大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

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ゴールは自分自身で選び取る

      2015/12/20

大学の新年度がはじまりました。

今日から門下の生徒の個人レッスンのスタート。
新1年生2名を含む、8名の学生に教えます。

初日なので、まずは、今年のゴール設定から。

それぞれが設定したゴールに向かっての道筋を、
ともに描いていくのが私のレッスンのスタイルです。

用意した鋳型にはめ込むのも、
勝手にこちらがレールを敷いて、ああせい、こうせいと言うのも、
私のスタイルではありません。

まずは、私というフィルターを通さずに、
自分自身への正しい問いかけと、答えを探してもらいます。

この作業、けして平坦ではない。
苦手、という子もいます。

どうしたらいいか、1から10まで教えてくれるレッスンを好む子もいるでしょう。

でもね。
自分のゴールは、自分にしか見えない。

もちろん、ゴールが音楽である必要はないのです。

たまたま、道の途中に音楽があっただけ、というのでも、もちろんいい。

違うキャリアを選ぶのに、言い訳はいらないし、
いまだゴールがみつからないのを恥じることもありません。

当分、遊びたいから、問いも答えも保留する、というのも、ありです。

実際、遊びにも勉強にもバイトにも集中できなかった生徒に、
「中途半端に遊んでいるから、いつまでも不完全燃焼なんだから、
思い切って何もかもほっぽり出して、
これ以上できないくらい、死ぬほど遊んでごらんなさい!」
と言い放ったこともあります。

(さすがに本人がビビって、却下になりました。
そして、以来、なぜか本人、とても真面目になりました・・・)

何よりも、自分の価値観で、自分の頭を使って、
自分の納得するゴールを設定すること。
これが、重要なんです。
私ができることは、これまで業界の内外で培ってきた経験や知恵、
情報などをできる限りシェアすること。

そして、さまざまなフィールドで、多くの素晴らしい人たちから学んだこと、
思いつく限りのヒントやアイディアも、どんどん投げます。

でも、最後に決めるのは自分。

失敗しても、途中で気が変わっても、後悔しても、
自分の頭で選んだことなら納得できる。

だからこそ、次に向かっていける。

与えられるだけじゃなく、そんなコミットメントを要求されるのが大学生なのです。
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昨年4月から、10ヶ月ほどの時間をかけて、
もうひとりの先生とともに制作した、テキストがいよいよ、
大学で使われることになりました。

編集作業はすべて私がPowerPointで行い、
手刷りでコピーし、部会の先生方が、愛を込めて綴じてくれ・・・
と、手作り感満載の愛しいテキスト。

間違い探しのチェック機能が完全に壊れている私の仕事らしく、
使用初日からすでにボロボロと校正ミスが見つかっていますが、
それでも、なんでも、形になったことはとっても嬉しく。

みんなに喜んでもらえるテキストであったらいいな。。。
そして、来年、再来年と、ひとりでも多くの先生方の意見を反映させて、
どんどん育って、本当のテキストに、なってくれたらいいな。。。

そんな風に思っています。

 - ヴォイストレーナーという仕事

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