「雰囲気」とは身にまとうもの
「わかってないなぁ。
ああいうスキャンダラスな雰囲気、お前、出せるわけ?」
大学を卒業して間もない頃、
「シンディ・ローパーみたいな存在感の歌手になりたい」という私に、
諭すように、しかし、半ばあきれたように、
とあるプロデューサーが言ったことばです。
当時、マドンナと並んで絶大な人気を誇っていたシンディ。
真っ赤に染めた髪を半分刈り上げ、
女の子なら誰もが身近に感じられるシンディの、
ソロシンガーとしてのデビューは30才。
曲も、声も素晴らしかったけれど、
ヒットの裏側には、
最高のスタッフがついての徹底的なイメージ戦略が、
あったことは想像に難くありません。
「スキャンダラスな雰囲気」は、そんな戦略の一部。
当時まだ若かったに違いないプロデューサーくん。
今なら、反対に、「わかってないなぁ」と諭してしまいそうです。
今の時代のテクノロジーを持ってしても、
自分自身の見た目には、
変えられないところがたくさんあります。
いきなりハーフみたいな小顔&くっきりした目鼻立ちにはなれないし、
身長を高くすることも、手足だけをほどよく伸ばすこともできません。
立派な骨格になることも、反対に華奢になることもできなければ、
指を長くすることも、ツメの大きさを大きくすることも無理です。
しかし、人間の雰囲気というのは、
環境や努力次第で変えることができるもの。
そして、人が魅力を感じるのは、
単なる容姿ではなく、その人の持っている雰囲気です。
誰が見ても美人の範疇に入る目鼻立ち。
華奢で色白ですらりと伸びた手足。。。
ところが、目立つどころか、どう見ても地味で、
幸薄そうな人がいるかと思えば、
身長が高いわけでも、スタイルがいいわけでもない。
よく見れば、別に二枚目というわけでもない。
それなのに、なんだかカッコよくって、
女の子にも人気がある人がいる。
身にまとう雰囲気を決めるのは自分です。
最初は多少、無理やりでもいいのです。
借り物だって、まがい物だって、なんだっていい。
笑う人は暇なのだから笑わせておけばよろしい。
望むような雰囲気を醸し出すには、
なにを身につけ、
なにを捨て、
どこに向かって何をしたらいいか。
そんなことを試行錯誤するうちに、
やがて、本物の自分の雰囲気というものが醸し出されていくもの。
容姿だけでなく、
音楽だって、歌だって、全部おんなじですね。
関連記事
-
-
超私的なブログを書きました。
2018年度の終わりと共に、 クレイジーな日々がやっと一段落。 いろんなことが少 …
-
-
時間の密度を高める集中のコツとツボ
作品をつくりあげるとき、 制作現場で、 そして、トレーニング、練習、リハーサルで …
-
-
「君たちには問題意識というものが足りない!」
「君たちには問題意識というものが足りない!」 大学4年の時、ゼミの担当教授が、 …
-
-
手癖でやらない。 慣れでやらない。
ここ数年、 自分というコンテンツを最後の一滴まで、 言語化、文字化、映像化して絞 …
-
-
「ありのまま」ということばを免罪符にしない。
作品でも、パフォーマンスでも、 作り込むより、パッションが大事とか、 ありのまま …
-
-
「気になる人」。
これから有名になろうという人、 活躍する人に共通の資質は、 「気になる人」である …
-
-
旅に出よう!〜自分自身を見つめ直すチャンス〜
海外に出かけると、日本人が日本人と目を合わせないようにしていることに気づいて、 …
-
-
「積ん読」でも「疑似読書」でも、本で世界は広がるのだ。
少し前に「本を読もう!」というポストをアップしました。 今日も本のお話。 もちろ …
-
-
「無駄な努力」は、 果たして本当に「無駄」なのか?
「あ。これやってみたい!」 ちょっとした閃きに、心をつかまれて、 どうにもこうに …
-
-
ああ、テクノロジぃい
音楽家ってのは、(いや、ヴォイストレーナーってのもそうか。)ゴールデンウィークと …