

no image
話を聞かない生徒 話をさせない先生

「これは、こんな風に歌うのよ」と、 お手本を聴かせるためにこちらが歌い出した瞬間 …