「教える者」であるということ
2015/06/26
学生時代。
先生が生徒をジャッジするより、
生徒が先生をジャッジすることの方が圧倒的に多かった気がします。
そして、その鋭い、本能的な観察眼は、
「先生」たちの本質をちゃんと見抜けていた。
何十年も経って、当時の恩師に、
その同僚であった先生方との思い出話を聞く機会があって、
そう確信しました。
生徒たちが先生を見る目、先生方から感じ取る印象は、
おとなが期待するよりも、ずっと確かです。
それは、時には、やりたくない宿題を出されたり、
盛り上がりすぎて叱られたりして、ふてくされて、
「あいつ、最悪」と言ってしまうこともあるでしょう。
年齢問わず、誰にでもあるように、
人間として相性があわないということもあるでしょう。
しかし、心の中で、本能的に感じ取る下記のような印象に、
大きな狂いや間違いはありません。
・この人は、生徒のためを思って話しているのか、
それとも、自分の保身や人気取りのために話しているのか。
・この人は、生徒にアドバイスをくれようとしているのか、
それとも、生徒を服従させよう、または洗脳しようとしているのか。
・この人は、自分の知っていることを最大限わかりやすく、
平易に説明しようとしてくれているのか、
それとも、自分のわからないことを悟られないように、
難しい話題を避けているのか。
・この人は、自分に興味を持って、さまざまな質問をしてくれるのか、
それとも、時間つぶしで世間話をしようとしているのか。
・そもそも、この人は、
心から人にものを教えることが好きでこの仕事をしているのか、
それとも、「先生にでもなるか」「食ってくには先生しかないか」
の「でもしか先生」なのか。
中高大の学生生活、
そして、いくつか通ったお稽古事を通じて、
自分の人生にまで影響を与えてくれた優れた先生は、
申し訳ないけれど、本当に少なかったと感じています。
そして、そんな生意気な学生だったからこそ、
今現在、毎日のように「先生」としての自分自身を俯瞰しては、
時に反省し、
時に志を新たにするのです。
今日は本気で生徒たちと向き合えたか?
全力を出せたか?
疲れていなかったか?
「慣れ」や「習慣」でアドバイスをしなかったか?
少しでも、ひとつでも、生徒たちのためになることばを言えたか?
難しいことを回避して、自分に責任が降りかからないようにしなかったか?
ウソをついたり、知ったかぶりはしなかったか?
誰かの悪口や陰口になるようなことばを言わなかったか?
体面やプライドのために、生徒をねじ伏せようとしなかったか?
生徒たちの気持ちより、自分自身の感情を優先しなかったか?
トレーナーとして教えはじめて15年。
長年教えてきた生徒たちは、
気がつけば、どんどん成長して、業界で活躍したり、
立派な社会人としての生活を送るようになりました。
そんな彼らの活躍をSNSで目にしては、
また、折りに触れ、彼ら自身から学生時代の話などを聞いては、
人を指導する人間の責任、その重さというものを、痛感しています。
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