大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

声が不調な時に自分にする12の質問

      2016/10/27

「なんか、ここ1ヶ月くらい、ノドの調子が悪くって、声がよく出ないんです。
練習しても全然うまく行かなくって、すごく落ち込んじゃって。」

昨日レッスンをした、あるアーティストのお話です。

「とにかくノドがいがいがするんで、もう龍角散が手放せない。」
「練習しても、練習しても、ノドが詰まる。」

レッスンをはじめて3〜4ヶ月ほど経つでしょうか。
どんどん調子が上がってきていただけに、真面目な彼女は気が気ではありません。
本当に落ち込んでいる様子です。

 

さて、ここで知っておいて欲しい大切なことは、

「声」を産んでくれるところの「ノド」は、
単体で存在しているのではないということです。
「ノド」はカラダの一部。
「声」の問題が起きたとき、「ノド」だけ見ていたのでは、
まさに木を見て森を見ずなのです。

 

今日は、こんなとき、私が行う典型的なヒアリングをご紹介します。

ノドが不調、なんとなく声や歌の調子が上がらない、
と言うときは参考にしてみてください。
1. 睡眠時間は足りている?

寝不足は声の大敵のみならず、健康の大敵です。
2. 熟睡できている?

心配事があったり、背骨周辺に緊張があったりすると、熟睡できません。
3. 心配事やストレスを感じていることはある?

ストレスが高じると、さまざまなところに不調が出ます。
ビタミン不足になりやすくなるという説もあります。
4.生理は順調?

女性の場合は、特に、ホルモンバランスが声に影響を与えます。
声帯まわりが充血するだけじゃなく、筋肉が硬直しやすくなったり、
むくんだりします。
5. アレルギーはないの?

この季節、特に、アレルギーによる不調が増えます。
「花粉症」の自覚のある人はいいのですが、
ポテンシャル・アレルギーというか、
知らないうちに、なんらかのアレルギーになっていることもあるようです。
症状もいろいろですね。
6. 肩こりはどう?

ノドの詰まりの原因の8〜9割は、肩こりや肩甲骨回りの緊張からきます。
酷い人は、触っても痛みを感じないくらい凝っています。
7. 頭痛とかないの?

緊張が高じて、偏頭痛が頻繁に起きているという人もいます。
こうなると、「声」以外に、もっともっと心配なことが出てきそうです。
8. 食事はきちんと取っている?

若者の中には、驚くほど酷い食生活を送っている子がいます。
「昨夜何食べたの?」と聞いたら、「エクレア」と答え、
私にどやしつけられて、3週間ほど、食事日記を提出させられたツワモノもいます。

カラダは食べるものがつくるのです。
9. お水は毎日どのくらい飲んでるの?

人間のカラダの65パーセントは水でできています。
お茶や乳製品、清涼飲料水ではなく、「水」です。
毎日適度な水を飲むことはMUSTです。
10. 目や口が乾くことない?

ノドがいがいがする、カサカサする、などの不調を訴える子は、
実は、カラダ全体が乾いていることが多いのです。
11. 胃腸の調子はどう?

胃腸の調子が悪いと、代謝ががくっと落ちます。
水分を摂ってもどんどん排泄されてしまう、という人もいます。
反対に詰まっていて、全身がむくんでいる、という人もいます。
12. 冷えはないの?

血行や代謝が悪ければ、当然全身の状態も上がりません。

いかがですか?
気になることはありましたか?

歌うのに適したコンディションは、
「今すぐ、100メートルダッシュできます!」っていうくらい、心身が充実した状態。

ノドや声が不調な時ほど、全身の状態をチェックして、
自分のカラダとのつきあい方を覚えていきたいものです。

19093788_s

明日のお昼ごろ発行のメルマガ、インサイドストーリーでは、
健康フェチといわれる私が試した、さまざまな健康法について書きます。

バックナンバーも読めますので、よろしければ是非こちらから登録してくださいね。

 - カラダとノドのお話

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

  関連記事

「真っ直ぐ立つ」が大切なんです。

「真っ直ぐ立つ。」 意外に難しいと感じる人が多いようです。 スタンディングのライ …

no image
ボイトレにストレッチって、必要ですか?

ボイトレをはじめると、必ずと言っていいほどやらされるのがストレッチです。 やれ「 …

体重計に乗っていますか?

先日亡くなった、お友達であり、ボイストレーナーの小島恵理さん。 ヤマハ音楽院のレ …

ビブラートのかけ方ぁ〜!?

ビブラートのかけ方などというものをはじめて意識したのは、 『これなら歌える!ボー …

飲み会で声を枯らさないための3つの知恵

感染者数はまだまだ多いとはいえ、 だんだんとコロナとの付き合い方に慣れて来た感の …

カツゼツッ!!!

普段はほとんど興味のないテレビですが、 さすがに昨今、 ニュースくらいは見ておか …

「フォームは乱れるもの」と心得る。~Singer’s Tips #1~

どんな名プレイヤーも、 長期間試合に出続けていると、 急に成績不振になったり、 …

カラダのコンディションに敏感になる

カラダの機能の不具合を感じること、ありますか? カラダが重い、頭の回転が鈍い、 …

「お腹は凹ますのか?突き出すのか?」問題について語ってみた

「歌うときは、おへその下10~15㎝下を少~しずつ凹ませましょう。 このとき、肋 …

音楽家なら、カラダの不調を「職業病」で片付けない 

演奏や歌唱はカラダをつかうお仕事ですから、 ミュージシャンはいわば肉体労働者。 …