大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「雰囲気」とは身にまとうもの

   

「わかってないなぁ。
ああいうスキャンダラスな雰囲気、お前、出せるわけ?」

 

大学を卒業して間もない頃、
「シンディ・ローパーみたいな存在感の歌手になりたい」という私に、
諭すように、しかし、半ばあきれたように、
とあるプロデューサーが言ったことばです。
 

当時、マドンナと並んで絶大な人気を誇っていたシンディ。

真っ赤に染めた髪を半分刈り上げ、
女の子なら誰もが身近に感じられるシンディの、
ソロシンガーとしてのデビューは30才。
 

曲も、声も素晴らしかったけれど、
ヒットの裏側には、
最高のスタッフがついての徹底的なイメージ戦略が、
あったことは想像に難くありません。
 

「スキャンダラスな雰囲気」は、そんな戦略の一部。

 

当時まだ若かったに違いないプロデューサーくん。

今なら、反対に、「わかってないなぁ」と諭してしまいそうです。

 

今の時代のテクノロジーを持ってしても、
自分自身の見た目には、
変えられないところがたくさんあります。
 

いきなりハーフみたいな小顔&くっきりした目鼻立ちにはなれないし、
身長を高くすることも、手足だけをほどよく伸ばすこともできません。
立派な骨格になることも、反対に華奢になることもできなければ、
指を長くすることも、ツメの大きさを大きくすることも無理です。

 

 

しかし、人間の雰囲気というのは、
環境や努力次第で変えることができるもの。

 

そして、人が魅力を感じるのは、
単なる容姿ではなく、その人の持っている雰囲気です。

 

 

誰が見ても美人の範疇に入る目鼻立ち。
華奢で色白ですらりと伸びた手足。。。
ところが、目立つどころか、どう見ても地味で、
幸薄そうな人がいるかと思えば、

 

身長が高いわけでも、スタイルがいいわけでもない。
よく見れば、別に二枚目というわけでもない。
それなのに、なんだかカッコよくって、
女の子にも人気がある人がいる。

 

 

身にまとう雰囲気を決めるのは自分です。

 

最初は多少、無理やりでもいいのです。
借り物だって、まがい物だって、なんだっていい。

笑う人は暇なのだから笑わせておけばよろしい。

望むような雰囲気を醸し出すには、
なにを身につけ、
なにを捨て、
どこに向かって何をしたらいいか。

 

そんなことを試行錯誤するうちに、
やがて、本物の自分の雰囲気というものが醸し出されていくもの。

 

容姿だけでなく、
音楽だって、歌だって、全部おんなじですね。

5839424 - young hadsome man looks in mirror

今日発行を予定していたヴォイトレ・マガジン『声出していこうっ!me.』〜『タイミングを外さないための習慣』、都合により明日以降の発行になってしまいました。ごめんなさい!バックナンバーも読めますのでご興味のある方は是非こちらから登録してくださいね。

 

 - Life

  関連記事

「夢喰って生きられないぞ」

大学3年だったか、それとも4年生だったか。 アルバイトをしていた東京タワーのおみ …

自分の名前をGoogleで検索する?

今日は著者なかま&朋友、デザイナーのウジトモコさんの新刊『SNS xDESIGN …

本気で目立ちたかったら「本質を磨く」。これしかない。

Clubhouseだの、Zoomだの、インスタだの・・・ やっと新たな名前とコン …

自己肯定感を高めるためにやるべき、3つのこと。

歌はメンタルが9割。 自己肯定感を高めることは、ヴォーカリストにとって、 パフォ …

「たった5分」に情熱を傾けるのは不毛ですか?

高校時代のお話です。 文化祭前に来る日も来る日も練習に明け暮れる私に、 同級生の …

「欠落」はことばではなく、行動で埋める

歌うこと、話すこと、書くことを通じて、日々、ことばと向き合っていると、 ことばの …

あぁ、時は不思議に巡るのです。

「MISUMIちゃん、日本にもいい音楽いっぱいあるよ。 たまには、日本の音楽聴い …

かっこ悪いけど・・・「ギックリ腰」

さて、連日、いい感じでカッコよくLondonの街を闊歩している(かのように見せか …

「目立ってなんぼ」はさっさと卒業する

テレビは基本洋画一辺倒で、時折ニュースをつけるくらいです。 ワイドショーもドラマ …

撤退は失敗ではない!〜ポジティブに「リセットボタン」を押せ。〜

「継続か?撤退か?」   ビジネスで大切なのは「はじめる時期」よりも「 …