「自分の声は変えられますか?」
「自分の声は変えられますか?」
異業種交流会のような場で、
名刺を出して、私の仕事を告げたとき、
もっともよくされる質問のひとつです。
ボーカリストというわけでもないのに、
自分の声にコンプレックスを持っている人って、
こんなにもいるのだと、知るきっかけになりました。
自分の声は変えられるか?
この質問の前提には、
「自分の声があまり気に入っていない」という気持ちがあります。
自分の声が好きに決まっているビヨンセや福山雅治が
そんな質問をするとは思えませんね。
あまり気に入らないから変えたいと思っている自分の声。
実は、ここで大事なのは、
そもそも、自分の声を知っているか?ってことなのです。
人は自分の容姿が気に入らないとき、
その理由をちゃんと知っています。
太りすぎている、痩せすぎている、
目が一重、つり目、垂れ目、
鼻が低い、丸い、とんがりすぎ、
背が低い、背が高すぎる、お尻がたれている、
胸がない、胸が大きすぎる・・・などなど、
自分の容姿の改善ポイントは、
最低でも10個くらいは誰でも詳細に説明できるでしょう。
だからダイエットをしようとか、アイプチしようとか、
シークレットブーツ履こうとか、
ちょっと猫背で歩こうとか、
そういう対応が可能なわけです。
でも、自分の声の何をどういう風に変えたいか、
長年自分の声と向き合い続けている声のプロでもない限り、
具体的に説明できる人はほとんどいません。
自分の本来の声や、その声の可能性を知らないのです。
それでは、カードゲームで、
自分の持っているカードが何であるかも知らないくせに、
いきなり「全取っ替え」する子どもと代わりません。
知らないものを気に入らないという。
気に入らないから、変えたいという。
違う違う。違います。
まずは、自分が持って生まれたすばらしい声に気づいてください。
その可能性を最大限に引き出しましょう。
難しいことはない。
まず、「もしかして、意外にいい声だったりして・・・」
と思うだけで、声の可能性は花開きはじめます。
自分の声に耳をすましてください。
声を発しているときのカラダの状態を感じてください。
自分の声の可能性を知ったら、変えたいなんて思うより、
それを引き出すことのおもしろさに夢中になりますよ。
関連記事
-
-
「仕事に困らないミュージシャン」の3つの特性
仕事がなくなると、景気だの、時代だのと世の中のせいにしたがるのは、 ミュージシャ …
-
-
Obsession〜頭にこびりついて離れないもの〜
プロとアマチュアの分岐点はどこにあるんでしょう? 何かが好きで、夢中になることは …
-
-
ことはじめは手帳と日記を書くことから
遅ればせながら、新年おめでとうございます。 ことはじめは1年の目標、ゴール、おお …
-
-
まずは母音の発音をチェックする
子音の発音は歯を使ったり、舌を使ったり、 結構難しいけど、母音は誰でも簡単に発音 …
-
-
言い訳のない歌を歌う~Singer’s Tips #24~
「今日はちょっと調子悪くて」 「最近ちょっと歌えてなかったから」 「自分、まだま …
-
-
プロフェッショナルには「覚悟」がある
高校時代から、たくさんの音楽仲間にめぐまれました。 みんな音楽が大好きで、 寝て …
-
-
「おかあさん声」の主は・・・
昨日、近くのストアにお買い物に行ったときのとこです。 商品に見入る私の横で、親子 …
-
-
反面教師という大切な存在
「こんなピッチの悪い歌をわざわざ持ってきて、人に聴いてくださいって言える神経がわ …
-
-
結果を出すことの意味
音楽の仕事をはじめて、徹底的にたたき込まれたのは、 「この業界、努力賞はないから …
-
-
孤独を怖れず、自分自身と向き合う。
あっという間に4月。 音大の新学期が始まりました。 キラキラと目を輝かせている新 …
- PREV
- 発声のためのベスト・バランス
- NEXT
- Obsession〜頭にこびりついて離れないもの〜