「与えるチカラ」と「欲しがるチカラ」のパワーバランス
2015/09/19
音楽は人に感動やエネルギーを与えるもの。
音楽家であれば、誰もが多かれ少なかれ、
自分の音楽がそうあって欲しいと願いながら、日々音を紡いでいます。
一方で、音楽を通じて、自分自身もさまざまなものを受け取ります。
それは、聞いてくれる人の想いだったり、
共に音楽を奏でる人たちのエネルギーだったり。。。
アマチュアとプロフェッショナルの境目は、
このパワーバランスがイーブン、つまり拮抗しているポイントから、
どちらに傾いているかによって決まるとも言えます。
受け取るものの方が多いから、人は価値を見出し、
お金を払ってでも、その音楽に触れたいと思う。
聞く人を感動させ、エネルギーやパワーを与え、
常に期待を裏切らない。
どんなときも、強烈に「与えるチカラ」を持ち続ける人こそが、
一流のプロフェッショナルと呼ばれ続けるのです。
アマチュアでも、何度でも足を運びたくなる素晴らしいライブや、
付き合いで、1回だけ行けば充分と思えるライブ、
たとえタダでも、まったく興味の湧かないライブというのがあるでしょう。
1000円だろうが、2000円だろうが、
人は、お金を払えば、無意識に、それ相応の対価を期待するものです。
まして、ライブに出かけるともなれば、チケット代だけでなく、
時間や労力、気持ちまで、さまざまなものを捧げて、その場に足を運ぶ。
そんなお客さんに、
せめて払ってくれたお金に相応するくらいの感動やエネルギーを持って帰ってもらおうと
精一杯の努力をするのは当たり前のこと。
たとえ、演奏のクオリティがレベルに達しなかったとしても、
その一所懸命さ、ひたむきさに心動かされれば、
見る価値はあったと思う人も多いでしょう。
行った価値があった、得をしたと思えば、
お客さんは、また必ず来てくれるもの。
感動してくれたら、お友達を連れてきてくれるもの。
どんどん人気が出て行く人の演奏というのは、
総合的なパワーバランスが「与える」に傾いているのです。
それがアーティスト力。その人の魅力なのです。
「与えるチカラ」は、習慣のようなものです。
たとえ、レッスン料を払って、歌を習っているときでも、
常にMAXにエネルギーを出して、教える者を魅了する子もいます。
そうかと思えば・・・
「私の歌ってどうかしら?がんばってるんだけど、どうかしら?」
「あんまり練習できなかったんですけど、先生、おこんないでくださいね。」
「この曲、好きじゃないから、適当に時間をやり過ごそう〜〜・・」
などのメッセージばかりを歌の中に投げかけてくる子もたくさんいる。
無言の中にぐいぐいと感じられる「欲しがるチカラ」は、
回りからどんどんエネルギーを吸い取り、
見るもの、聞くものを疲れさせ、時にウンザリさせます。
「やる気を引き出すのが教える者の仕事」というのは高校生まで。
そんな「甘え」が習慣化しているようでは、いい音楽家になれるわけもありません。
「与えるチカラ」と「欲しがるチカラ」のパワーバランス。
プロの卵も、学生も、アマチュアの人たちも、
そして、もちろんプロフェッショナルな人たちも、
定期的に心の棚卸しをしたい、大切なことです。
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