マンツー vs. グループレッスン
「歌のレッスンはマンツーマンじゃなくちゃ」とは、
非常によく言われることです。
ひとりひとり、歌い方はみんな違うから。
10人いたら、教え方は10通り。
ダイナミックなスタイルで歌う子なら、
よさを伸ばしつつ、精度を高め、
緻密なテクニックを身につけさせる指導をする。
ポップなか弱い声が魅力の子なら、
か弱さの中に芯を育てたり、
独特な歌のニュアンスを共に構築したり。
目の前にレコーディングや、
コンサートツアー、メディア出演などが
差し迫っているアーティストたちならば、
本番に向け、
それぞれのスタイルやウリを最優先に、
曲の細部の歌い回しや声のニュアンス、
歌詞の表現方法までをもアドバイスし、
ベストオブベストを引き出します。
時に、デリケートな心身のケアに
心を配ることもあります。
アーティストの場合は、
プライバシーの問題もありますし、
レッスンはマンツーマン=プライベート・レッスン一択です。
しかし、歌の上達を目指すなら、
マンツーマンレッスンだけが
ベストな選択とは限りません。
歌を上達するためには、
自分で自分の歌をジャッジする能力の習得が不可欠です。
そのために大切なのは、
自分の歌を客観的に聴く能力を磨くことと、
基準を育てること。
自分と向き合ってくれる「先生」という存在ではなく、
一緒に学ぶ「同士たち」が自分の歌をどのように聞くのか。
どんな印象を持つのか。
「同士たち」は何を感じて、
どのように取り組んで、
どんな風に歌っているのか。
関わる人数が多いということは、
さまざまな情報が飛び交うということでもあります。
人が歌う曲を聞いて、新しいジャンルに目覚めることもある。
誰かの歌い方がカッコいいと感じて、マネしてみたくなることもある。
普段の練習方法や、練習時間、練習場所、メンバーの見つけ方、ライブの情報、ライブハウスの情報、スタジオの情報…etc.etc…
そんなたくさんの情報に刺激を受け、
ますます上達していくのです。
また、「人の目」が多いほど、緊張感は高まります。
自分自身を試すためにも、
実力を上げるためにも、
音楽におけるコミュニケーション力を養うためにも、
いつも自分に目線をあわせてくれる「先生」以外の存在を意識することは非常に有益です。
また、同じ道を志す仲間たちとの交流ほど、
高揚することはありません。
マンツーマンにせよ、グループにせよ、
問題は、
「明確なメソッドのないレッスンは、
部活動のようになってしまいがち」ということ。
毎週通って、先生や友だちと会って、
楽しい時間を過ごして・・・
というレッスンは、
趣味やサークル活動を求めていらっしゃる方には向いていますが、真剣に上達したい方には物足りないでしょう。
ロジカルで、体系化されたメソッドがあること。
クリアすべきゴールが明確にあること。
進行に応じて適確な課題を与えられること。
歌を志す人たちが本当に求めているのは、
「一生通うスクール」ではなく、
確実に結果を出せる、
「コンサルティング」であり「コンテンツ」。
若かりし頃の自分なら、
のどから手が出るように欲しがるであろう、
そんなメソッドを作っていきたい。
そんな風に考えています。
◆基礎力がないわけではないのに、歌の評価が上がらない。思うようにキャリアアップできない。ワンランク上の世界で認められない・・・。そんな悩みを抱えて歌に取り組んでいるシンガーのためのスーパー・ワークショップ“MTLネクスト”、始動。
◆第9期MTL12の日程が決定しました。
4月11日(土)、4月25日(土)、5月9日(土)、5月23日(土)、6月6日(土)、6月20日(土)
詳細は近日お知らせします!
◆メルマガの無料登録はこちらから。
関連記事
-
-
「フィルター」をぶっ壊せ
ティーンエイジャーの頃、 とにかくテレビに出ている「タレント」や「アイドル」 そ …
-
-
ちゃんと鳴らす~Singer’s Tips #33~
「ちゃんと鳴らす」というタイトルの記事は、 これまでも何度かアップしてきました。 …
-
-
うっそくっさいブランディングは、いい加減やめよう。
かつて業界では、 ミュージシャンでも、タレントでも、 デビューさせるにあたり、 …
-
-
「やるっ!」と決めた時から、旅ははじまっている。
「がまん」という言葉が嫌いです。 やりたいことこそ、やるべきことで、 やりたくな …
-
-
「完全無欠」を更新する。
「自分の頭の中にあることのすべてを文字化したい」などという、 イカれた考えに捕ら …
-
-
『この人、うまいの?』
『この人、うまいの?』 最近は滅多にありませんが、 母と一緒にライブやテレビなど …
-
-
歌っている自分を直視できない?
歌っているところを動画に撮る。 こんな宿題を出すことが多々あります。 自分を客観 …
-
-
プロを目指す人のためのボイス&ボーカルトレーナーという仕事
プロを目指す人のボイストレーナー、ボーカルトレーナーという仕事は、 山岳ガイドの …
-
-
「いい声が出ない」には、いつだって理由がある。
歌うというのは、カラダの中と外を繋げる作業。 少しスピリチュアルな言い方をすれば …
-
-
歌の学校やレッスンに通う 5つのメリット
「そもそも、音楽やるのに、 なんで学校なんか行く必要があるわけ? 自分の問題なん …
- PREV
- 正しい「シャウト声」の出し方!
- NEXT
- ヴォイストレーナーという仕事