大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「いいもの」と「売れるもの」はイコールではない!?

      2015/12/20

「どんな仕事でも、結局、営業力だ。」
という意味の言葉を聞いたことがあります。

業種はなんであれ、営業経験があって、
そこである程度結果を残してきた人は、
どんな仕事についても、うまくやっていける、というのです。

「いいものを作ることが、何より大切」と考えがちな
根っからのクリエイター気質の人には、ちょっと耳の痛い話です。

もちろん、「どんなにテキトーなものでも、売れたら勝ち!」などと、
言うつもりはありません。
粗悪品は、所詮、粗悪品。
たとえ一時的に売れたとしても、あっという間に飽きられたり、
悪い評判が立ったり。いいことはひとつもありません。

つくる人間たちが、心から納得できるものであることは、
もちろん、絶対条件です。

その上で、「営業力」を発揮できるかどうかが、問われるわけです。

ヴァン・ゴッホの場合、生きているうちに売れた絵はたったの一枚。
有名になったのは、自殺をした後のことだそうです。
どんなに後生の芸術に影響を与えたと騒がれても、
死んでからでは、なにひとつ嬉しくありません。
(少なくとも私はそう思います)

売るためにはどうしたらいいか。
売れるものをつくるにはどうしたらいいか。

つまり、いわゆるポップアートやポップミュージックの世界では、
それも必要な発想のようです。

「本を売る努力は、本を書く努力の何倍も必要だ」
と言ったのはベストセラー作家の勝間和代さん。

“Real artist ships”と言ったのはスティーブジョブズ。

有名人であることをこよなく愛し、
有名人であり続けようとつとめたアンディ・ウォーホル。

「デビュー当時は、何が売れるか、手に取るようにわかった」
と言ったのはB’Zの松本孝弘さん。

社会の事情はあきらかに、刻一刻と移り変わっていて、
自分自身の露出を努力次第で増やせる世の中になってきました。
情報収集も容易になり、「売る」という道筋を描きやすくなった、
とも言えるかもしれません。

とはいえ、正解は人の数だけあります。

そんな風に考える人もいる。
そんな考え方もある。

知った上で、自分は何をするか。
または、何をしないかを選択していくことも必要ですね。

3405909_s

 - The プロフェッショナル

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


  関連記事

歌詞カードを丸暗記するより大切なこと。

本番直前になると、こういうブログを書いていることを、心の底から後悔します。 &n …

no image
戦略的に自分というブランドを作る

この数年、ビジネスというアウェイなフィールドでたくさんの方に出会ったり、 いろい …

「自分の音域を知らない」なんて、意味わからないわけです。

プロのヴォーカリストというのに、 「音域はどこからどこまで?」 という質問に答え …

未体験ゾーンの扉を開く!〜生配信ライブを体験しました〜

長いことひとつの世界で仕事をしていると、 「未経験」なことと縁遠くなります。 特 …

人前に立つ前の「MUST DO!」〜ビジュアル・チェック編〜

昨日のブログ、人前に立つ前の「MUST DO!」〜ムービー/チェック編〜の続編で …

最後に「正解」を決めるのは誰だ?

とあるレコーディング現場でのことです。   ブースに入って、ソロプレイ …

「テキトー」を「見る価値のある演奏」にする達人の技

音楽は実に奥が深いもの。 クラシックのように、 きっちりとフルにアレンジされた曲 …

『あなたはどれ?ミュージシャン 4つのタイプ』

長きにわたり、さまざまなミュージシャンと交流する中で、 ミュージシャン、音楽を志 …

口コミしたくなる仕事をするのだ

ミュージシャンでも、著者でも、セミナー講師でも、 フリーランスとして仕事をする人 …

「歌の練習」って、なにしたらいいんですか?

「練習って、なにしたらいいんですか? MISUMIさんは、なにしてるんですか?」 …