「答えは本の中にある」。きっと。
「わからないことがあったら本屋へ行け」
父が教えてくれたことです。
「世界中これだけ人間がいれば、自分と同じ悩みや疑問を持つやつが必ずいる。
長い歴史の中で、その答えをみつけたやつが必ずいる。
たいがいの答えは本屋で見つかるよ、MISUMI。」
そして、最後にこう言いました。
「どこを探しても、自分の求めている答えが見つからなかったら、
そんときはお前がその本を書け。
それはひとつの発見だぞ。」
歌い続ける中で、歌に対する疑問や、声に関する疑問がたくさん生まれ、
その度に、本屋の店先に立ちました。
しかし、探索は、けして容易ではありませんでした。
探しても、探してもなかなか答えが見つからず、
ひとつ、またひとつと、さまざまな本の中から見つけたヒントを
自分なりに組み合わせて、試行錯誤して、
ちょっとずつ、前に進んできました。
そして、そのヒントの多くは、ボイトレの本ではなく、
健康の本や、科学関係の本、自己啓発系の本の中で見つけたことでした。
声や歌を教えていこうと決意したきっかけは、
そうやって私が拾い集めてきた答えを、ただ知らないだけでなく、
その答えを探す努力も、いや、そもそもの疑問を持つこともないトレーナーが、
信じられないほど多いと知ったこと。
そうしたトレーナーにつくことで、
時間とお金と若さを無駄にしてしまう不幸な若者が
あまりにも多いと知ったからでもありました。
根性論も、精神論も、感情論も、
「私のマネをすればいいのよ」という経験論や、ある種の洗脳も、
科学や解剖学や物理学という、オタッキーなうんちくも、
クラシックのお行儀のよい発声も、
それぞれ一理ありますが、
それだけでは十分ではありません。
発声のメカニズムは非常にシンプルで、こどもでも理解できることです。
そして、そのメカニズムを正確に、過不足なく学ぶだけで、
発声効率はぐんとアップします。
また、声に関するいくつかの知識を持つだけで、
声感度は高まり、声がいきなり魅力的に変わったりもします。
歌う技術は、そんな、日常の発声の先にあるのです。
だからこそ、声のリテラシーを広めたい。
いつか、声に悩んで、本屋の店先に立つ人のために、
私が答えを用意したい。
そんな思いで、毎日のように、
文章を綴ったり、教材を試行錯誤しながら作ったりしているのです。
関連記事
-
-
結果を出すことの意味
音楽の仕事をはじめて、徹底的にたたき込まれたのは、 「この業界、努力賞はないから …
-
-
雑念チェーンをぶった切る!
練習や課題に集中できないとき、どうしていますか? 凡人には雑念がつきものです。 …
-
-
ピッチの悪い歌が致命的な理由
音楽はピッチ(音の高さ)という概念があるから成立するもの。 どんなにリズム感がよ …
-
-
ボイストレーナーになるということ
先日、知人のライブを見に行ったときのことです。 ひとり、ライブ開始を待っていると …
-
-
限りなく「百発百中」を目差す
プロとアマチュアの圧倒的な違いは、 そのパフォーマンスに対する信頼度です。 人間 …
-
-
変声期後の、いわゆる「音痴」をなおす方法
さて、昨日は変声期とはどういうものかについて書き、 興味深い資料のリンクをご紹介 …
-
-
安定したパフォーマンスのカギは「微調整」
「自分、毎日同じようにストレッチして、声出しするんすけど、 なっかなか思ったよう …
-
-
疑問、質問、聞きたい話、ありますか?
脳内にどんどんわき上がってくる、ことばの断捨離の目的で、 ブログを可能な限り毎日 …
-
-
上達のキーワードは「イメージ力」
歌は、誰かに教われば上達するというものではありません。 もし、有能なトレーナーに …
-
-
風邪のサインを見逃すな!
以前、『風邪をひいたら歌っちゃだめなんです』 という記事に書いたように、 レッス …
- PREV
- 「おかあさん声」の主は・・・
- NEXT
- 夢のチカラ