「今に見ていろこのヤロー」
フリーターで、アマチュアで、
仕事もお金も彼氏もなくて、
地を這うどころか、
地面にめり込むような自己嫌悪と自己評価の低さで、
もう音楽やめてやる。
あー、どうせあたしなんか、ごにょごにょごにょ。。。
と、毎日、下ばかり向いて歩いていた20代はじめの頃。
全国ツアーのサポートのお仕事が決まって、
ちょっとだけいい気になって、
旅先で、スタッフさんやファンの方たちにちやほやされて、
また、いい気になって。
これで自己嫌悪の日々とお別れできるのかと、
密かな期待を抱いたのもつかの間。
それまで死にものぐるいで追いかけてきた、
音楽とは無縁の「ギョーカイ」で、
あまりの仕事のできなさと、
ギョーカイ慣れしていない垢抜けなさで、
メンバーからのいじめにあい、
ツアーが進行するにしたがって、どんどん心が荒んで、
ちょっとだけ上昇傾向だった自己評価は、
仕事をはじめた頃よりもずっと低くなりました。
それからも、
別のツアーのお仕事をいただいて、
全国で楽しい思いをしたり、
ちょっと有名な方たちと一緒に仕事したり、
ちょこっとテレビに映ったり、
そのたびに、ちょこっといい気になっては、
やがて、仕事がふいっと来なくなって、
またお金がなくなって、
誰からもちやほやされなくなって・・・
あぁ、あれは単なる打ち上げ花火のような幻想だったと、
我に返ることの繰り返し。
外部からもたらされるものは、
単なる縁や運やなりゆきであって、
本当の意味での自己評価をあげてくれるものではない。
そんな風に考えるようになりました。
本当に自己評価をあげてくれるのは、
自分の力で手に入れたものだけ。
どんな些細なこと、くだらないことでも、
勇気を振り絞って前進し、
自分自身で手に入れたものは、
絶対に自分を裏切らない。
例えば、ルックスが地味だからと、
いじめられたり、
軽んじられたりしたとして、
どーせあたしなんかと、
落ち込んで、世をすねて、
そんなことを問題にされるような世界に背を向けて、
逃げ出すか。
それとも、「今に見ていろこのヤロー」と、
ダイエットをして、
ジムに通って、
足を踏み入れるのも勇気のいるような美容院に飛び込んで、
絶対に似合わないと決めていたような髪型に挑戦して、
気後れするほどお洒落なお店で、
試着するのも照れくさいような派手な服を買って、
失敗して、後悔して、
それでも挑戦して、
そうやって1ミリずつ、
無理して、背伸びして、自分を変えていくか。
本を読んで、
英語を勉強して、
歌を1曲1曲練習して、
自己嫌悪と戦いながら、
1コーラス、1フレーズ、
自分の曲を書き続けて、
会える人にはどんどん会って、
会えない人にも、
なんとか会える道をこじ開けて会いに行って、
そうやって、地味に、どろくさく、
てんでかっこ悪く、
砂を噛むような思いで手に入れたものは、
絶対に自分を裏切りません。
やがて、自己評価と他人の評価のバランスが、
少しずつ取れるようになって、
はじめて、本物の自信を手に入れることができる。
そうして手に入れた自信こそが一生の宝。
誰になんと思われようと、
影でなんと言われようと、
知ったこっちゃありません。
自分で手に入れた経験と自信は、
誰にも奪うことはできません。
時間がかかることを恐れない。
他人の評価に振り回されない。
空っぽのプライドにしがみつかない。
たとえ1ミリでも、自分の力で前進できるよう、
今日も心して生きるのです。
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